不本意な出会いと別れを繰り返した。

仁志隆生

第1話

 もう、何度こんな出会いと別れを繰り返しただろうか。

 呼んだ相手から出合い頭に奪い、そこから追い出すこの行為を。


 当然罵声を浴びせられた。

 睨みつけて去っていく奴もいた。

 無言で涙を流しながら去っていく奴も……。


 それも当然だ。

 けど僕は目的の為にと心を閉ざしていた。

 

 けど、自分から差し出してくれる奴もいた。

「君の役に立てるならどうって事ないよ」

「今は恨んでる人達も、いずれわかってくれるわよ。だから闇に堕ちないでね」

 そう言ってくれる奴らもいた。

 思わず泣いてしまった。

 元はと言えば、僕の考えが足りないばかりに……。




 もう、何度そんな出会いと別れを繰り返しただろうか。

 だがそれもあと一回で終わり。

 最後の一人は大人っぽくて美人な女性だった。

「わかってるわ。さあ持っていって」

 そう言って差し出してくれた。

「ねえ、ひとつお願いしていい?」

 彼女が上目遣い

「うん、僕に出来る事なら」

 僕が言い終わる前に、彼女は僕の唇を……

「武運を祈ってるわ。じゃあ私は先に行った皆のとこへ行くわね」

 そう言って彼女は去っていった。


 僕は気を取り直し、目的を果たすためにある場所へ向かった。

 



 着いた場所。そこは教会だった。

「すみません。これでお願いします」

 そう言って金貨が詰まった袋を神父さんに差し出した。

 これは今まで奪ったものを売ったお金だ。

 これで、やっと……。

 

 神父さんが祈ると、死んでいた仲間達が生き返った。


「ふう、やっとかよ」

「あー、このままゾンビになるかと思ったよー」

「おはようございます~」

 仲間達が口々に言う。

「ごめん。今後はじっくり経験と金を貯めながら進むよ」

 僕はそう言って頭を下げた。

「ああ。じゃ、行こうか」

「そだねー。さ、魔王討伐の旅へ」

「ええ、再び行きましょう~」


 ――――――


「なんてドラマがあったりして」

 俺は久方ぶりにゲームをしながら呟いた。

 それはファミコンの「ドラゴンクエストⅢ」。


 あの時は下手くそ過ぎて、カンダタ達に何度も挑んでは全滅してたな。

 そのせいで金が足りなくなって、ルイーダの酒場で限界まで仲間をテキトーな名前つけて登録しては、そいつから布の服を奪って売り、別れてまた登録してを繰り返してなんとか金を貯め、メインパーティを生き返らせたもんだ。

 もう遠い昔の思い出だな。なんて思っていた時だった。


- ザッ -

 

 後ろで何か物音がしたので振り返ると、

「え?」

 そこにはいつの間にか、大勢の若い男女がいた。

 しかも全員すっぽんぽん。

 うむ、女の子はいいが野郎のは見るに耐えない……

「ってあんた達誰だよ!」

 俺がそう叫ぶと、


「ふう、やっとこの世界に辿り着いたぜ」

「そうよね。ふふふ、よくもやってくれたわねえ~」

「さあ、覚悟はいいですか?」

 彼らが口々にそう言った。


「え? ま、まさかあんたらは……ギャアアアー!」


 その後どうなったかは……。

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不本意な出会いと別れを繰り返した。 仁志隆生 @ryuseienbu

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