美加の明日 三
夏休みが終わると、やはり、美加は家に帰って行った。
「一応、帰らないとね」
「この家もあと少しなんだから、時々、いつでも帰って来てよ」
「帰る家があるって、いいわよね」
「何言ってんのよ。帰る家が二軒もあるじゃない」
「そうね。また、帰って来ます」
美加が帰ってしまったその夜は、少し寂しさを感じたものだが、学校に行けば、そこに美加はいた。それはいつもの日常だった。そして、桃子も決心をした。
文化祭が終わったら、それこそ、受験勉強に取り組もう。桃子も早稲田を受験する。ダメだった場合は、その時、考えよう。一浪するか、別大学に行くか、または専門学校に行くか。それは、その時、考えよう!!
嬉しいことに、父も母も理解を示してくれた。後は、美加にそのことをいつ伝えるかだった。
きっと、喜んでくれる。
1日も早く伝えたいような、焦らしたいような…。
これが去年だったら、美加の誕生日にプレゼントと共に、伝えられたが、今年の美加の誕生日は土曜日。それも、内輪でやると言う。
演劇部では、部員の誕生日にはラインで祝福メッセージを送ることになっているので、今年は桃子もメッセージを送り、プレゼントは月曜日に学校で手渡す。その時に伝えよう。今年のプレゼントはスカーフ。桃子も同じスカーフを買った。
----早く、月曜日にならないかなあ…。美加ちゃん、今、何してる。誕生日パーティー、終わったかしら。明日が日曜日だから、きっと、まだ、盛り上がってる。ああ、明日から、10月か…。
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