このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(664文字)
そこに暗く深い闇があると分かるのは、光の明るさを知っているから。光を知り、闇を知る。知っているから、私たちは人として生きることができる。その先に光があるのか闇があるのかは分からないけれど、絶望のその先に未来という名の大海原が広がっていることは確かだ。交わった糸と糸はほつれることも、絡み合うことも、時に切れてしまいそうになることもある。けれど一旦離れたその後に、その時には想像もしなかったような方向から再び交わることもあるのだと思う。