第37話 クリスマスイブ
二学期が終わった。なんと終業式の日はクリスマスイブ。正則と今泉さんそれに紗耶香と俺で簡単なパーティをファミレスで開くことにしている。
柏原さん達からも誘われたけど、正則達と一緒という事で断った。とても残念がっていたけど仕方ない。それにカラオケ苦手だし。
席は当然、俺と紗耶香、正則と今泉さんで並んで座っている。
ファミレスなので大きな声は出せないけど楽しくしている事は問題ない。店内の雰囲気もクリスマスだし。
「さっ、まずは皆で乾杯と行こう」
正則が音頭を取った。ドリンクバーはこういう時便利だ。
「「「「メリークリスマス!」」」」
小さくパチパチパチ。
「明人早速プレゼントと行くか」
「正則待て待て、それはメインイベントだ。その前にお腹満たそうぜ」
「確かに」
既に注文している品はテーブルに揃っている。
「では、早速食べるか」
俺と正則は鶏ももとラムチャップ、それにから揚げがメインだ。紗耶香と今泉さんは、ドリアとピザがメイン。
トッピングはベーコンやトマトそれにクリスマスだろうか鶏肉も乗せたピザもある。それにスープ。これを皆でシェアしようという訳だ。
「しかし多いな。これ食べれるかな?」
「明人任せとけ。一人でも食べてしまうぞ」
「正則何言っているの。最近体重増えて、テニスでフットワーク悪いわよ」
「スミマセン」
正則が冗談でしょぼんとした。
「まあ、今泉さんは確かにテニス部のマネージャだものね。部員の健康に気を遣うのは当たり前か」
「そうよ。聞いて一条さん。正則せっかく二年でレギュラー取れたのに、この前一年生に練習試合で負けてしまって」
「薫、仕方ないだろ。あいつ全中のトップファイブだぞ。なんで進学校に来るんだよ」
「正則のフットワークをもう少し良くすれば勝てたの」
「まあ、まあ。二人共仲が良いのは良く分かっているから食べようぜ」
「ごめん、そうだね。でも正則反省しなさい」
「ハイ」
百八十センチある体が今泉さんの前だと小さく見えるから不思議だ。つい微笑んでしまう。
「おい、明人何笑っている」
「いやあ、いつもながら仲いいなと思ってさ」
「まあ、当たり前だ。正月には両親顔合わせだからな」
ポカッ!
「痛っ!」
「正則、口が軽い」
正則の頭をこつんとしながら顔を赤くしている。
「そ、そうか。それはおめでたいな」
「ありがとう。でも学校では内緒ね」
「分かっている。それより早く食べようぜ。冷めてしまうから」
「そうだな」
「「「「頂きまーす」」」」
ファミレスでもとても美味しかった。会話が楽しい所為もあるだろうけど。
「でも、中島君と今泉さん素敵ね。羨ましいわ。いいな。私も……」
「おい、明人、一条さんから言われているぞ」
「えっ、いや。まだ俺達高二だし。正則と今泉さんは、家の付き合いもあるから、まあ、一緒になるのは自然かなと思うよ」
「でも、二人も高二だよ」
「一条さん、だったら強行手段は?」
ブッ!
良かった。口の中に何も入っていなくて。紗耶香が顔を真っ赤にしている。
ボコッ!
「痛っ!」
「い、いやいや。それは流石にだめだろう」
「正則なんて事言うの。赤ちゃんなんてまだ早いに決まっているでしょ」
今泉さんも顔を赤くした。
「へっ?俺そんな事言ってないよ」
「えっ?じゃあ強行手段って?」
「明人が一条さんのご両親に会って、紗耶香さんをお嫁さんに下さいって言えば良いんじゃないかってのが強硬手段」
「はあ、もうそれ早く言いなさいよ」
「いやだって、勝手に想像した明人と薫が悪いんだろ」
「なんで一条さんが入っていないの」
「いや、それは、やっぱり。赤ちゃんの話だと当の本人なるから名前出すの悪いかなと思って」
「わ、私。明人の子供なら今でも良いよ」
耳まで真っ赤にしている。
ブッ!
ブッ!
ブッ!
三人で噴いてしまった。
「まあ、一条さんそこまで水森君の事を。私の方が羨ましいわ。流石に私は今子供産めと言ったら、正則の股蹴ってやる」
「ひっ!」
正則が自分の股を両手で押さえた。
「ふふふっ、私は明人の股は蹴らないわ。大事にする」
ブッ!
ブッ!
ブッ!
また三人で噴いてしまった。紗耶香ってこんな下ネタに付いてくるなんてちょっと意外。
時間も進み
「じゃあ、そろそろプレゼント交換しよか」
「おう、いいな」
「ではまず俺からな。薫メリークリスマス」
正則は持って来た袋の中から可愛い箱を取り出した。
「では、次に俺な。紗耶香メリークリスマス」
俺も袋の中から細長い箱を取り出した。
「じゃあ、私達も」
「正則メリークリスマス」
「明人メリークリスマス」
「開けよっか」
「「「そうしよう」」」
俺が、紗耶香に贈ったのは小遣い貯めて買ったペンダント。お店の人と相談して必死に紗耶香に合いそうな物を探した。流石に紗耶香は一緒に連れて行かなかったけど。
「うわぁ、これいいの明人」
「うん」
「着けて」
早速、紗耶香がペンダントを首に回すと俺の方に背中を向けて来た。金具を付けると
「似合う?」
「取っても」
つい二人で見つめ合ってしまった。
正則達の方を見ると顔がぽかんとしている。
「どしたの?」
「い、いやいや。店内の暖房がいきなりきつくなったかと思った」
「同じ」
また、紗耶香が顔を赤くした。
「正則開けるね」
「おう」
今泉さんが箱を開けると可愛いイヤリングが出て来た。
「うわ!正則ありがとう。嬉しい」
「喜んでくれて嬉しいよ」
薫さんも早速付けて見た。耳元でキラキラ光っている。
「正則、それ本物?」
「当たり前だ。薫に偽物なんて絶対に贈らない」
「えっ、でも俺達の小遣いじゃあ」
「今年の四月から小遣い貯めたんだ」
「はあー。凄いなお前」
「ありがとう、正則」
いきなり今泉さんが正則の頬にキスをした。
「「えっ!」」
紗耶香と一緒に驚いた。
「ふふふっ、これ位いいでしょ」
正則の顔が赤くなっている。やかんが沸騰している様だ。
それからそれぞれの彼女からのプレゼントを開けた。紗耶香からはマフラーを贈られた。正則へも同じようにマフラーだ。女子の心理って同じなのかな?
結局、俺達はファミレスに二時間近く居たけど店員さんが会計の時も俺達を見てニコニコしていた。
ファミレスは駅のすぐそばにある。正則と今泉さんは俺達と反対方向だ。
「明人、じゃあ三学期にな」
「ああ、正則もな」
もちろん次のクリスマスの日は紗耶香と二人でずっと一緒に居た。まあ正則達も同じだろう。
―――――
平和な一日クリスマスイブでした。
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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