第51話 高橋綾乃と白石克己


高橋綾乃と白石克己の過去と今を描きます。

気持ち悪いかもしれないのでスキップしても結構です。作品の流れには大きく影響しません。


―――――


私は高橋綾乃


 学校から帰宅途中、警察に捕まった。一応任意だけど、心当たりがある疑いだ。逆らっても仕方ない。


 警察に捕まる時、明人に見られてしまった。どう思っているだろう。でももう明人と会う事は無いんだろうな。


 警察で事情聴取を受けた。白石との関係、一条さんとの関係、白石のスマホに有った録画の真意、その話の中で出て来た明人との関係。私は全て正直に話した。


 私のスマホからも同じ録画が見つかって警察は確信したようだ。


 警察は両親に連絡したようで夜遅くお父さんとお母さんが警察にやって来た。一応この日は家に帰ってよいという事になった。但し刑事事件になるかもしれないので勝手な行動はしない様にときつく言われた。


 家に帰ってからお父さんとお母さんから、私が警察に捕まった理由を聞かれた。

両親が何故か平静でいる事が逆に不思議だった。


 すべて話した。

 お母さんにしか言ってなかった白石との関係。それから明人と少し話せるようになった事。


 それがきっかけで一条さんを陥れる事で、自分が明人とよりを戻せるかもしれないと思い、今回の事を白石に依頼しその代りに後藤という男と会う約束をした事。


 後藤が私に体を求めて来たので、全く無視したのが原因で白石の弱みであるビデオをネットに流し、その恨みで白石が後藤を刺したのだろうという事をすべて話した。


 お父さんとお母さんは始めずっと黙っていたが、お母さんが涙を流して小さく泣き始めた。


 そしてお父さんが、私の本当のお母さんについて話し始めた。理由は分からない。


「綾乃、今からお前を産んだお母さんの事を話す。よく聞いてくれ。

 お前のお母さんとお父さんはとても仲が良かった。愛し合っていた。結婚して直ぐにお前が出来た。

 お母さんはとてもお前を愛し慈しんだ。だからいやそれが原因かもしれないが、お父さんとお母さんは、意見が別れる事も多くて、段々心が離れて行った。

 そんな時に出会ったのが、今のお母さんだ。

 お父さんと今のお母さんは、自然と大人の関係になった。ある時それがお前を産んだお母さんにバレてしまった。

 お母さんは俺とお前を置いて家を出た。それから二年後お父さんは今のお母さんと結婚した。後は綾乃が知っている通りだ」


「…………」


 信じられなかった。お父さんが浮気!今のお母さんと。私を産んだお母さんが私を捨てて家を出た?本当なの。

 だとしたら自分のお父さんは浮気して、私の本当のお母さんは私を捨てたという事じゃない。私はそんな人達の子供。


 頭が真っ白になった。

 私は何も言わずに自分も部屋に戻った。後ろから大きな声で泣くお母さんをお父さんが慰めている声が聞こえた。


 もう、学校にも行けない。明人にも会えない。お母さんを裏切ったお父さんや今のお母さんなんか信じられない。どうすれば。何も頭に浮かばなった。


………………。


 俺は白石克己


 背が高く、スポーツも勉強もそこそこに出来た。顔も親譲りでイケメンだ。だから中学からもてた。


 高校に入って、少しして言い寄って来た石原幸奈とは何回も体を重ねた。その内幸奈の友達だという笠原瑞樹とも会う様になった。


 そんな時だった。今まで俺の知らない可愛い女の子が同じ高校の制服を着て登校している。

 あいつは誰だと石原に聞いたら最近目立つようになった高橋綾乃だと言っていた。


 早速石原達に頼んで綾乃と会えるように段取りをつけて貰った。最初は彼氏水森明人とかいう奴が彼だからあまり近づきたくないという事で話す事も出来なかったが、何度も話すようになってからやっとデートに誘えた。


 綾乃は直ぐに俺に体を許すだろうという自信が有ったが、二度三度のデートでは手に触れるのも無理だった。


 だけどクリパの時、帰り道が同じだと知って一緒に帰りながら、冗談でしてみないかといったらいいよと言われた。


 初めてかと思ったら物凄い好き者だという事が分かった。それから数か月毎日の様にあいつから誘われる。

 最初は遊びのつもりだったが、流石に飽きて来た。そんな時かな水森に俺と綾乃の事が知られたのは。


 それから夏休み明けまでは適当に会ったが、二学期には流石に相手をしなくした。



 学園祭が終わった頃、後藤先輩からあいつは誰だと聞かれた。後藤先輩とは口では言えない事を随分した。


 校内ではバレるからと他校の女子を誘って無理強いした事も有った。その時、後藤先輩にそいつとやっている所を撮られてしまった。ムリムリしているのがはっきり分かる映像だ。それ以来色々強請られている。


 今回もその一つだ。後藤は高橋を抱きたいと言って来た。俺は何回かデートに誘えば簡単にさせてくれると言ったので、直ぐに会わせろと言って来たが、中々機会が作れなかった。


 だがあれはバレンタインデーの時だったか、石原を通して綾乃と会い、後藤と会ってくれる様に頼んだ時、綾乃からとんでも無い話を条件に出された。一条紗耶香の裸をビデオに撮ってくれれば後藤に会うというのだ。


 何に使うんだと聞いたところ、俺から一条に水森と二度と会わない様に言ってくれという、会えばビデオをネットに流すとも。


 俺も一条には興味があったが抱きたいと思う程では無かった。だが面白そうな話だと思いその話に乗った。


 だがいつまでたっても連絡がこないと思っていたら綾乃から春休みも終わる二日前に学校の体育館にあるトイレまで連れ出すからそこでやれと言って来た。俺は直ぐに学校に向かった。


 一条がトイレから出て来た所を捕まえてすぐ傍の体育館の用具室に連れ込んだ。

最初一条の裸を撮って綾乃から言われた事を言おうと思ったが、一条の裸があまりにも魅力的で我慢できずにやってしまった。


 だけどあいつは声の一つも出さずに我慢していた。悔しくて思い切りしてやったが、やっぱり声を出さなかった。こっちが我慢出来なくなったが妊娠は面倒だと思い、外に出してやった。


そして俺は道具室の外で待っていた綾乃に後藤に会う様に頼んだ。


 綾乃は後藤と会った。二度も。だが後藤が体目的だったのが丸出しだったのか、綾乃からそっけなく断られた。


 俺に電話してきた時、俺が先輩が悪いと言ったら逆切れされ、腹いせであの他校の女子を無理矢理やっている所が映っているビデオをネットに流された。


 俺は頭に来て後藤を呼び出して刺した。さすがに致命傷にならない様にしたが、その時誰が連絡したか知らないが警察に捕まってしまった。


 警察は刺した理由をしつこく聞いて来た。始めはばらすつもりは無かったが、何回も聞いて来たので、綾乃の事や一条の事を全て話した。


 そして俺は今拘置所にいる。まあ初犯だし執行猶予程度で済むはずだ。学校は退学だろうがな。


 そう思っていたが、殺人未遂及び未成年者強姦罪で五年の実刑判決を受けた。担当弁護士に聞いたところ綾乃は未成年者への強制わいせつ教唆で一応執行猶予が付いたらしい。


―――――


 白石はもう出て来ません。綾乃はもう少し出て来ます。

 刑事罰及び民事については細かくありますが、本話の流れの関係上割愛させて頂いています。ご配慮の程お願いします。



次回をお楽しみに

 

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。




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