焼き鳥を焼く場所といえばサウナ

吉岡梅

第1話

KAC、今回のテーマは焼き鳥だそうです。なるほど、ではサウナの話をしよう。


サウナ室は熱い。なぜかと言えば、サウナストーブで部屋を暖めているからです。

部屋全体の空気が70〜100℃、時にはそれ以上になるほどにガンガンに火を起こします。

ということは、のだ。肉が。


いや、決して無茶なチャレンジをしようというわけでなく、普通に。

実は、フィンランドやドイツでは、サウナ室内において、サウナストーブの熱を使ってちょっとしたおつまみを作ってしまうという文化があります。


有名なところでは、ソーセージですね。

サウナストーンの上にソーセージを焼く専用の石の器というか筒を置き、その中にソーセージを入れておきます。


このソーセージホルダー、「マッカラ」と言います。熱に強く蓄熱性の高いソープストーン製のものが有名なようですね。


しばしサウナで蒸され、談笑し、暖まる。水風呂に入り休憩したら、マッカラからソーセージを取り出していただくのです。ビールと共に。


この話を聞いて、やってみたくありませんか?

サウナストーブ料理を。


温浴施設のサウナストーブで勝手に料理を始めたらクレイジーですが、アウトドアでサウナを楽しめるテントサウナであれば、できちゃいます。


アウトドアの定番、BBQといえば串焼きです。それほど大きくないサウナストーブの上でもできる串物と言ったら、そう、焼き鳥です。


サウナストーブの上にバットを敷き、さらに即席の焼き台を設置して焼き鳥の串をセットします。


直火ではないのでこっくりと鳥に熱が入り、ゆっくりゆっくり火が通って行きます。

1セット終わる頃にはどことなくおいしそうな香りが。

あれは肉の香りかそれともタレか。


やがて鶏肉から油がぽたりと滴り落ちると、焼き台からジュワッと肉汁のいい蒸気ロウリュが。

量が少ないので体感温度は上がりません。が、気分はグッと盛り上がります。


目の前で焼けて行く鶏肉、そしてネギ。いや、ひょっとしたらネギではなくワイルドにニンニクかもしれません。


テント内は薪と炊き込めたハーブの香り、そして、肉とタレの香りが。なんたる事だ。ここにお醤油でも垂らそうものならもうそこは焼き鳥屋のフレグランスに満ち溢れてしまいます。


ここは何なのだ。焼かれているのは果たして鶏肉か、それとも自分か。その境が曖昧になったあたりでテントを出て、水風呂に入って休憩。そして焼き鳥にビール。最高、いや、最の高じゃないですか。


と、妄想をしているうちにそろそろ1000字に。焼き鳥の話はこれくらいにしましょう。お付き合いいただきありがとうございます。ほとんどサウナの話でしたが。



……ところで、実はこのお話、とある温浴施設で書いているのです。焼き鳥の事を考えつつ、ひと風呂(あるいはひとサウナ)いただいたら、今日も1日やっていくとしましょう。






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