dorobouneko!! エピローグ
――翌日
「だぁぁぁ!遅刻するのです!!ソラのバカ!!何でまだ着替えてないのです!?」
私はいつものように登校前にソラを迎えに来たのです。
マイペースな君ときたら……。
「んー?
寝巻の状態で口にパンを加えたまま寝転がって子猫と戯れているのです。
朝ごはん食べてるだけマシだけれど色々NGなのです!!
ああ寝巻が捲れて背中がちょっと見えてるのです!好き!!
「未来の宮廷魔術師がなにやってるのです!?子猫は今はいいのです!というか行儀悪すぎなのです!!」
そんな無防備では意地悪な奴らに足元すくわれてすってんころりんなのです!
お池にはまってさあ大変!ヒドラが出てきてぱくりんこなのです!
「まぁまぁリコットちゃん、落ち着いて」
「お母さまなんで注意しないのです!?」
「ほら、うちはのびのび育てる主義だから~」
「それにしてものびのび過ぎるのです!」
朝から突っ込みに忙しいのです!この母にしてこの息子なのです!!
「みー」
はぁっ!?
お母さまと話している隙にソラと遊ぶのに夢中だったはずの子猫が私の足をスリっとしたのです!全身に鳥肌が立つのです!
不意打ちは飼い主譲りなのです!足元すくわれたのは私のほうだったのです!
「あーもーちくしょーかわいいのですー」
やっぱりこのかわいいあくまは人をメロメロにしてしまうのです!
私はしゃがみ込んで子猫をウリウリするのです。
触るうちに魅力に我慢できず、両手で子猫を持ち上げて顔を近づけ、鼻で大きく呼吸をするのです。
いっぺんやりたかった猫吸いなのです。
ちょっとくらい、ちょっとくらいいいよね、なのです。減るもんじゃないのです!
鼻を押し当てて目を閉じてゆっくり空気を吸い込み、全身に巡るように一度呼吸を止めてからくすぐったくしないように慎重に息を吐くのです。
あまり強くない獣臭が鼻腔をくすぐるのです。フェロモン全開の野性味あふれる香りも捨てがたいけれど優しい香りもまたいいのです。
子猫は気持ちがいいのか抵抗せず身をゆだねているのです。
「リコット何してるのー?」
いつの間にか着替えてきた君が後ろから声をかけてきたのです。思わずビクッと反応してしまったのです!決してやましくないのです!
「な、なななななななんでもないのです!!!!オスかメスかみてたのです!!」
「そっかー。で、どっちなの?」
口から出まかせで見てるわけないのです。問われて一瞬で見て判別するのです。こちとら伊達に
「……オスなのです」
「そっか、じゃあライバルになっちゃうなー」
君がボソッと言ったのです。
「ライバル??なのです?」
「なんでもなーい、さ、行こ!いってきまーす」
君はさっさと玄関へ行ってしまうのです。
私は慌てて立ち上がり、台所から出てきたお母さまに子猫を預けるのです。
「ソラ!待ってなのです!あ、いってきますなのです!!」
「いってらっしゃい」
「みー」
かわいい鳴き声に後ろ髪惹かれながらしばしの別れと振り返ってバイバイすると、もう一回「みー」と鳴いてくれる可愛い奴なのです。私はすっかり虜なのです。
慌てて玄関を出ると待っていてくれたのか立ち止まって空を見上げている君がいたのです。いつ見ても様になる、
ちなみに私は耐久性と動きやすさを重視した、厚手の生地で作られた
私は靴を履き直し爪先トントンしてから隣に並ぶのです。
高台にあるこの住宅街からは商業地区より広く天が見えるのです。秋は湿気が減って空気が澄むから今日みたいな雲少しあるお天気は青と白のコントラストが綺麗なのです。
「そういえばさ、子猫の名前。決めたんだ」
その瞳と同じ色の空を見つめながら君は呟くのです。
真っ白な猫。宮廷魔術師の使い魔にふさわしいきっと崇高な名前を君はあの子に付けるのです。
「知りたいのです!何なのです!?」
君は少しもったいぶってから口を開いたのです。
「シロ」
まんまやないかい!!
dorobouneko!!「どろぼうねこ」~気になるあの子を横取りなんてさせないのです!~ 霜月サジ太 @SIMOTSUKI-SAGITTA
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