第2話 浦島太郎登場 !
さて、今現在はヒメ王女とウンミガメ係官のふたりは地球の海辺、白浜に立っている。
って言っても実際に立っている訳じゃなくて、超リアル3D映像の中に居て、傍観してるんだけどね。
「あれ !? …何あれ、海の中から砂浜に変なのが上がって来た!」
ヒメが叫んだ。
「あれこそが俺が地球に送り込んだ、サンプル捕獲型偵察型その他諸々万能ミニ宇宙船だぜ!…名付けて"ウンミガメ初号機" 」
ドヤ顔で答えるウンミガメ。
「ヒャッハ~ ! …だっせ~名前 !! 」
爆笑するヒメ。
「ひで~!あれ、怪しまれないようにちゃんと地球の海洋生物そっくりに作ったんだぜ~、もぉ!」
嘆くウンミガメ。
「あれ~、何あいつ~ !? 」
「海ガメだろ !? 」
「いや、真っ昼間にノコノコ浜に上がって来る海ガメなんて居ないよ!」
「怪しいな!」
「海ガメに似せた、ロシアの兵器かもよ!」
「ヤバいじゃん!」
…浜辺を歩いて来た、学校帰りの子供ら数人が、目ざとく"ウンミガメ初号機"を見つけて口々に騒いだ。
「全然ガキどもに怪しまれてんじゃんかよ~ ! …ど~すんだよこれよ~!」
状況を見てヒメ王女がウンミガメを責める。
「こんな奴、ぶっ壊して海に流しちまえ!」
「お~っ !! 」
「こんのやろ~っ !! 」
子供たちはそれぞれ手に棒を持って"初号機"の頭やらヒレやらシッポやらをガンガン叩き始めた。さらに蹴りなど入れる者も出始める。
「くっそ~!地球のガキゃ~ひでえことしやがるぜ、あんまり調子こいたら"初号機"からブレストファイヤー発射して焼き払うかんな!」
ウンミガメ係官が拳を固め始める。
「おーい ! …カメをいじめるな~っ !! 」
その時、砂浜を1人の青年が叫びながら走って来た。
背が高く、日焼けした身体に釣竿を持った若い男だ。
「カメが可哀想だろ、動物を苛めるなよ」
青年が子供たちの間に割って入った。
「誰だよアンタ、このカメ怪しいんだぜ ! 真っ昼間に上陸して来たし、それにホラ、ここまで来た砂浜の上に足跡も這いずった跡も無いぜ、きっとロシアの殺人兵器 (海亀タイプ) だぜ!」
子供の言い草に笑いながら青年は、
「おいおい、いくらロシアだって子供や一般市民に殺人兵器ぶっ放す訳ないだろ!…あ、俺は浦島太郎ってんだ、ほら、釣って来た魚を君たちにやるからカメを開放してやりな ! 」
と言って、結果カメ…っていうか"ウンミガメ初号機"は子供たちの攻撃から開放された。
「プーチンに騙されてろバ~カ!」
子供たちは悪態つきながら去って行く。
「あ、ヒメ王女、このガキどもと今出て来た浦島太郎ってのが、"人類"って言って地球じゃいっちゃん高等生物なんスよ!」
「そぉなの~ !? …まぁ確かに私らと同じ形態だけどさぁ…何か、バカっぽくね?」
「それを言っちゃ~おしまいよぉ!…あ、それにひとくちに"人類"っつってもいろいろ種類があるんスよ、棲息地によって食ってるもんも違うし、まぁだからサンプル持って帰るにしても好みの問題が出ちゃうかな?って思うんスよね」
「あ、じゃあさ、私、あんまし肌の色が◯いのとか、髪色が◯色とか、目が◯色とかはヤだな…だからコイツで良いよ!浦島太郎で」
「そんな簡単即決で良いんスか !? …一応コイツと似たタイプで雰囲気違う奴も候補的にはあるんスけどね…ムー◯ン谷って地方に居るスナ◯キンって奴なんスけど、今映像出します、ホイっと!」
ウンミガメ係官が機器操作して2人の周りがムー◯ン谷に切り替わる。
「あぁ、川で釣り竿出してるコイツ?…帽子かぶってる…あれ、何か楽器弾いてるじゃん ! 」
「そうッス ! …コイツがスナ◯キンっス ! …弾いてるのは地球でギターって言われる楽器なんスけど、コイツはまぁムー◯ン谷の中をフラフラしながら、でも釣り師だかミュージシャンだかよく分かんない奴っス」
「私、個人的に顔に喜怒哀楽の出ない奴好きじゃないのよね~ ! …コイツ何考えてるか分かんないタイプじゃん!…スナ◯キンはパ~ス !! あっ、浦島太郎の方は何か楽器やらないの?」
ヒメ王女のコメントに、ウンミガメ係官はニヤリとしながら言った。
「実は浦島太郎、楽器も弾いて、歌も唄うんスよ~!」
「え~っ!! 聴きたい~っ!…映像出せるよね!早よ早よ~っ」
…2人はどんどん盛り上がるが、この作品の進行は、早くないなぁ。
読者が許すなら…続く
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