物語には欠かせない強烈なキャラ
『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき(文春文庫)
以前こんな話を読んだことが。登場してくるワードにそんなことを考える。どうやらシリーズ物になっているらしく、私が読んだのはその五弾にあたる中篇集。
主人公は私立探偵の杉村三郎である。その人柄なのか、口調なのか、時々読んでいて女性ではないかと錯覚することもあって、肝心のストーリーがあやふやになることも。『オフィス蛎殻』を始めとしたユニークなネーミングや、一度ページを戻ってルビを探す人名など、学のある人にはなんでもない作業なのだろうが、私の場合、それが読み進めることに待ったを掛けられているような気もしてならない。
適当に読んでスルーすれば済むのかもしれないが、そんなことを繰り返していると当然物語もあやふやに。とは言え、寝る前に触れる活字としてはおススメかもしれない。次を急かされることもなく本を閉じられる。そのせいもあってか本書はことのほか時間も掛かった。
恐らくこのシリーズを愛読している方達なら、人物、立ち位置など把握していてあっと言う間に読み終えてしまうのだろうが。表題となる三作目は本書の中で一番というキャラが登場し、改めて悪は悪いほど映えると気付かされる。
杉村氏のところに訪れた朽田三紀。その一癖ある女性は名前を勝手に美姫と替え、子供の名前も漣(さざなみ)を(レン)と呼んでいるとか。この辺だけでも読み手は混乱してしまい、開いたページをそのままに頭を整理したりもする。
私のような頭の鈍い読者には向かない一冊かもしれないと、長いこと時間を掛けて読み終えた時につい思ってしまった。
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