パパ初耳だよ!?

ポンポン帝国

パパ初耳だよ!?

「「「「先生、ありがとうございましたっ!!」」」」


「「「「お父さん、お母さん、ありがとうございましたっ!!」」」」


 うんうん、ホントにうちの娘はいい子に育った。今も一緒に頑張ってきたクラスの子達と泣きながら別れを惜しんでいる。ほら、今も隣の男の子と仲睦まじい様子を見せて手を握って――――!?


 パパはそんな男知らんぞ!? ま、まだ幼稚園児なのに、幼稚園児なのに手を繋いで……、しかも恋人繋ぎ!


「マ、ママ! うちの子の隣にいる子、誰だあいつは!?」


 器用にひそひそしながら騒ぎ立てる。


「え? あらあら、うふふ。すっかり仲良くしちゃってて。可愛いわね♪」


「あぁ、うちの子はとても可愛いな! じゃなくてだな、隣の男だ! お・と・こ!」


「あら、パパは知らなかったの? 今年になって仲良くなった子じゃない。うちにも遊びに来てくれてたわよ? あ、けどパパは仕事でいなかったかもしれないわね?」


「俺の知らぬ間に男が家に上がり込んでた……だと!?」


 そんなの聞いてない! パパそれも初耳!!


「ま、まさか、こ、こ、こ、こ、こ、恋人なのか!?」


 幼稚園児なのに恋人なのか!? 早くないか!? パパ耐えられない。


「ん-、そこまでじゃないと思うわ。けど、仲良しではあるわね♪」


 まだそこまでではないのだな。よかろう。ならば、パパが我が愛娘の為に鬼となろう。お前に俺が倒せるか!?










「パパなんて大嫌い!!」


 死んだ。パパ死んだ。


「ち、違うんだ。パ、パ、パ、パ、パパが言いたいのはだな……」


「あたしがケンタ君と仲良くしてたっていいじゃん! あたしケンタ君の事好きだもんっ!!」


「ぐはっ!!」


「もう、いきなりアホな事言うから嫌われちゃうのよ」


「俺、おかしな事言ったか!?」


「そりゃいきなりケンタ君に『娘が欲しければ俺を倒せ!』なんて言えば、怒られるわよ……」


 ハハハ! そのケンタ君とやらは恐れをなしてあっちへ行ってしまったじゃないか! パパの勝利だ!


「この前、パパと結婚するんだって言ってくれてただろう?」


「うっさい! パパなんてあっち言ってっ!!」


 愛娘からの一言に撃沈する俺。そこに新たな影が近づいてくる。


「あれ、どうしたのー??」


 小癪にも愛娘の頭を撫でながら慰めてやがる。ま、まさかこいつも愛娘を……!?


「ケンタ君がいなくなったところで今度は小学校が一緒になるアキラ君ね。我が娘ながらモテモテね、ふふ♪」


 が、が、が、がががががが学校が一緒だと!? さっきのケンタ君より強敵じゃないか! くそ、どんな男だろうと相手になってやろうじゃないか!


 パパの闘いは終わらないぞ、誰にもうちの娘をやるもんかっ!

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