気づかないけど、あたたかいこと
1年の、体感2割は自分を嫌うわたしがいて、体感1割は自分が嫌う私像のわたしがいる。
3割のわたしは、遠い過去の心の傷を癒やす長い長い旅に出る。
過去のわたしが泣いている。
いたいいたいと泣いている。
居たたまれなくなって自然に7割のわたしに戻って、タイムトラベルした7割のわたしが、もう大丈夫だよって声をかけるまで彼らは記憶の片隅でずっと泣いている。抑えきれなくなって向こうから飛びついてくることもある。
3割のわたしとして過ごすことが増えるうちに、時間と涙と周りの人が、とてもあたたかいことを知る。7割のわたしは気づかない。そんなこと忘れてしまっている。けれど、3割のわたしは、きちんと知っている。
あちこちに散らばっているあたたかさを集めて救われているわたし自身が、気づかないうちにあたたかくなっていればいい。そうして今度は、わたしがあたたかさを届けられる人間になればいい。
気づかないけど、あたたかいことを、少しずつ、たくさん。
光と闇の隙間にあるもの マロリー @because-its-there
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