第40話 (閑話)わが村3。
お久しぶりです。
私、村人です。
前回はアベイユとカルオミガの件でしたが、今回は村そのものです。
ちなみに、以前我々の所で魔物を飼い始めたルンデル商会の会頭。
そして、会頭が連れてきたケイン様。
そのケイン様が男爵に陞爵、この村の領主になられました。
知っています?
前の税金って七割だったんです……。
でもね、今は三割……。
この差は大きいです。
収入が倍以上になります。
そりゃ私たちも働く気満々です。
コッコーの卵やホルスの乳で大きくなった子供たちも手伝ってくれます、嬉しいですね。
ある日、領主様になられたケイン様がこの村にやってきました。
何をするつもりでしょうか?
するといきなり、森を切り開き始めました。
「えーっと、カルオミガの巣があるのがあの辺だから、こっちに屋敷を置きますか」
そんなふうに独り言を言いながら、魔法で木を抜き、その木を運びます。
そのあと土地をならし大きな平らな土地を作ります。
(まさか……私たちのために開墾?
ひゃっほう!)
すると、何も無い場所から大きな屋敷が出てきて、ドンとその土地の上に乗りました。
(ですよねぇー。
確かに屋敷も無かったし。
要りますよねー)
ちょっと残念ですが仕方ありません。
領主様は手をかざし、玄関の階段が丁度いい所まで別邸を地面に埋めました。
そして、どこからともなく敷石が現れ、張りつけられます。
あっという間に屋敷の入り口までの道が出来ました。
ポンポンと東屋が配置されます。
こうして領主様の屋敷ができあがりました。
会頭が領主と話しています。
それに村長が加わりました。
ペコペコ頭を下げているのは生活が改善されたからでしょう。
実際、子供たちの栄養不足などは無くなっています。
しばらくして、館を囲う壁と、庭の芝生の工事が始まりました。
その後、領主様のお母様がこの屋敷に入りました。
お腹が大きいので、領主様の弟君か妹君ができるのでしょう。
綺麗なメイドも働き始めました。
村の男どもは、すれ違っただけで喜んでいます。
(私も妻さえ居なければ……という邪な気持ちは……少しあります)
庭師、馬丁などは、農家の次男三男を雇ってくれています。
王都や別の街で仕事を探す必要がある者たちなので、喜んで働いていました。
冒険者になって死んでしまうなんてよくある話です。
鍬しか握ったことが無い農民が冒険者になったってランクが低い冒険者にしかなれません。
ちょっと無理したら死んでしまうのです。
そして我が村に商店ができました。
ルンデル商会の支店です。
ルンデル商会は領主様の御用達の商会だからでしょう。
今後、納税や余剰な作物の買取をこの商会ですることができるようになりました。
今までは、ホルスの乳やコッコーの卵については、読み書き計算ができる村長が確認をした後、王都側で数量の確認をしていました。
そのせいで、たまに量が足りなかったりすることもありましたが、ここで数量チェックをして、そのまま王都のルンデル商会に運べばいいので、安心です。
運搬に関しても、今まで通り村人を使ってくれるので、ありがたい事です。
ちゃんと賃金も出ます。
支店ができて喜ばしいのはもう一つ。
わざわざ王都に向かわなくても商品があるということです。
もし品ぞろえとして無くても、注文すれば次の日には届きます。
農具などが壊れても、修理に出せば二、三日で直ってきます。
一番いいのは、妻が化粧をし始めました。
薄化粧ですがやっぱり違います。
前は化粧品の匂いなど妻からすることはありませんでしたからね。
まあ、お陰で盛り上がりそうです。
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