新説巌流島~宮本武蔵はなぜ佐々木小次郎を殺さなかったのか~
デバスズメ
~宮本武蔵はなぜ佐々木小次郎を殺さなかったのか~
宮本武蔵はなぜ佐々木小次郎を殺さなかったのか。その答えは、誰もが知っている巌流島の決闘に隠された歴史だけが知っている。
「遅いぞ武蔵!」
「待たせたな小次郎!」
佐々木の待つ砂浜に宮本の小舟が到着する。あえての遅刻という作戦が功を奏したのか、すでに佐々木の心は落ち着きがない。
……いや、佐々木の心は別の意味で落ち着いていなかった。
「もうちょっと遅くなると思っていたぞ武蔵」
「どういうことだ小次郎」
「いや、観客が大勢集まると聞いて屋台を」
「屋台!?」
「燕返し焼き鳥を」
「燕返し焼き鳥!?」
「燕返しといっても雀の焼鳥なのだがな」
「雀の焼鳥!?」
「うむ、京では馴染みの一品じゃ。骨まで食べられるぞ。おかげで大繁盛よ」
「大繁盛!?」
「旨いぞ。お前も一本どうだ武蔵」
「一本どうだ!?」
「遠慮するな。どうだ、旨いだろう」
「旨い!?」
「しかし、そろそろ決闘を始めなければな」
「待て待て待て待て」
「ん?どうした?」
「決闘が始まれば、この焼鳥屋台も店じまいなのだよな?」
「それはそうだが」
「そりゃあもったいない!」
「え?」
「これは売れるぞ!全国でな!」
「え??」
「早速売り歩く計画を練るぞ!こんなに旨い焼鳥はそうそうない!」
「え???」
「そうと決まれば決闘なんて止めじゃ止め!とっとと帰って作戦会議じゃ!!」
「え????」
……その後、武蔵と小次郎は名物「燕返し焼き鳥」を売り出し大繁盛するのだが、どれほどの売れ行きだったのかは隠された歴史だけが知っている。
宮本武蔵はなぜ佐々木小次郎を殺さなかったのか。その答えは、燕返し焼きがあまりにも美味かったからである。
おわり
(諸説あります)
新説巌流島~宮本武蔵はなぜ佐々木小次郎を殺さなかったのか~ デバスズメ @debasuzume
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