最終話『幻と彼』
そして3年が経ち、凛の父親は引退、幹部の一人が組長となった。航太もあれから色んな仕事を任されて幹部までのし上がりみんなをまとめているらしい。
凛は柊を亡くしたショックで長い事、心を閉ざしていて自然の恵みを感じる療養施設にいる。航太や組員たちが面会に来るが会っても何も話さない。凛の部屋には母親の写真が飾ってあった。母親は元々お酒の飲みすぎで病気にかかっており、去年他界した。いつも屋上にいる凛に今日もまた訪問者が来る。
「凛っ!」と呼ぶ声に振り向く凛、そこに居たのは……「(小声)柊?」とスーツを着た柊がいた。柊はもうこの世にはいないと思っていたから幻でも見ているのと錯覚したが、ふっと香る懐かしい匂い。そして優しいキスを交わすとふらっと倒れた。
青い空、白い雲、隣には大好きな彼の笑顔がある。彼女にとっては刺激的な出会いだっただろう。
彼女が見たのは幻なのか、本当なのかは誰も知らない。でも一つだけ言えるのは二人想いあってるという事だ。
[完]
冷めた恋 新米chan @shinmai2022
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