第4話 深まる秋に


次の日は日曜日、朝八時に起きた。顔を洗い着替えてからダイニングに行くと

「おはよう明人、日曜だというのに随分早いわね」

「おはようございます。母さん、父さん、姉ちゃん。今日家にいる?」


姉とは水森美里(みずもりみさと)。高校二年生だ。県下有数の進学校に通っていて成績もいい。その姉ちゃんが


「いるけど。なんでそんな事聞くの?」

「今日友達連れて来る。部屋で勉強するから」

「ふーん。何時頃?」

「十時位」

「分かったわ。ところで友達って中島君?」


「いや、女の子」

「「「えーっ!!!」」」

 何でみんな驚くの?



「え、えっ。明人どういう事?」

「別に俺が女の子の友達連れて来ちゃ駄目なのか?」

「そんな事ないけど」


「後、変に部屋覗かないでね。勉強しているだけだけど、相手に悪いから」

「まあ、変な声が聞こえなきゃいいよ」

「何言ってんだ!」



俺は一応綾乃の家がある駅まで迎えに行った。今日はまだいなかった。珍しいな。

少し待っていると

「明人おはよ」


 めちゃ可愛い、花柄のワンピースに白のスニーカ。手に勉強道具が入ったバッグを持て居る。眼鏡は掛けているけど前髪はピンでアップしている。

「おはよ綾乃。めちゃ気が入っている様な?」

「うん、明人の家族いるんでしょ。変なかっこ出来ないから」

「そ、そうか」



 俺の家に十時少し過ぎに着いた。

「ただいま」


タタタタタ。


なんと母さん、父さん、姉ちゃんが三人で玄関に来た。綾乃をじっと見た後、目を丸くしている。


「みんな、こちら高橋綾乃さん」

「初めまして高橋綾乃です。今日は明人君と一緒に勉強をする為に伺いました」

「は、初めまして。明人の母です」

「初めまして。明人の父です」

「初めまして。明人の姉です」


「あのさ、みんな。上がらせて。なんで三人で玄関で挨拶しているの?」

「だって、明人がこんなに可愛い子を連れて来るなんて」

「何言っているんだ。上がるよ。綾乃上がって」


「え、ええっ?もう二人共名前呼び?」

「姉ちゃんうるさい。行こ綾乃」

「はい。お邪魔します」

 綾乃は靴を脱ぐと揃えて端に置いた。


 二人で二階に上がると俺の部屋に通した。

「ごめん狭くて」

「ううん、いいよ。勉強できるスペースあるし」


コンコン。


「だれ?」


ガチャ。


「明人、飲みもの持って来た」

「開けないでって言ったのに」

「いいじゃない。ねえ綾乃ちゃん」

「はい」


姉ちゃんは、トレイに乗ったジュースのコップをそのままトレイ事ローテーブルに置くと

「綾乃ちゃん、ごゆっくり」

「ありがとうございます」



姉ちゃんが出て行くと

「ごめん、変な家族で」

「そんな事ない。みんな明人の事思っている。良い家族だよ」

「そうかな」

「そうだよ。それより昨日出来なかった分も今日は頑張ろうか」

「ああ」


カリカリカリ。


カリカリカリ。


「うーん、もう十二時過ぎた」

「もうそんな時間なの。明人お昼どうしようか?」

「二人でコンビニ行く?ファミレスだとお金かかるし」

「そうだね」

「じゃあ、ちょっと待って」


 万一と思ってダイニングに行って母さんに

「お昼コンビニ買いに行く」

「明人、何言っているの。もう作っている途中よ。もうちょっと待って。出来たら呼ぶから」

 やっぱり。


「分かった。上で待っている」


部屋に戻ると

「ごめん、やっぱり母さんが何か作っていた」

「えっ!でも悪いよ」

「もう作っているんだって」

「そっか。じゃあ頂こうかな」

「悪いな」

「謝る必要ないよ」




母さんはボンゴレスパゲティと簡単なスープを作ってくれていた。

「綾乃ちゃん、嫌いな物入ってない?」

「母さん作る前に聞いてよ」


「入っていません。私が好きなスパです」

「ふふっ、良かった。ゆっくり食べてね。私達はリビングにいるから何か用事あったら声掛けて明人」

「分かった」

母さんがリビングに行くと


「明人の母さん優しいね。いいな」

「良いなって。綾乃の家もお母さん居るでしょう?」

「いるけど、あまり私には興味ないみたい」

「そうなのか?」

 俺は綾乃の家族の事を知らない。今度聞いてみようかな。



その後も俺達は真面目に勉強を続けた。俺は復習中心だったけど、分からない所は綾乃が教えてくれたので大分進んだ。


午後三時半も過ぎた時

「一通り見直せた。問題集もやったから応用も何とかなりそうだ」

「良かった。成績の順位上がったら、また一緒にね」

「う、うん」

 どういう意味で言っているのかな?


翌月曜日から三日間、中間試験が有った。そしてそれが終わってから数日して


二位 高橋綾乃


十五位 水森明人


「明人凄いよ、学期末から二十位以上上がったよ」

「うん、綾乃も二位だね」

「明人を教えていて私も勉強になったから」



「ねえ、あの二人名前呼びしているよ」

「そうだね、でも高橋さんと水森君って接点有ったっけ?」

「さあ?」



教室に戻ると中島と今泉が寄って来た。


「明人凄いじゃないか。なんか一学期末試験に成績表に上がったと思ったらもう十五位かよ。どうしたんだ」

「勉強したから」

「そりゃそうだけど。何でそんなに急に勉強を」


「明人、高橋さんと付き合っているの?」

 急に今泉が口を挟んで来た。



チラッと綾乃を見ると何か期待している。もういいか。

「ああ、綾乃と付き合っているよ。勉強も彼女に教えて貰っているんだ」

「へーっ、潔いじゃない。まあ、でも高橋さんに教えて貰っているならね」


今度は隣に座る綾乃に向って

「高橋さん、明人と付き合っているの?」

「はい」

「明人、今度ゆっくり聞かせろよ」

「今度な」



「きゃーっ、聞いた。高橋さんと水森君。付き合ってんだ」

「いいなあ、私まだいないよ」

「まあ、高校もあるし」

「そだね。でも先長い」


女子が騒いでいる。



「ふふっ、明人言ってくれたね」

「ああ、もう良いだろう」

「じゃあ、登校も一緒でいい」

「いいよ」

「やったー!」



「しかし、水森の奴、高橋のどこがいいんだろ。痩せてぺちゃだし眼鏡だし」

「お前、そういう事言っているから彼女出来ないんだよ」

「お前もだろ」


男子諸君聞こえているぞ。


―――――


 遂に学校の中でも公開です。


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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