読解力以上に脳の回転を試される七編
『セブン』乾くるみ(ハルキ文庫)
文字を追うごとに情景を浮かばせて物語に足を踏み入れる。そんな行為を阻止するかのように難解な数字や時間が現れて来る。まるでお前の頭の回転はどの程度なのかと訊ねるように。
恐らく数字を苦手とするものならば、途中で本を閉じるか、理解しないまでも延々と読み続けるかのどちらかだろう。
私の場合は後者の方で、それが然程厚くも無い本にやたら時間を要した原因と思われる。少しづつ読んでるから尚のことわからない。逆に云々と瞬時に理解できるなら面白さは満点ではないか。
ふとその時、二度読み三度読みとある文言が理解出来た。数学の難しい問題を何度もトライするあの感覚だ。
本作はそんな数学好き、クイズ好きの人には打ってつけの一冊とも言えるが、それを好まないものにはただ文字を見続けるある種無駄な時間が過ぎ去っていく。
地対空ミサイルによって被弾したジョン・ケリー中尉は敵陣の中に偵察機を不時着させることにした。途中数名はパラシュートで脱出。結果、三名と四名に分かれ、それぞれが後に敵に摑まることになる。
無益な争いを避けようと捕虜になる道を選んだのだが、反政府ゲリラのアサド将軍はそんな捕虜の扱いに困り、あるゲームを提案してくる。互いに0から7までの数字を選ばせるという単純なゲームだ。
それによりうまく行けば全員が解放される可能性もある。連絡が取れない三人と四人のチームはどのような数字をそれぞれが言うのか。
明晰の頭脳の持ち主なら文字よりも先に正解を見出すだろうし、そんなジャンルと小説好きならば、一度に二度楽しめる最高の一冊になるはずだ。
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