第6話 入学しました


高校生活最初はスローですが段々賑やかになって行きます。

お楽しみに。


――――――


 今日は入学式。俺と綾乃は高校のある駅で待ち合せた。高校は中学校のある駅の俺の家方向に一つ戻った図書館が有る駅で降りる。


 綾乃は紺のブレザーに金線と緑でデザインされたリボンを首元に付けている、スカートは濃茶と濃緑のチェック柄プリーツ、白いハイソックスを履いている。

俺は紺のブレザーに濃緑のネクタイ、濃いグレーのスラックスと至ってシンプル。


 既に図書館で綾乃と一緒に勉強したので待合せに困る事は無かった。

「おはよ綾乃」

「おはよ明人」


「綾乃、前髪あげているんだ」

「うん、高校生になったから少しイメチェンしようかなと思って」

「そうか、可愛いよ」


「どうしたの?」

「うーん、綾乃が目立っちゃうから、ちょっと」

「ふふっ、心配?大丈夫だよ。明人以外興味無いから」

ちょっと心配なんだけど。俺の彼女だという贔屓目を差し引いても可愛い。大丈夫かな?


 学校について体育館の掲示板に張ってあるクラス編成表を見ると綾乃と俺はAクラスだ。Aクラスの座席に着く。


「明人おはよ。同じクラスだな」

「正則か。良かった同じクラスで」

「薫も一緒だ」

「そうか。良かったな」


 取敢えず指定された席に行く。綾乃もそうしたが、もう周りから注目されている様だ。


 入学式が始まった。校長や来賓やらと祝辞を言った後、各クラスの担任が紹介された。

 俺達Aクラスの担任は赤城美幸(あかじょうみゆき)先生。スレンダーで眼鏡をかけ胸とお尻が大きい先生だ。男子ががっちりと見ている。


 最後に生徒会会長が色々入学のお祝いとか決まりとか説明していた。壇上の近くに姉ちゃんがいる。何ともだ。


 それも終わって決められたAクラスに行く。席順は最初指定されているから綾乃とは大分離れてしまった。嫌だな。


やがて赤城先生がやって来た。


「体育館で自己紹介したけど改めて。私がこのクラスの担任の赤城美幸。軽音部の顧問です希望する人は遠慮なく声を掛けて。ではこれから事説明するわね」

 先生が明日からの事を説明し始めた。あらかじめ資料は渡されている。


それが終わりちらりと時計を見た後

「早速だけど自己紹介からしようか。前に来て自己紹介して。廊下側の一番先頭から初めようか」

中々ボーイッシュな先生だ。


 綾乃は廊下側前から三番目だ。直ぐに順番が来た。教壇に上ると


「おおーっ」

「可愛いじゃないか」

男子の声が賑やかだ。


「初めまして、高橋綾乃です。趣味とか何もありません。友達を作れたらいいなと思っています。宜しくお願いします」

 差し障りない自己紹介だ。


 その後、自己紹介が進み、今泉薫や中島正則も紹介が終わった。俺は窓側の後ろから三番目、俺の番が来た。


「初めまして水森明人です。趣味は特にありません。宜しくお願いします」

簡単だがこんなものだろう。



「はい自己紹介終わったね。学級委員は富田博之(とみたひろゆき)君宜しく。後、今月中に入るクラブを決めて下さい。では富田君。前に出て後の役員決めて」

 一年の最初は学校側が指定するようだ。俺でなくて良かった。富田は身長百七十センチ位で俺から見ると少しイケメン。やや細身で真面目そうな感じ。

 富田が前に出て、他の役員を決め始めた。俺は知らんぷりしよう。




一通り終わると

「では、皆さん今日はこれで終了です。気を付けて帰って下さい」


担任が教室を出て帰りムードになると早速綾乃の側に男子が集まり始めた。

「高橋さん、可愛いね。俺と友達になろ」

「俺もなりたいです」

「何処から通っているの?」


 あれは大変だ。大丈夫かな綾乃。あっ、こっちを見ている。人が周りにいて席を立てないんだ。


仕方ない。俺は綾乃の側に行き

「綾乃帰ろうか」

「あっ、明人うん帰ろう」


「えっ、どういう事?」

「水森って言ったよね。高橋さんとどういう関係?」

「綾乃とは同中なんだ」

「でも名前で呼んだよね」

「まあ、仲良いから」

「へえーっ、じゃあ俺も友達に入れてくれ。さっき高橋さん友達作りたいって言っていたし」

 中々の強者だ。


「ゆっくり作ります」

「そうですか」

声を掛けた男の子が残念そうな顔をしている。


「何だ高橋さん彼氏持ちか」

「まあ仕方ないんじゃないか。あの可愛さだ」

「さっき友達作れたらとか言っていたのに」


 初日からこれか。ちょっと大変そうだな。


正則が寄って来た。

「明人やるじゃないか。高橋さん良かったな」

「はい」



校門から出ると

「いきなりばらしちゃったね」

「ああ仕方ないだろう。あの状況じゃあ無視できないし」

「ありがと明人。ねえ今日はどうするの?」


「うーん、家に帰って何も予定無い」

「じゃあ、一緒に遊ぼう。明人私の家まで一緒に来て。着替えてから明人の家に行く」

「良いけど。お昼どうしようか。俺の家に帰りながらコンビニで何か買うか」

「それでいいよ」


「明人、登校初日から仲いいな」

 一緒に駅まで歩いている正則が声を掛けて来た。


「まあな、正則たちはどうするんだ?」

「そうだな。薫と一緒だから。俺達も同じかな」

「なんだそれ」


駅に着いた。

「じゃあ正則、また明日な」

「ああ明人もな」


 あの二人も何か用事が有るのか。改札に入らずにどこかに出かけて行った。


「ふふっ、なんかやっと実感が湧いて来た。明人と同じ学校だって」

「そうか。まあ俺もそうだ」




 綾乃の家まで行くと彼女のお母さんが玄関に出て来た。

「ただいまお母さん」

「綾乃お帰り。あら明人君も一緒なのね。二人共昼食はどうするの?」

「明人と一緒にコンビニで買って食べようかと思っている」

「あら、じゃあ私が作ってあげるわ」



「いや、流石に悪いです」

「いいのよ。綾乃の彼氏さんなんだから遠慮しないで」

「お母さん、いいよ」


「でも」

「綾乃、お母さんも良いって言ってくれているから」

「…………」

 俺は何となく綾乃が言ったお母さんは私に興味ないみたいと言う言葉の意味を知ってみたかった。



 結局お昼は綾乃のお母さんの手作り昼食となった。俺はリビング兼ダイニングでソファに座りながら綾乃が着替え終わるのを待っていた。流石にお母さんの手前彼女が着替え中に部屋で待つ訳にはいかない。


「お待たせ明人。ごめんねお母さんが無理言って」

「いいよ、こっちが申し訳ないという気持ちで一杯だけど」




「綾乃、明人君昼食が出来たわ。一緒に食べましょう」


作ってくれたのは海老チャーハン、コンソメスープそれにトマトとレタスのサラダだ。

「簡単なものでごめんなさい。チャーハンはお代わりあるからいっぱい食べて」

「ありがとうございます」


 結局綾乃の家に一時半までいてしまった。

「済みません、いきなり来てご馳走になってしまって」

「良いのよ明人君。もっと来てくれて構わないわ」

「お母さん、じゃあ出かけてくるね。明人行こう」

「うん」



 綾乃の家から少し離れた後、

「お母さん、綾乃にとても優しく見えるけど」

「明人……今のお母さん。私の本当のお母さんじゃないの」

「えっ!」


―――――


綾乃からのいきなりの発言です。


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る