第6話
祖母に横になってもらってから、あたしはまた居間の片付けを始めてさ。朝まで居れる所を確保しなきゃいけないから。
そんなこんなしてたら、両親が戻ってきた。祖母の薬を大量にまとめた袋と、少しの食料を持ってきててさ。
そしたら今度は、これからやらなきゃいけない事を、瞬時に頭の中で整理するんさ。言い方悪いけど、地震慣れしちゃってるから、これから困るであろう事は分かってんだよね。
電気、水、ガス、食料、ガソリン
これが、災害時5大困る事。
祖母は糖尿病だから、毎回の食事は定時にしなきゃいけない。真っ暗な中でも、どうしてもやらないきゃいけないことが、翌朝の朝食の確保なのね。
電気と水が遮断されたのは確認していたから、その時点で使えるものはプロパンガスのみ。それなら、朝起きて白米を無理やり炊くより、フライパンで食パンを焼く方が手間が少ない。これに、やかんで沸かしたお湯でコーヒーや即席スープを作る。洗い物も少なくて済む。
瞬時にそう判断すると、翌朝すぐにコンロを使えるようにする為、ぐっちゃぐっちゃになっている台所を、軽く料理できるまでにしなきゃいけない。
挑まなきゃいけないわけよ。真っ暗な中での、割れた食器片付けと、飛び出てきた食材仕分け・・・。
自分で判断しといてナンだけどさ
「いやだぁぁぁぁぁ!あぶねぇよ!やりたくねぇぇぇぇ!疲れるヤダぁぁぁぁ!!!」
って叫びたくなるよね←
まあ、叫ばねぇけど。覚悟決めてやるけど。
どっかから飛び出して来てた空のダンボールにビニール袋を入れて、ガムテで補強して。懐中電灯で辺りを照らしながら、割れた食器をドンドン入れていく。もうね、思い入れなんか考えない。考えてたら片付けられなくなる。途中、自分が愛用してたお茶碗が割れてるのも見えるけど、何も考えないようにして。
父なんかは「うわ、これあん時の湯のみ?割れてる、どーする?」みたいに聞いてくるけど、この非常時に呑気に考えてもいられない。「割れてたら捨てろ」って、言い放った。だいぶ冷たいけどな、しかたねぇよ。
食材をストック棚に戻して、プラスチック製で割れない軽い物は、頭より上にある備え付けの棚に入れていく。
あらかた割れた食器をダンボールに入れると、箒で細かい破片を集めて。もう、ザーーーーっと手早くチリトリでとって、ポイッと。だってもう、もうこの時は、「早く休みたい」で頭いっぱいなのよ。
それに、また余震くるだろうから、ワチャワチャしてたくない。さっさと終わらせて横になって体力温存して、いつでも逃げれるようにしたいって思うから。
あらかた片付けたら、これまたぐちゃぐちゃになってる納戸からモップだしてきて、ザザーっと拭いて。破片の1つでも落ちてれば、すぐに怪我するからね。
やっと全部片付いてから、コンロの火が点くか確認。スイッチ押して、ぼわっと火が出た時の安心感ったらハンパないよね、泣くかと思うわ。
それを見届けたら、どっと疲れてしまった。
「疲れた・・・もう休もう・・・」誰ともなく言い出してさ。
この時点で、夜中3時くらい。
次の日は仕事休みだな・・・無理だ、社長が何を言おうと休もう、そう思ったね。
祖母は夜中に何度もトイレに起きる人で。この真っ暗な中で1人でトイレに行くのは無理。一番体力があるであろうあたしが、一晩付き添うことにした。
居間に、座布団で即席の布団を敷いて横になるけど、ほぼ寝ない状態で待機して・・・。少しウトウトはするけど、祖母が起きる気配を感じたら、ガバッと起きる。
余談だけどさ、この時点で断水してる。第1話で言った、「バスタブ掃除を避けて、風呂沸き返しを選んだズボラさが正解だった」 って、ここの事を言うの。つまりこの時、バスタブに残り湯があるってことね。トイレした後これで流せるの。その他、軽く拭き掃除に使えたり、多少、顔を洗うくらいならなんとかなる。これがもう後々、大活躍。
哉子はこれからも、ズボラを貫きたいと思います()
話は戻して←
とりあえず横になるけど、不安で寝付けないよね。それでも無理やり目を閉じてさ。
何を思ったか、こんな時にスマホ出してきて、短歌なんか書き始めるわけ。「あたしゃ、頭がおかしいのか?」って思うけど、自分のストレス発散なんやろな、ちょっと落ち着くんよな。一瞬だけウクレレも弾きたくなるのよ、なんでかわからんけど。さすがにやんないけどさ。
人って限界突破すると、何するかわからんね←
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地震当日はこんな感じでした。
なんかもう疲れたし、この連載、もうやめとくね。
このあと、地獄が来るけど。
かくのしんどいから、やめとく。
ストレス発散、読んでくれてありがとう。
2022年3月16日 23時35分 大地震ってやつが来たよ 哉子 @YAKO0919
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