第18話 とても長い一日

GM : では少しずつ始めていきたいと思います。

リゼロ : よろしくお願いします!

ルート : よろしくお願いします!


GM : ここは、タッカーの町にある冒険者ギルドの一室。ルートは倒れた後、室内に運び込まれて休息を取らされていました。

傍ではリゼロが不安げにあなたの事を見つめています。

GM : 時間は依頼を終えた3日目の昼前頃です。

レッドと旅に出た夢を見た後です。好きに起き上がって構いません。

リゼロ : 「ルート……」

ルート : 「う……」リゼロの声に反応しますが、うなされてます。

リゼロ : 「倒れるなんてこと……これまでなかったのに」

ルート : うなされながらも、リゼロの声に目を覚まします。

ルート : 「……ここは……」

リゼロ : 「ルート! よかった……!」

リゼロ : 「ギルドの人に、部屋を貸してもらったの。起きないかと思って、怖かった……よかった。きっと疲れてたのね」

ルート : 「そうか、済まない、リゼロ……」

ルート : 「心配させちゃったな」

GM : 起き上がると、リゼロが脱がしてくれたのか青マントが枕元に置いてあります。しかし、貴方は記憶の同一性による不安感でそれを見るのは苦痛かもしれません。

リゼロ : 「いいのいいの。通行書貰うのに1日余裕があったから、今日はゆっくりする事になると思っていたし」

ルート : 「そうか、そうだった、な」

ルート : 「……リゼロ」

リゼロ : 「なぁに?」

ルート : 「……夢を見たんだ」

ルート : 「俺の、成人式の日……レッドが、一緒に居てくれて」

リゼロ : 「うん」

ルート : 「成人式には、レヴナントが現れて……レッドと一緒に、倒したんだ」

リゼロ : 「その話、初めて聞いたわ。なかなか危ない事に出会ってたのね」

ルート : 「初めて聞いた、か。俺もずっと、忘れていた気がする」

リゼロ : 「ルートのレッドの話は、いつも着ているマントを手に入れたお話をよく聞かされてたから」

ルート : 「ああ、このマントは……」

ルート : 「……大事なもの、だよ」青のマントを見つめながら。

リゼロ : 「どうしたの? ルート。レッドの夢を見たのに、なんだか不安そう……」

ルート : 「……最後にいつ、レッドの声を聞いたのか、思い出せないんだ」

ルート : 「夢の中のレッドの声は、とても懐かしかった」

リゼロ : 「え……でも、ルートは初め会った時から、旅に出た人を追ってるって」

リゼロ : 「別れた時が、思い出せないの?」

ルート : 「……わからない」

ルート : 「俺は、その成人式の日から、レッドと冒険に行けると思ってたことを思い出した」

ルート : 「なんで、レッドと一緒じゃないんだろう」

リゼロ : 「!」

ルート : 「俺は……リゼロと会うまでの間、いつから、一人で旅をしてたんだ?」

ルート : 「思い出せない」

リゼロ : 「でも……でも」

リゼロ : 「私と会った時から、ルートは青いマントを着てた。だから、何があってもルートが青いマントを着てここにいる限り。小さい頃手に居れたマントがここにあるのは間違いない。ルートは……ルートとしてここにいるわ」

リゼロ : 「何があったか分からない。でも、きっと思い出すわ。私も手助けする。だから……不安にならないで」

ルート : 「……ああ、済まない、リゼロ」心配そうなリゼロに、少し笑ってみせる。


リゼロ : 「……」

リゼロ : 「ルート……」

リゼロ : 「何か、何かあるはずよ……ルートの過去に繋がる……」

リゼロ : 「……!」

リゼロ : 「ルート。出会った時のカササギのこと覚えている?」

ルート : 「覚えてる……と思う」

リゼロ : 「あの時、報酬を盗まれたでしょ」

ルート : 「ああ、まだ街について間もない時だった」

リゼロ : 「そうそう。ルート、あの時の報酬袋、ルートが棄てる前に取っておいたの」

リゼロ : 「出会った記念にと思って。確か、裁縫入れにしてあるからここにあるはずよ」 荷物を探って

リゼロ : 「ほら……これ。商隊名と、受け取りのルートの名前が書いてある。あとは値段ね……」

リゼロ : 「商隊の名前は――」

リゼロ : 「タラフク。あら、私ここ知ってるわ……ガメル神の信者がやってる商売人ね」

リゼロ : 「意外と有名なところが来たから、ちょっとびっくり。証拠として小さな隊かも思ってたから」

ルート : 「そういえば、あの商隊とどう関わり合いになったのか、よく覚えていない……」

GM :ルートはタラフクについて、セージ+知力で判定してもいいですよ。目標値は10。


ルート : 2d6+5+2 セージ+知力 (2D6+5+2) > 7[2,5]+5+2 > 14


GM : 各地に大きな隊をもつ商隊です。商人ギルドの傍には確実に彼らの拠点があります。また、大きな商売人で護衛としての強さから、戦争の時に兵隊を運ぶような注文を請けたりしている事もあるそうです。

ルート : 「あの商隊、タラフクのものだったのか」

リゼロ : 「うん。商売人なら必ず護衛依頼の記録は付けていると思うから、商売人ギルドの本部に行ったら……まだ記録があるかもしれない」

リゼロ : 「ルート、思い出せるかも! どう?」

ルート : 「商人ギルド、タラフクの本部か……」

ルート : 「どうせまだ時間がかかるなら、行ってみてもいいかもな」

リゼロ : 「そうそう、外に出ましょ? いい結果が待ってるかも」

GM : じゃあ、タッカーの町での妖精国側の商人ギルド本部へと向かいますね?

ルート : ごーごー


GM : では、貴方達はギルド本部に付きました。

ここでは商人の情報交換や、資料の保存が行われているようです。

リゼロ : 「まあ、人が沢山いるけど、やることは役所と一緒よ。ルート、護衛依頼の記録について聞いてみるだけ」

ルート : 「ああ。そう、だな」

ルート : どこか不安げに、受付に要件を伝える。

受付 : 「はい、何か依頼を請けた証明書などはお持ちでしょうか?」

リゼロ :リゼロがそっと報酬袋をルートの手に渡す。

ルート : 「この銀貨袋に印が入ってたはずだ。これでどうだろうか」

ルート : といって、さりげなくうけとった報酬袋を受付に出す。

受付 : 「! はあ、なるほど。それに関してなら、こちらです……付いてきていただけますか?」

GM : 何か察したように、奥の通路の方へ案内されます。

ルート : ついていこう

GM :ルートはこの雰囲気に何か身に覚えがあります。

スカウト+知力、目標値12でどうぞ。


ルート : 2d6+6 スカウト+知力 (2D6+6) > 4[3,1]+6 > 10


GM : 気づけませんでした。が、警戒心だけもちました。

ルート : (この場では話せないことか?……考えすぎか)

GM : 奥の部屋の扉が開き、案内してくれた受付さんは「どうぞ」と言って下がっていきます。防音室のように壁が分厚い部屋の中に、一人盗賊ギルド職員らしき人物が立っています。

ルート : 警戒しつつ、声をかける。「すまない、訪ねたいことがあるんだが……」

盗賊ギルド職員 : 「いらっしゃい、新規のお客さん。 立ち話で済まないが、どんなものを運ぶのか聞こうか」

と、少し勘違いをしているような話ぶりで、話しかけてきます。

ルート : 「運ぶ? いや、俺達は訪ねたいことがあって来たんだ」

盗賊ギルド職員 : 「訪ねたい? ん? そのお嬢さんを国境外に逃がすとかいう依頼ではない……?」

ルート : 「どうせなら北の港まで、と言いたいところだが……そうじゃないんだ」

盗賊ギルド職員 : 「なんか訳がありそうだな。」

盗賊ギルド職員 : 「わかった、聞いてやる。だが一つだけ。

アンタの持っている報酬袋。タラフクの印に〇が付いている奴は、運び屋の印だぜ」

リゼロ : 「え…??」

ルート : 「そうだったのか。作法を違えていたことは謝る。だがこれは俺の、訪ねたいことの手がかりなんだ」

盗賊ギルド職員 : 「ふむ……詳しく」

ルート : 「俺は……どうも、記憶喪失らしいんだ」

盗賊ギルド職員 : 「ん? んん……そうなのか」

ルート : 「それで、出来るだけ自分の足取りがわかるものを探してる。この報酬袋を持った隊のこと、記録が残ってないか?」

盗賊ギルド職員 : 「そうだな……俺たち、タラフクのミルタバルの職員は、運ぶ物品や依頼人に対して詮索はしないから、難しいが……」

盗賊ギルド職員 : 「依頼内容の概要は簡潔には聞いてはいたりする。俺たちが引き受ける大体の理由が”追手に追われている”だ」

盗賊ギルド職員 : 「だから、その報酬袋がここにあるってことは、依頼者であるお前かもしくは、お前が物品で追手から逃れるために運ばれたって可能性は高いな」

リゼロ : 「ルートが、狙われてたってコト?」

ルート : 「……驚いたが、なるほどな。あり得なくはないか」

ルート : 「俺はあの街で"荷下ろし"された可能性もあるのか」

リゼロ : 「この袋は、そのまま消えて証拠が無くなってたこともあったのね」

盗賊ギルド職員 : 「その報酬の形を知らないってことは、荷下ろしの方だろうね」

盗賊ギルド職員 : 「どの町に下ろされたか聞いてもいいか?」

ルート : 「ロッテだ」

盗賊ギルド職員 : 「あそこか……大分遠いところにやる時に使われる場所だな」

盗賊ギルド職員 : 「そこまでしつこい奴は大体想像はつく」

盗賊ギルド職員 : 「大体この場合の追手は人間ではない、アンデッドだ」

盗賊ギルド職員 : 「アンタ、たぶん憑かれてるよ」

ルート : 「……冗談じゃないな、そんな厄ものだったのか、俺は」

リゼロ : 「で、でも、今までアンデッドなんて……」

リゼロ : 「会ってないし、因縁も無いわ」

リゼロ : 「ルート? ね?」

ルート : 「心当たりはないが、今は、何がわからないのかもわからないんだ。否定もできない」

ルート : 「俺に追手が掛かっているなら、それも手掛かりだ。例えアンデッドだろうと」

盗賊ギルド職員 : 「ははは、そうだな。面識のある奴が出てくるかもしれねえ……だが、そいつならきっとあんたの事を知ってるさ」

盗賊ギルド職員 : 「そして、大体の運ばれた範囲も分かるかもしれねえな」

盗賊ギルド職員 : 「今もアンタを探して彷徨ってる……」

盗賊ギルド職員 : 「ま、気をつけな。どうだ、聞きたいことは聞けたか?」

盗賊ギルド職員 : 「よかったら、高額で護衛してやるぜ」

ルート : 「一応聞くが、いくらだ?」

盗賊ギルド職員 : 「1人10万」

ルート : 「冗談……でもないか。確かに相場だろうな」

盗賊ギルド職員 : 「ん、国境をスッと超えちまうからな」

盗賊ギルド職員 : 「違犯分高額なわけ」

盗賊ギルド職員 : 「おけー?」

ルート : 「覚えておくよ」

盗賊ギルド職員 : 「依頼無いのだったら、そろそろ帰ってくれ。あ、くれぐれも内密にな」

盗賊ギルド職員 : 「ご利用したい時は、タラフクのギルド本部へどうぞ」

盗賊ギルド職員 : 「お待ちしてますぜ」

ルート : 「その時はキッチリ耳を揃えて来よう。ありがとう」

リゼロ : 「ありがとう。どこかで」

盗賊ギルド職員 : 手を振ってくれます

GM : では、貴方達は室内を出ることにしました……


GM : 室内を出て、ギルドに戻ってきました。お昼になったのか、休憩をはさんで職員が食事を摂っている姿があります。

GM : ついでに、今回はタイムがゆっくり流れているので、時間を細かく気にする必要はありません。

GM : さて、不思議な情報が出てきたあなた達は、ギルドの奥から出てきます。周りの状況はお話した通りです。

リゼロ : 「ルート、私、ちょっと混乱しているわ」

リゼロ : 「ルートの方は、どう?」

ルート : 「俺だって、混乱しているよ」

リゼロ : 「そうよね……とりあえず、お昼にする?」

ルート : 「そうだな」

GM : では、いったん外に出ます。

ここの商人ギルト周りは、倉庫街も兼ねているのもあって、運搬をしている業種の人用の食事処が開かれているようです。

GM : 貴方達は、手短にそこの食事処を利用する事になります。

店員 : 「いらっしゃーい」

GM : ドアのベルと共に、貴方達はがやがやとした食事処に来ました。

GM : 二人で座って待っていると、他にも運搬業を終えた御者らしき人達が入ってきていますね。

店員 : 「メニューが決まったらお知らせください」

GM : といって、騒がしいですがゆったりとした昼頃になります。

リゼロ : 「ふう」

リゼロ : 「とりあえず、食事しながら、ね」

ルート : 「食える時に食っとこう」

リゼロ : 「川魚のリゾットがあるから、私はそれにするわ」

リゼロ : 「ルートはどうする?」

ルート : 「香草焼きにするか。それと、リゼロと同じものを俺も頼もう」

リゼロ :リゼロはメニューを頼むと待ちながら、思案気味にルートに話しかけます。

「この袋があの日手に入ったとなると、私と会う直前までルートはロッテの町まで運ばれてきてたってことになるわよね」

ルート : 「あの話の通りなら、そうなる」

ルート : 「自分でも疑問が尽きないが、心当たりが何もないからな」

リゼロ : 「最大の疑問は、誰かがルートを運ばせたってところよね」

リゼロ : 「何かきっかけが……あれば」

リゼロ : 「どうして? 何のために?」

ルート : 「追手から逃げるためによく利用される、と言っていたな」

リゼロ : 「確かなことはあまりないけど、装備も新調しておいた方が良いかもしれないわね」

GM : そう、貴方達が話していると……


??? : 「ん? おーい」 とこちら側に手を振る客が居ますね

ルート : 「……ん?」あたりをキョロキョロ。

??? : 「青いマントを羽織ってなかったから分からなかったけど、もしかしてルートわう?」

??? : 「ほら、俺。俺わう。護送任務の時に一緒だった……」

ルート : 彼は覚えてていいのかな?覚えてない?

GM : プレイヤーに無い情報は、ルートも知らないで大丈夫ですよ。

ルート : はーい

ルート : 警戒しつつ「……護送任務?」

??? : 「……? あれ? ルートじゃないわう?」

リゼロ : 「ルート! そのリカント! 大事な人かも!」

??? : 「1年前いくらいに、徴兵で後方支援で一緒になったわう。僕はタラフクの商人でもあったから、後方の物資補給で一緒になってたわう」

??? : 「本当に覚えてないわう? 名前は、チャクフクでチャフって呼ばれてたわう」

ルート : 「……よかったら、話を聞きたい」

チャクフク : 「分かったわう。積もる話もあるわふん」

チャクフク : 「席、少しお邪魔するわう」

チャクフク : といって、同席しますね。

GM : メニューが運ばれる中、謎の人物と共に会食されます。

リゼロ : 「あなた、ルートのこと知ってるの?」

チャクフク : 「部隊が一緒だったことがあって、1年前の魔導国と蛮族の戦争に一緒になったことがあったわふ。ただ、知り合いっていう程度で、レッドが横にいたから、俺の影は薄かったかもしれないわふ」

チャクフク : 「当時の二人は結構目立ってたわふ。軍隊の制服に赤いマントと青いマントを羽織って楽し気にしていたから」

ルート : 「レッドのことも知ってるんだな」

チャクフク : 「もちろんわふ。お肉をよく分けてくれたいい人わふ」

ルート : 「魔導国と蛮族の戦争……そうか、俺はレッドと傭兵として旅に出ていたんだな」

チャクフク : 「ただ、もう一人背格好が似た同名の人が居たから、ルートは青いルートって部隊内でよばれてたわふ~。あの頃は、大変だったわふ」

チャクフク : 「今、僕はタラフクで務めながら、妖精国の戦争の支援をしているわふ」

チャクフク : 「ルートは今も傭兵をやっているわふ?」

ルート : 「今は……休業中だ。レッドを探してる」

チャクフク : 「レッドを探しているわふか、やっぱり何か巻き込まれてたわふね」

チャクフク : 「……? ルート、傭兵に配られている手帳はどうしているわふ? 徴兵の免除はしてもらったわふ?」

リゼロ : 「あ、ルート。あれよ、傭兵業するときの身分証明書……」

リゼロ : 「私も見せてもらったわ。ルートに仕事請けてもらってたから」

ルート : これは今手元にあるアイテムかな?

GM : あるよ。胸元を探ったら出てきます。自然といつも使っているものですね。

GM : 出してみます?

ルート : ふと思い至って、無意識に慣れた手付きでそれを取り出す。

GM : 怪我をしたのか少し乾いた血糊がついた、羊皮紙の小さなポケット手帳が出てきます。

ルート : 「……これのこともずっと忘れてたな」

リゼロ : 「懐かしいわね。ルートの下の名前を知ったのもこの時だったかしら?」

 と、リゼロが言うのですが……

GM :ルート、貴方に下の名前はありません。

ルート : ファミリーネーム喪失!

ルート : メタいとこに繋がってきたな

GM : 手帳を確認してみますか?

ルート : みてみよう

GM : 魔道国の所属と、傭兵番号。そして「ルート・ウェルナー」という見知らぬ名前が出てきます。

ルート : 見知らぬ名前

GM : 更に後ろには、メモ書きが複数書かれていますが、字が汚く読むのに時間がかかりそうです。

GM : とりあえず、この手帳を見せるかどうかだけ。

ルート : 「俺は、自分のファミリーネームまで忘れている……?」


ルート : 「……これで合ってるか?」

ルート : 手帳をみせる

GM : 誰に見せてますか?  全員?

リゼロ : 「私が知っているのは、この名前ね。ルートの名前」

チャクフク : 「……? ウェルナー? ルートの故郷の名前をつけて呼ばれる事があったわフが、ルートは単独の名前で呼ばれてたわふ」

チャクフク : 「これは……別の人の手帳わふね。ウェルナー……ウェルナー……」

チャクフク : 「たしか、同名の影の薄いルートの方がそういう名前だった気がするわふ」

チャクフク : 「……? なんで、その人の手帳が?」

ルート : 「これが、俺のものでないなら……俺のことは、なんて呼んでた?」

チャクフク : 「ただのルート……ルートのままよんでたわふ」

チャクフク : 「だから青い方のルートとか舞台では呼ばれてたわふふ」

ルート : 「そう、か」

リゼロ : 「……ルートは青いマントをつけてたから、青いルートって呼ばれてたのよね?」

リゼロ : 「でも、今は青いマントをつけてないわ」

リゼロ : 「分かったのはどうして?」

チャクフク : 「匂いわふ。リカントは顔より匂いの方で覚えているわふから。視覚より確実わふ」

チャクフク : 「ここのルートは青いルートわふ」

ルート : 「匂いか。なるほどな」

チャクフク : 「……何か、おかしいわふね。もしかして、ルートは何か困ってるわふ?」

チャクフク : 「レッドもいないし、マントも着ていないし、謎の手帳わふ……」

チャクフク : 「チャフの事を忘れるのは分かるけれど、大分変なことになってるのは聞いてたら分かるわふ」


リゼロ : 「ルート、話して…見る? ルートの事」

ルート : 「今頼りになるのは、彼だけだ。少しずつ確認していこう」

リゼロ : 「うん。もしかしたら、危ない事かもしれない、どこかゆっくり話せる場所はある?」

チャクフク : にっこり笑って

「チャフの家に来るといいわふ」

チャクフク : 「お茶くらいだったら出せるわふ~。来るわふ?」

GM : 食事を終えて、ついて行ってみますか?

ルート : もちろん


GM :チャクフクから過去のルートの動向を教えてもらった貴方達。

GM : 記憶の断片を拾い集めるために、彼の家を訪ねることにします。

チャクフクは雇い主に仕事を上がることを伝えるため、先に行っていてほしいとカギを預けてくれました。

GM : 現在、彼の家まで来ています。

GM : それなりに仕事で儲けているのか、一軒家ですね。

リゼロ : 「鍵、貰ったから開けるね。ルート?」

ルート : 「流石に大丈夫だろう、入って待っておこう」

リゼロ : 「おけ。おじゃましまーす」

GM : はいると、ロッキングな家具が広がっています。

とても野生的です。

リゼロ : 「椅子を借りましょう。あと、あのねルート」

リゼロ : 「彼が来る前に、ルートの夢で見た教えてもらってないレッドとの記憶を聞いてもいい?」

ルート : 「今朝の夢のことか?」

リゼロ : 「そう。私も初耳だったから、詳しく聞きたいの……今のところ、彼との最後の記憶のようだったし」

リゼロ : 「何か、分かる事や思い出せることがあるかも……」

GM : ここは、リゼロにお話しすると言えば情報が渡せます。詳しく言葉で話す必要性はありません。

ルート : 「そうだな。見た夢のことを、思い出せる限りで話そう」

GM : 貴方はゆっくりとリゼロに語ります。

すると、過去の記憶がおぼろげに思い出されていく感覚があります。

少しづつですが、レッドとの旅立った村の風景を思い出していきます……


GM : 突然ですが、少し過去へと戻ります。

思い出されていくのは、旅立った時の見送られる風景です。

GM : 田舎の風景が広がり、荷物を持ってルートはレッドと共に見送りをされています。

村長 : 「本当に行ってしまうのかの?」

村長 : 「別に、旅に出んでも兵士として村に残る人生もアリだと思うのじゃ」

レッド : 「ああ、俺の個人的な決意に……ルートを付き合わせることになっちまうが。俺たちは魔導国の方に行こうと思う」

レッド : 「すまねぇな、ルート。ありがとう」

妖精チイ : 「ちーっちちち、なんかあったらチイがたすけるっち」

GM :ルートの見送りには、お父さんが居ますね。

貴方はお母さんとは会ったことがありません。ただ、別れたことを小さい頃に聞かされたような気がします。

お父さん : 「ルート……」

ルート(少年) : じっと父を見る

お父さん : 「大きくなったな。旅に出るところまで行くとは思っていなかった」

お父さん : 「お前は、どこか内に引っ込むところがあるから。大きな旅をしないだろうと、勝手に思っていたよ」

お父さん : 「……魔導国に行くなら、ホーン村の叔母さんに会いに行きなさい。昔澄んでいた時にお前と会っていたはずだ。今もお前の事は愛していると思う」

お父さん : 「山に向かう途中、ホーン村という場所がある。叔母さんへの手紙を作ってバンダナの額宛に入れておいた。叔母さんに渡して欲しい」

お父さん : といって、貴方の頭に自分のバンダナで作った額宛を巻いてくれます。

お父さん : 「風邪、引くなよ」

ルート(少年) : 「わかった。いままでありがとう、父さん」

お父さん : 「ごはん、食べるんだぞ」

お父さん : 「人に会ったら、挨拶を欠かさずにな」

お父さん : 「お金は節約するんだぞ」

村長 : 「父君、別れ惜しいが……」

魔剣:ランタン : 「彼の事は私に任せてほしい! 私が彼の生活を見守ってやろう!」

レッド : 「じゃあ、行くか? ルート」

ルート(少年) : 「うん、大丈夫だよ」

レッド : 「よし、いってきます!!」

妖精チイ : 「いってきまーすっち!」

魔剣:ランタン : 「はははは、いってくるぞー」

ルート(少年) : 「行ってきます!」

お父さん : 見えなくなるまでずっと手を振ってくれる父の姿が、遠く遠くなっていくのでした。

GM : こうして、貴方は故郷を巣立ち……レッドと共に魔導国を目指して旅に出ました。

レッド : 「目指すは、山に落ちた隕石の伝説だ! いくぜ!」

GM : といって、しばらくの徒歩が続き……


GM : 3日ほど歩いて野営をしていた時です。

GM : レッドは貴方に火の番を任せて、木の素材を探しに行っています。

GM : 一人、ぱちぱちと揺れる火を眺めているところですね。ちょっと眠いし暇です。

GM : どうしていますか?

ルート(少年) : 荷物のとか、手紙がちゃんと入ってるか

ルート(少年) : とか確認してます

GM : 手紙は入ってますね。荷物も問題ないでしょう。

魔剣:ランタン : 「少年、心配そうだな」

ルート(少年) : 「……うん、まだ心も体もそわそわしてる」

魔剣:ランタン : 「旅慣れないせいもあるだろう。何せ短い人生でもあるからな……人は」

魔剣:ランタン : 「しかし、初心というものが消えない時も大事なものだ。忘れてしまう奴もいるからな」

ルート(少年) : 「色々見てきたって感じだね?」

魔剣:ランタン : 「結構古いからな私は……」

GM : といったところで……ルート、聞き耳判定をどうぞ。目標値7

ルート(少年) : 2d6+3 聞き耳判定 スカウト (2D6+3) > 10[4,6]+3 > 13

GM : 貴方の背後で草を踏む足音がします。

ルート(少年) : 「……レッド? 戻ってきたの?」


徴兵逃れのスニフ : 「ヒヒヒ。よぉ」 手を上げて出てきたのは、レッドではなく、彼の先輩である男でした。

徴兵逃れのスニフ : たしか、レヴナント化して倒したはずの存在です。

徴兵逃れのスニフ : 「まだレッドなんかと一緒に居るのか?」 じわじわと草を踏んで、ルートのところにやってきます。

ルート(少年) : 「! それ以上近づくなっ」

徴兵逃れのスニフ : 「おお、怖い声出しちゃって。落ち着けよ。じゃあ、俺と一緒に来ないか? 俺の主人が、お前の事を気に入っててな」

ルート(少年) : 「お前と? 嫌に決まってるだろ」

徴兵逃れのスニフ : 「じゃあ、強制的に連れて行きますかね」パチンと指を鳴らすと、スケルトンが背後から2体現れます。

ルート(少年) : 「くっ……」


レッド : 「蒼炎のぉおおおお!!!」

レッド : レッドが奪取で駆けつけて間合いに入ってきます。

レッド : 「てめぇ! スニフ!! 生きてやがったのか!」

徴兵逃れのスニフ : 「五月蠅いのが……いけ、スケルトン! こいつを黙らせろ!」

レッド : 「ルート、戦闘は出来そうか!?」

ルート(少年) : 「怖いけど、スケルトンぐらいなら……!」

レッド : 「よし、いくぜ!」


GM : スケルトン二体との戦闘です。

GM : 知識判定をどうぞ。


ルート(少年) : 2d6+1+2 魔物知識 (2D6+1+2) > 6[5,1]+1+2 > 9


GM : 抜けました。スケルトン一巻のp356

GM : そして、先制判定をしましょう。目標値が10

ルート(少年) : 2d6+4  先制 (2D6+4) > 7[5,2]+4 > 11

GM : 抜きました。先制そちらからです。

レッド : こっちからいくぜ!

レッド : 2d6+4 命中 (2D6+4) > 10[5,5]+4 > 14

レッド : k28@10+5 ダメージ KeyNo.28c[10]+5 > 2D:[6,6 1,3]=12,4 > 10,3+5 > 1回転 > 18

system : [ スケルトン ] HP : 15 → 0

レッド : 「っしゃあ!」 ガッツポーズ

GM : コイツ……一発で!?

ルート(少年) : 「さすがレッド!」

レッド : 「蒼炎、任せたぞ!」

ルート(少年) : 「やってみる!」


GM : 残りのスケルトンに、命中どうぞ。

GM : 目標値9です。

ルート(少年) : 必殺宣言していくよー

ルート(少年) : 2d6+3  命中 (2D6+3) > 8[3,5]+3 > 11

GM : ダメージどうぞ。

ルート(少年) : k16+7@11#1 必殺攻撃ダメージ KeyNo.16c[11]a[+1]+7 > 2D:[3,5]=9 > 6+7 > 13

system : [ スケルトン(1) ] HP : 15 → 5


GM : スケルトンのターンです。

GM : レッド狙いで、スケルトンの攻撃。

GM : 目標値9で回避どうぞ。

レッド : 2d6+4 回避 (2D6+4) > 9[4,5]+4 > 13

レッド : 余裕で回避だぜ。

GM : そちらのターンです。

レッド : 「分からせてやれ! ルート!」

ルート(少年) : 「うぉぉぉっ!」

ルート(少年) : 2d6+3  命中 (2D6+3) > 4[2,2]+3 > 7

ルート(少年) : 運命変転!

GM : 5、5ですね。通ります。

ルート(少年) : k16@11+4 ダメージ KeyNo.16c[11]+4 > 2D:[5,4]=9 > 6+4 > 10

system : [ スケルトン(1) ] HP : 5 → -2


徴兵逃れのスニフ : 「くっ、つかえねえ骨が! なんで手馴れてるんだよ……っ」

徴兵逃れのスニフ : スニフは撤退していきます。

レッド : 「大丈夫だったか? ルート!」

ルート(少年) : 「なんとかね」

ルート(少年) : 「レッドがすぐ来てくれてよかった」

レッド : 「ああ、ランタンが暗いところまで出て来て、信号を送ってくれてたんだ」

魔剣:ランタン : ドヤァ

妖精チイ : 「あいつなんだっチィ? 生きてたっチ!」逃げたスニフの方を見ながら。

レッド : 「……俺があった時は、アンデットなんて連れていなかったはずだが……」

レッド : 「ルート、何か言っていなかったか?」

ルート(少年) : 「俺のことを連れてくって言ってた、かな」

レッド : 「分かんねえな。 俺が徴兵逃れを拒んだから、ルートに切り替えた……にしては」

レッド : 「……ルート、厄介なことになるかもしれない。が、安心しろ。俺がいるからな」

ルート(少年) : 「心配してないよ、大丈夫」

レッド : 「そうか! 強いな! とりあえず、今日は俺が見張ってる。ゆっくり休んでくれ」                        

ルート(少年) : 「……うん、ありがとう。そうする」

GM : 魔導国行く途中。死んだはずの先輩が現れ、貴方をつけ狙うことを宣言された不気味な事をルートは思い出します。

そして、またリゼロがいる現実へと戻るのでした。


リゼロ : 「レヴナント化したはずの徴兵逃れの先輩が生きてた……ね」

リゼロ : 「まだ分からないけど、何かしらルートに用があったみたいね」

ルート : 「少しずつ、思い出せている……かな」

ルート : 「そう昔のことじゃないのに……なんで忘れていたんだろう」

リゼロ : 「うん、でも、分かったことが一つあるわ」

リゼロ : 「ルートの忘却は、思い出せるものだってこと。誰かに封印されたり、呪われたものかもと思っていたけれど」

リゼロ : 「もしかすると、同じ場所に行ったら簡単に思い出せることかもしれないわ」

リゼロ : 「レッドと一緒に魔導国に行って、何かあったんだわ……少なくとも、私たちの行き先と被っている以上、展望は明るいわね」

リゼロ :リゼロはたくまし気に希望を持っています。

リゼロ : 「叔母さんの村に……行ったのかしら?」

ルート : 「……わからない。曖昧な感覚だ」

リゼロ : 「そうよね。何か、証拠になるものが多いといいのだけど」

GM :ルート、貴方は今の今まで額宛をしています。

GM : 確認してみれば、分かりそうですね。

ルート : 「……まさかな」

ルート : 自分の鉢金を解いて開いてみる

GM : そこには手紙の姿はありませんでした。

しかし、その代わりにあった物があります。

GM :ルートの鉢金に入っていたのは、髪の毛でした……


ルート : 「……?!」ゾワッ

リゼロ : 「ルート、何それ……」

ルート : 「獣の毛……にしては細く長いな。誰かの髪、か……?」

ルート : 「どうしてこんなものが……ここには叔母さんへの手紙が元々入っていたはず」

GM : 三つ編みにされ、上と下をひもで結ばれています。一本の房となっていますね。色は赤茶色です。

リゼロ : 「お、お、お、落ち着いてルート」

リゼロ : 「な、な、な、何かの証拠になるはずだわ」

リゼロ : あわあわあわ

ルート : 「……はー。得体が知れないと不気味だが、拡げたままにもできない、一旦しまっておくか」

チャクフク : 「かえったわふー」

チャクフク : 話し終えたタイミングで、チャクフクが帰ってきます。

チャクフク : 「二人とも、お待たせして悪かったわふ。記憶に関する事、何か少しわかったりしたわふ?」

リゼロ : 「い、一応ね! なんか、出る物は出たわ」

ルート : 「昔のことが少しと……あと、これ、かな」

ルート : 鉢金にしまわれている髪の毛を示す

チャクフク : 「わ。 出たわふね……」


チャクフク : 「ルートの記憶喪失の原因、分かったかもしれないわふ」

チャクフク : 「でも、その前にお茶をいれるわふよ」

チャクフク :チャクフクは、キッチンで茶を沸かしてあなた達に差し出します。

リゼロ : 「どうも……で、この。この、不気味な物体は何?」

チャクフク : 「神官が護符を作る時に、何かしら力あるものを使用すると聞いたことがあるわふが。これは、その一つの緊急時に使った物体だと思うわふ」

チャクフク : 「大分焦って入れられてたに違いないわふね。チャクフクも、一度見たことがあるわふ」

ルート : 「それが記憶喪失とどう関係してくるんだ?」

チャクフク : 「そして、大体それは戦争が起こった後に民間でもお守りで使用される事があるわふ。じつは、とあるモンスターに対する魔除けに使われているわふ」

チャクフク : 「そのモンスターが、記憶を奪ったり消したりする厄介な奴だわふ」

ルート : 「魔除け、そして記憶を奪うモンスター、か」

チャクフク : 「もしかしたら、聞いたことがあるかもしれないわふ。モンスターの名前は――エムパミャチ」

GM : 15を目標にセージ判定をどうぞ。


ルート : 2d6+5+2 セージ+知力 (2D6+5+2) > 9[6,3]+5+2 > 16


リゼロ : 「ルート、知ってる?」

ルート : 「一応。悲劇や、忘れたい記憶を持つ者を糧にする亡霊らしい」

チャクフク : 「その護符に使われている髪の毛は、解かない方が良いと思うわふ。多分、ルートの記憶を”結び付けて”いる呪いがかかっているわふね。解いたら飛んでっちゃうかもしれないわふ」

チャクフク : 「現ミルタバル神官からの警告わふん」

リゼロ : 「頭の鉢金についてるって、そういうこと!?」

ルート : 「守ってくれていたもの、ということか」

チャクフク : 「誰がやったか記憶にないわふ?」

ルート : 「神官の知り合いなんて居たかな」

チャクフク : 「ちょっとだけ、嗅がせてもらってもいわふか?」

ルート : 「ん? 別に構わないが」

チャクフク : 「失礼するわふん」

チャクフク : くんくん

チャクフク : 「……」

チャクフク : 「……僅かに、ウェルナーの匂いがするわふね」

リゼロ : 「手帳の持ち主の人?」

チャクフク : 「何者かがウェルナーの髪の毛を護符としたか、もしくはウェルナー自身が騙らせてルートを送り出した可能性があるわふ」


チャクフク : 「ウェルナー……」 縁があったのか、少ししんみりしてますね

ルート : 「……チャクフク……チャフは、ウェルナーのほうのルートとも交流があったのか?」

チャクフク : 「ちょっとだけ、裏の話と、僕から見た二人のルートの縁を話させてもらうことになるわふ」

チャクフク : 「離す前に、ウェルナーと僕の縁について話しておくわふ。チャフは実は国境越えを請け負っている裏で仕事をしているわふ」

チャクフク : 「ウェルナーからは一度、魔道国側で蛮族との戦争が起こる時に手伝ったことがあるわふ。徴兵逃れではなく……徴兵されるために」

チャクフク : 「影のあるやつだったから、死に場所を求めていたのかもしれないと、チャフは思っていたわふが……まあ、チャフはこの妖精国と魔道国で戦争が起こるたびに、国境越えを請け負っても受けていたわふね」

チャクフク : 「今も妖精国側で蛮族との戦争が起こっているから、結構儲かっているわふ」

チャクフク : 「そういう、裏の縁があったわふ」

リゼロ : 「徴兵逃れって儲かるのね」

ルート : 「運び屋の稼ぎ時か。ウェルナーは徴兵されるために利用した、って話だったな。その先はわからないか?」

チャクフク : 「その後で会ったのは、ルート……そしてレッドとチャフが出会った時にさかのぼるわふ」

チャクフク : 「ルートは思い出せないかもしれないけれど、ゆっくり聞いてほしいわふ」

チャクフク : 「あれは、補給部隊として山を登り、チャフが食事時にレッドからお肉を分けてもらった時のこと……」


GM : ということで、ルートは知らぬ記憶の中にまた飛びます

GM : ――魔導国側で蛮族との戦争が開始され、傭兵業を営んでいたレッドとルートは新兵として補給部隊の方に回されていた。同時に、チャクフクも当時、補給部隊の裏方として従軍していたという。

部隊長 : が物資を山の上に運び入れる中、飯の休憩時間となる。

レッド : 「まきこまれちまったな。ルート……足の方は大丈夫か?」

ルート(少年) : 「このくらい、なんてこと、ないよ」

レッド : 「なんてことあるだろ! 大分歩かされてきたからな。物資も多めに渡されて、後で少しこっちに荷物を分けろ。俺の方が余裕あるから」

ルート(少年) : 「ごめん……周りについ張り合っちゃって」

レッド : 「でも、弱音をちゃんとはけたのは偉いぞ。気づけずに倒れちまったら、部隊長からいじめぬかれちまう。そうなったら、俺達でとんずらするっきゃねえな」

部隊長 : 「昼飯を食ったら、直ぐ山を登る! たらたらするなー!」

レッド : 「おっと。ルート、ぱっと火をつけて肉を喰っちまおう」

ルート(少年) : 「うん、すぐ準備する」

GM : 火をつけて、肉をジュージュー焼いていると。チャクフクが匂いを嗅ぎつけて傍に寄ってきます。

チャクフク : 「おいしそうわふね……」 既に食べてしまったのか、物惜しげに見ています。

レッド : 「なんだ。お前も食うか?」

チャクフク : 「いいわふ!? 貰うわふ~」

ルート(少年) : 「あげちゃってよかったの?」

レッド : 「実は、こっそり狩った獲物があってな……バレるとまずいから、腹に仕舞っておく」

ルート(少年) : 「なるほど」もぐもぐ

レッド : 「証拠隠滅! いただきます!」

GM : と、三人でがっついていると


GM : いじめっこ「おら! 食糧を一人でがめこんでんじゃねーよ!」

GM : いじめっこ「こっちに、お前の分もよこすんだよ!」

GM :ルートたちの背の方で、食料を奪う光景が見れます。部隊長はそ知らぬふりです。

いじめられっ子のウェルナー : 「あげられねー!」

いじめられっ子のウェルナー : 「なんであげないといけないだよ!」

レッド : 「おい、ルート。ヒーローの出番だ」

ルート(少年) : 「そう言うと思った」

レッド : 「お前もこい! チャクフク! 飯の恩を忘れるな!」

チャクフク : 「わふ!?」

レッド : 「いくぜ!!」

いじめっ子 : 「だ、誰だてめえ!」

レッド : 肉をほほ張り、また一本口に入れつつ

レッド : 「誰かと言われれば、応えてやろう!」

レッド : 「影のヒーロー、紅蓮のレッドとは俺様の事だ! いじめを止めに推参!」

ルート(少年) : いじめられっこの所にすっと入って「ほら、今のうちに荷物纏めて」

いじめられっ子のウェルナー : 「だ、誰だよ……感謝はしねーからな!」

いじめられっ子のウェルナー : といいつつ、後ろに下がって。影で見守ってる。

ルート(少年) : 「あんたらも飯が足りなかったのか?」

いじめっ子 : 「足りねえに決まってるだろ! 俺達の腹はこんなんじゃ満たされねえんだよ」

ルート(少年) : 「(もしかして最初から足りない程度に支給されてるのか……?)」

レッド : 「なんだ、足りてなかったのか……」 ちょっと拍子抜けて 「ほら、肉やるよ」

いじめっ子 : 「え!?」

いじめっ子 : 渋々引き下がっていきます「……お、覚えてはおかねえからな!」

いじめっ子 : 喜々勇んで帰っていく「久しぶりの焼いている肉だぞー!」

レッド : 「……」見送って満足げにしているレッド。

チャクフク : 「流石に戦力を減らすような真似は避けてたわふね」冷静なコメントを漏らす。

レッド : 「貧すれば貪すってやつかな。戦闘は避けれてよかったぜ」腕を組んで頷く。

いじめられっ子のウェルナー : 不服そうにレッドを見て「なんだよ。ボコボコにしろよ」

ルート(少年) : 「別に暴れ回ろうって訳でもなかったからな」

いじめられっ子のウェルナー : 「俺はボコボコにされてたんだぞ! その分はどうすんだよ!」

レッド : 「ははは! なんだぁ、怪我したのか。ほれ、診てやるぜ」

レッド : 「あと、お前も肉食おうぜ!」

いじめられっ子のウェルナー : 「……肉……ごくり」

ルート(少年) : 「(レッド。もしかしてわかってて狩りしてたのかな?)」

いじめられっ子のウェルナー : 「今日のところは、肉に免じてやるぜ!」

GM : という事で、4人で肉を食べて囲むことになります。

チャクフク : 「レッド、もし肉をあげても殴りかかってきたらどうしてたわふ?」

レッド : 「正直、あまり考えてなかったが。あいつらもそんなに悪そうなやつには見えなかったからな……部隊の目は厳しかったし、ストレスだろうと思って肉をやった感じだ」

いじめられっ子のウェルナー : 「はっ、人の食糧奪う奴は悪い奴にきまってっだろ」 肉をがつがつ

チャクフク : 「感に賭けて渡した感じわふねえ……」

レッド : 「ま、こっちにはチャクフクもいたし、人数差で殴りかかっては来なかったんじゃねえか?」

レッド : 「ルート、食い切ったか?」

ルート(少年) : 「んぐ? ん、これがはいほ」

レッド : 「そうか、ゆっくり食べろよ」


GM : 兵士「速達、速達です! 部隊長! 近くのホーン村が、蛮族に包囲されているという連絡が。まだ村の人々が残っているそうです」

いじめられっ子のウェルナー : 「近くにまだ残ってた村があったのか? やべえな」

ルート(少年) : 「ホーン村、って……!」動揺し、立とうとするルート。

レッド : 「しっ、おちつけ。聞き耳を立てるんだ」動揺するルートの肩を手で押さえる

部隊長 : 「分かった。近くの様子を見る部隊を編成しよう」

部隊長 : 「おい、お前たち。ホーン村に詳しい奴はいるか?」

ルート(少年) : 少し逡巡し、はい!と手を挙げる

レッド : 同じく手を上げる

いじめられっ子のウェルナー : スッと手を上げる

チャクフク : 見守り中。

部隊長 : 「よし、そこの三人。こっちへこい、緊急だ! 荷物をまとめて、俺についてきて欲しい」

ルート(少年) : 「お前も来るのか?」

いじめられっ子のウェルナー : 「ばかやろー。俺もちょっとした用があった村なんだよ」

ルート(少年) : 「そうか、なら宜しく頼む。俺はルート。あんたは?」

いじめられっ子のウェルナー : 「俺もルート。ルート・ウェルナーだ」

レッド : 「そうか。俺はレッド。紅蓮のレッドだ」

レッド : 二人の先頭を行きながら「二人とも、部隊長に続いていくぞ……!」

GM : と、3人が部隊長に連れられてホーン村へと向かう所で、チャクフクの記録が途切れます。


チャクフク : 「――と、言うのをチャフは眺めていたわふ」

リゼロ : 「ホーン村、今はどうなってるの?」

チャクフク : 「それが……封鎖されているらしいわふ」

チャクフク : 「盗賊ギルドを介しても、情報が流れてこない統制をみて、チャフも大分いぶかしんではいるわふ」

ルート : 「……済まない、話してくれた事については思い出せたが、そこでのことは……」

チャクフク : 「行ってみるしかないわふね……」

リゼロ : 「待って、いろいろ気になることがあるわ」

リゼロ : 「ルートの叔母さんや、手紙の事、そして……ルートを運ばれていった経緯」

チャクフク : 「チャクフクが話せるのはここら辺わふ」

ルート : 「……ホーン村、か」

チャクフク : 「……あとは、そうわふね。記憶を思い出すには、通った場所を行ってみるのがいいかもしれないわふ。ルートとレッドは、多分この町も通過したと思うわふん」

チャクフク : 「お役に立てたわふ?」

ルート : 「ああ、良い知り合いに会えた事に感謝するよ」

チャクフク : 「良かったわふ。一応、現在のホーン村について調べて行った方が良いと思うわふ」

リゼロ : 「冒険者ギルドや盗賊ギルドも聞いてみたほうがよさそうね。ありがとう、ルート……行こうか?」

ルート : 「ああ、まずは調べてみよう。ありがとう、チャフ」

チャクフク : 尻尾を振りつつ 「よかったら、いつか事実を教えて欲しいわふん。無事を祈ってるわふ」

GM : 貴方達は、チャフの家を出ます。


リゼロ : 「さて、ルート……どっちから行きましょうか? 冒険者ギルド? それとも、盗賊ギルド?」

ルート : 「冒険者ギルドからあたってみるか」

リゼロ : 「わかった、いきましょ」

GM : では、冒険者ギルドに戻ってきます。

ギルト受付 : 「おかえりなさい。ルートさん、大丈夫でしたか?」

ギルト受付 : 「突然倒れになって……」

ルート : 「ああ、この通り体は動かせてるよ」

ギルト受付 : 「そうですか。あ、明日には通行手形を渡せそうです。よかったですね」

リゼロ : 「それもあったわね……! ホッとしたわ」


ルート : 受付にホーン村について聞いてみる

ギルト受付 : 「ホーン村ですか。あそこへの道は封鎖されていて、冒険者たちも行けなくなっています。魔導国側の説明によると、戦争によって村人がいなくなり、その後にアンデットによる瘴気があふれているため封鎖しているとか」

ルート : 「戦争……アンデッド……」

ルート : 「そうか、やはり封鎖されているのか」

ギルト受付 : 「ご存じかもしれませんが、戦争後にアンデットが増え、エムパミャチによる被害も出ているため、あの村は祓う前に封鎖されたのでしょう。

ですが、神官戦士による掃討作戦が行われていないのは不思議ですね」

ギルト受付 : 「これは……勘ぐり、でしかないのですが。あの村には魔導国側が何か隠したいものがあって、封鎖しているのかも……という。あ、噂、ですけどね。噂です」

ルート : 「なるほどな。それにエムパミャチか……」

リゼロ : 「道中に普通に居られたら厄介ではあるわね」

GM : 髪の毛を提示すると、エムパミャチの被害が増大している情報が落ちました。ついでなので、ここで言ったので提示しなくても大丈夫です。

リゼロ : 「そうね……ルート、髪の毛の効果が本当かどうか聞いておく?」

ルート : 「ああ。……こういったまじないについて、何か知っていることはないか?」と、髪の毛について話す

ギルト受付 : 「ああ。たまにやっている冒険者さんは居ますよ。結び目を作ることで、風を捕らえる精霊使いとか。ただ、髪の毛を使うったことは、自身の部位を相手に持たせたかった……というのがありますね。何分、呪いに自身の念がはいってしまうようですから。女性から男性に送られることをよく見ます。戦地に向かう時に一緒に居たいという気持ちを込めて、ですね」

リゼロ : 「別の物でも構わなかったってコト?」

ギルト受付 : 「ロープを使う場合もあります。くらいですかね……ふつうは部位は使いません」

リゼロ : 「ルートォ……なんか、ルートの傍に居たかった人が居たみたいよ!」ひぇえとゾッとしているリゼロ

GM :ルートは自身の額にある髪の毛が、部位を使わなくてもよかったのに、傍に居たいがために念じられて入れられたものである事を知り、その執念の大きさを知ります。

GM : しかも、記憶を保持するための呪いがかけられているのもあって、取ることも難しい品です。これを掛けた人物は、それも知っていたと感じます。

ルート : 「正直、まだ意図が読めない。このまじないを調べていくしか無さそうか……?」

リゼロ : 「他の二つは、盗賊ギルドで所在を調べた方がよさそうだし……この呪いについても盗賊ギルドに聞いてみる?」

ルート : 「そうしてみるか。いろいろとありがとう、また来るよ」

ギルト受付 : 「はい、お気をつけて~」


GM : では、盗賊ギルドです。

情報屋 : 「いらっしゃい。どんな用かな?」

ルート : 「まじないのことについて聞きたいんだが……」と、ギルドで聞いた話を交えて髪の毛の話をしてみる

情報屋 : 「へぇ? 髪の毛、ねえ……そいつの出どころが知りたいのかい? それとも、呪いそのものについて知りたいのかい?」

ルート : 「出来れば両方。いくらだ?」

情報屋 : 「二つで200G。俺自身じゃなくて、人物を紹介してやるぜ。紹介料込みだ」

情報屋 : 「かみを失ってたやつがいたって言う話は、俺もその人物から聞いた」

ルート : 「200Gか。なら、これでよろしく頼む」

情報屋 : 「まいど。じゃ、二つの情報ともそいつに聞いてくれ。ちょっと連れてくるわ……おーい、オットー」

運び屋のオットー : 「はいはい。誰か依頼人かな?」

運び屋のオットー : 「お、ルートさん! お久しぶりです」

運び屋のオットー : 「ま、と言ってもあの時は気絶してましたから、知ってはいないと思いますがね」

運び屋のオットー : 「あなたを運ばせて、長旅してたものですよ。あの時の10万、今も使わせていただいてます」

ルート : 「……(荷物だった、で確定したな)それは世話になった。これから、幾つか聞きたいことがある」

運び屋のオットー : 「いいですよ」

ルート : 「俺は、自分がなぜロッテの街まで運ばれたのかを知らないでいる。どうしてそうなったのかも」

運び屋のオットー : 「ああ。私も話したくはあったんです。”荷物”側にも知る権利はあると思っているんで」

ルート : 「……それは良かった」

運び屋のオットー : 「簡単に言うと、エパムミチャに取り囲まれて記憶の隅々まで吸収されたと依頼人から聞いていますね。しかも、その中枢にいる一番のエパムミチャにとても狙われていると」

ルート : 「……つまり、今の俺は記憶の抜け殻ってことか。いや、そうなる前に、誰かに助けられたんだな」

運び屋のオットー : 「ええ。驚きましたよ。何せ私がずーっと”貴方は傭兵のルート”とか”レッドと共に旅をしていた”とか教えるのをずーっ廃人の時に、話していましたからね」

運び屋のオットー : 「介護まで請け負うとは思いませんでした」

ルート : 「俺の記憶が断片的な程度で済んだのは、逆にあんたに助けられてたおかげか」

運び屋のオットー : 「まあ、私が依頼人から聞いた情報だけで、良くここまで来れたなあと思います」

運び屋のオットー : 「それに、ロッテの町で下ろすわけじゃなかったので……」

ルート : 「ロッテで降ろすわけじゃなかった?」

運び屋のオットー : 「ええ、不死神メティシエの信者が集う、ローランの町へ届ける予定でした」

ルート : 「不死神……?!」

運び屋のオットー : 「でも、貴方勝手に報酬袋を受け取って、勝手にロッテの町に降りちゃったので。ま、いっか。と思って……」

運び屋のオットー : 「そこまで行く運び賃は受け取らずに、貴方に袋でお渡ししましたよ」

ルート : 「命の恩人じゃないか」

リゼロ : 「うわ~~、ルートぉ! 生きててよかった!」

ルート : 「不死者の眷属の仲間入りさせられてたかもな……」

運び屋のオットー : 「ははは! 面白いですね!」

運び屋のオットー : 「まあ、元々そこに運ぶのは依頼人の人だったので、予定変更でルートさんに変わっただけなんですよ」

ルート : 「なら、もともとの荷物……依頼人ってのは?」

運び屋のオットー : 「ルート・ウェルナーさんですね」

運び屋のオットー : 「あ、髪が欠けてたのもその人です」

ルート : 「ウェルナーが?」

運び屋のオットー : 「ええ。ウェルナーさんが貴方を背におぶって、ホーンの村で私が待っていました」

運び屋のオットー : 「なんか、周りは戦争でごたごたしてたみたいですが。静かな村で良かったですよ」

ルート : 「ホーンの村から、ロッテまで運ばれたのか」

運び屋のオットー : 「はい。エムパミャチは専門なこともあって、道中は楽でした」

運び屋のオットー : 「あ、一番厄介だったのはルートさん。貴方ですよ」

運び屋のオットー : 「欠けた左腕を右手で離さずに握りしめて”朝焼けでまたなきゃ”ってずっという事聞かなかったんですからね」

運び屋のオットー : 「朝焼けで誰を待ってたんです?」

リゼロ : 「ルートは朝焼けで待つことがあったけど……」

リゼロ : 「……私?」

ルート : 「そうも思ったけど、時系列的には、他の誰かになるかな」

運び屋のオットー : 「じゃあ、見てみます? その左腕」

運び屋のオットー : 「アイスコフィンで固めてありますよ。かっこよかったんで」

ルート : 「その腕っていうのは?」

運び屋のオットー : 「たぶん、貴方が待ってた相手のでしょうね」

運び屋のオットー : 「離させるのに、結構かかりました」

運び屋のオットー : 「まあ、ちょっとびっくりするかもしれませんが、見たら誰のか分かると思います装備もついているので」

リゼロ : 「1年前のルートが抱かえていた左腕……ね? 見てみる?」

ルート : 「ああ。手掛かりになるものなら」

運び屋のオットー : 「ちょっと持ってきます」


GM : がらがらと奥からアイスコフィンで固められてきた右腕は、皮性の手袋に、鉄のチェインメイル、その上にガンドレッドがある……レッドの左腕でした。

ルート : その腕をみると、アイスコフィンで固められたその様に、半ば半狂乱のようになって崩れ落ちます。

リゼロ : 「ルート! ルート!」


リゼロ : 傍に駆け寄り、 背中側から抱きしめて「大丈夫よ、手紙があったじゃない……レッドは生きてるわ」

ルート :リゼロの言葉に少し落ち着きを取り戻しつつも、後悔と悔しさのこもった嗚咽を漏らし、床に顔を伏せている……。

リゼロ : 「左腕があるのだから、神殿に行けば……再生もできるし、レッドの治療もできる。だから、だから」

リゼロ : 「ルート……希望を持って、レッドに会いに行きましょう。

リゼロ : 「レッドも待ってる……あなたの事、探してるわ」

ルート : 「合わせる顔がないよ……」

リゼロ : 「そんなことない。こんなにレッドのために悲しんでいる人が、会えないだなんてことないわ」

リゼロ : 「ね。」

リゼロ : 「私が居る。私がいるから……」

運び屋のオットー : 目を真ん丸にさせて

「すまねぇ。ルートさんがあの時に、この腕をしっかり握っていたのを外すべきじゃなかったのかもしれねぇ。俺は感性が終わってるやつだから、奇麗とか汚いくらいしか分からねえ。アンタたちの気持ちは分からん。しかし、悲しんでるのは分かるから、この奇麗な腕は大事にここで保存させてもらうぜ」


リゼロ : 「ルート。今はここに居ない方が良いわ、一度戻って休息しましょう」

情報屋 : 情報屋が巻いた羊皮紙をリゼロに投げて渡す。

情報屋 : 「残りの100G分の情報だ。もってけ」

リゼロ : 「ありがとう。ルート、行こうね」

リゼロ : と、ルートを肩に寄り掛からせて、ギルドを後にします。

リゼロ : 冒険者ギルドの休憩室にルートを運び込み、ルートを横にさせることにします。

リゼロはルートの横で付き添っています。


情報代:《共有財産 : 4295 → 4095》


GM : では、冒険者ギルドの休憩室です。

GM : 時刻は夕方となり、これ以上の情報収集は夜の街に行かないといけないでしょう。しかし、あなた達は窓からの夕焼けの光を浴びながら、一度休憩を取ることにしました。

リゼロ : リゼロはベットにルートを座らせ、自身はルートの横に座りながら語りかけます。

リゼロ : 「ルート、大丈夫?」

ルート : 「俺は……戦えているんだろうか」

リゼロ : 「ルートは、戦えてるよ。ずっと私を守って来たじゃない」

ルート : 「たった一度」

ルート : 「たった一度の敗北で、すべて駄目になるんだ」

ルート : 「俺一人の、たった一度の敗北で」

リゼロ : 「たったなんかじゃない。ルートはそれだけ要なんだよ! ルートが……ルートが!」

リゼロ : 「ルートが今までしっかりしてきたから、私が生きてこれたんだよ?」

ルート : 「さっき見たものが、俺が戦いきれなかった故の結果だと思ったら」

ルート : ルートは自身の左腕を見つめ、先ほどのレッドの⇐腕を連想する。

リゼロ : 「もし、昔の事が今の戦いに響くというのなら。すべての人は生きられないわ!」

ルート : 「また……そうなるかと思うと。耐えられそうにない」

リゼロ : 「みんな、みんな戦って、成長して生きてる。昔は今じゃないのよルート」

リゼロ : 「ルート……」力及ばないと思って、リゼロは俯く。


ルート : 「……こいつを拾った時もそうだった」選択の魔剣を目の前に取り出し、その剣の光を見る。

ルート : 「一瞬で、何も見えなくなった」最初の冒険を思うルート。

選択の魔剣 : 「負けた弱さを抱えて生きる選択をしたのが、お前だ」

選択の魔剣 : 「だから、私はここにいる」

ルート : 「……わかってる。俺は、勝ち続けられるような、英雄じゃない」

ルート : 「だけど、生きることを諦められるほど、柔和でもない」

ルート : 「勝利を得たい。生き続けたい。両立するには強さがいる。だけど俺は強くない」

選択の魔剣 : 「聞こう。お前にとっての弱さは死で、強さとは勝利し続ける事なのか、と」

ルート : 「……わからない。今の俺は、それを否定できない」

選択の魔剣 : 「ならば、選択の時まで、私はお前を見続ける」

選択の魔剣 : 「その選択は、死と勝利の2択なのか……? それとも、また新たなる可能性なのか」

選択の魔剣 : 「その時の選択を私は待とう」

選択の魔剣 : と言って黙り込みます


リゼロ : 「……ルート、逃げてしまおうよ」

リゼロ : 「このままだと、ルート……過去につぶされて死んじゃうよ……」

ルート : 「選択肢を探してる」

ルート : 「正直、それもいいなって思う」

ルート : 「だけど代わりに、ずっと怯えて生きなきゃいけない」

ルート : 「……片腕を失ったレッドを見るのは、俺には苦しい」

ルート : 「でも、ここまで来た自分を否定したくもない」

ルート : 「自分の気持ちを、一つ一つ整理してる」

リゼロ : 「逃げた先に、レッド以上の居場所があるかもしれない」

リゼロ : 「英雄になれないのなら、英雄になれないままだっていい」

リゼロ : 「私はそんなこと期待してない。ルートが」

リゼロ : 「ルートの心が、壊れるかもしれないのが……嫌なの」

ルート : 「リゼロ……」

リゼロ : ぎゅっと抱きしめます

ルート : 同時に抱きしめ返します

リゼロ : 「どこにも行かないで」

ルート : 「どこにも行かないよ。俺は……」

ルート : 「俺は、ずっと待ってる」

ルート : 「何度夕焼けを見送っても。朝焼けが君を照らすまで」

ルート : 「俺は……ずっと、待ってる」

リゼロ : 「ルートぉ……! うわあぁぁん……!」

リゼロ : 「走っていくから、ずっと追いかけて、捕まえるから……」

リゼロ : 「だから、どこにも行かないで……待ってて」

ルート : 「ああ。ずっと待ってる」

GM : 夕焼けが窓から差し込み、二人を照らします。

GM : 二人の旅立ちの時、一緒に冒険しようと約束を思い出しながら。

GM : 今度は夕焼けの中、再び約束を交わすのでした。


GM : ここで、今回の卓は終了です……。お疲れさまでした。

ルート : おつかれさまでした。

リゼロ : おつかれさまでした!

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【リプレイ】選択の魔剣【ソードワールド】 春野 一輝 @harukazu

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