異世界で剣士やってた俺が現代転移してなんやかんや生きるお話

遊英

第1話 プロローグ

総司そうじ!雑魚は任せて、あいつを追え!」


壮士そうし……分かった。死ぬなよ!」


戦火に見舞われて燃える街、死に惑う人々。すべての元凶は街に突如開いた穴



地獄門―――



そして門から出てきた鬼たちが街を襲ってるってわけだ。


「総司、私たちは山の方へ行くぞ。まだ村人が残ってる」


「ああ、分かってる」


街から遠く離れている山付近にもし鬼がいたら、間違いなく人が死ぬ。

そんな残酷なことは、あってはならない。


「さすがにこの山なだけあって鬼はわんさかあふれてるな」


思った通り村が荒れているが、なぜか鬼が一向にいない。なんなら鬼の血痕までそこら中についている。誰かここにいたのだろうか。


「ここにはいないようだ。念のため山頂まで行こうか」


「ああ、だが一体だれがこれを」


「さあな。私の知る限りこの村には剣士はいない。ただ、鬼を倒せるとしたら、カゼキリか」


「あれは刀だ。使いこなせる人など、国府の剣士にも数人いるかどうかだ」


「ああ、それもお前や私のような頭の側近くらいの実力者だ」


「自分で言うもんじゃないぞ、そういうのは、、、待て、あの光はなんだ?」


山頂付近の空が緑色に輝いていた。かのオーロラというやつか?本で読んだことでしか知らないからいまいちよく分からないが、、、


「ぼさっとするな!早くいくぞ」


俺たちは山頂へ向けて全力で走った。こんなこと俺はもちろん、誰も見たことがない。やはり鬼の仕業か。


「これは、結界か?それにこの刀は」


そこには、中心部に墓石のようなものが、刀が突き刺さった状態で、まわりをなにかの結界に覆われていた。


「この刀はなんだ?誰が一体ここに」


「私、、、この刀見たことあるかもしれない」


「お得意の本か?随分狭いもんをのせてるんだな。で、これは一体」


紀醍閃軌きだいせんき。大業物だぞこれは」


「難しい熟語だな。どういう意味だ?」


「紀醍はこれを打った人物、閃軌は刀の名前だ。その名の通り閃光の如く早い斬撃で斬るというのが由来だ。お前、本好きで剣士のわりに刀には弱いのだな」


「俺は刀はなんでもいいんだ。自分の技量でどうとでもなる。んで、どうしてそんなお宝がこんな場所に、こんなにも目立ってあるかってことだ」


「さあな、私にも分からない。それにこの刀は今まで行方不明だったんだ。それがなぜ突然現れたかも気になる」


続々と出てくる疑問や深まる謎に、俺たちはもうなにがなんだかさっぱりわからなかったんだ。


















「だから、お前にこれらの謎について聞きに来たんだ。お前たちは悪意も隠し事も感じられない。一番信用できたんだ」


気付けば俺はしらない場所に倒れていた。ここ、交番という場所の前にだ。しかも、閃軌を握って、、、そして、そこにいた隊服姿の男が二人と、暑さに似合わない厚手のコートを羽織っている女が一人いた。コートなんて、本でしか見たことないぞ。そこで俺は女たちに経緯を話してみることにした。


「そんなこと言われてもねぇ。こっちは仕事なの。そんな戯言に付き合ってられないわ。それに、その剣本物?だとしたら立派な銃刀法違反よ?それに、剣で人を斬っただなんて、立派な暴力だし、下手したら殺人罪よ」


「だから、さっきから度々言う長い熟語はどんな意味があるんだ。いい加減聞き飽きたぞ」


「しらばっくれても無駄よ?さあ、その剣を渡して、、、全くあなたみいたいな子供がどうして、そんな格好でそんな物もって22:00時を出歩いているのよ」


そうだ。本当に分からないんだ。俺にも。

突然辺りが光って、何も見えなくなってそしたら見たことない場所に倒れていて。

このように女が俺を子ども扱いしてくる。もう14歳だ。国に尽くす年齢だろう。


「もう一度聞いてみましょう。君、名前は?」


「新田総司、歳は14で覇獅ノ伊頭側近の剣士だ。謎の光のせいでこんな知らない場所に飛ばされたんだ!何回言ったらわかる!」


「んーだめです。新田総司という名前で、行方不明者届は出ていません」


「こっちも近隣の施設に問い合わせてみましたがそのような名前の子供は預かっていないとのことです」


「ほんとうに、、、君はどこから来たの?」


「知らんわ!」


あの光は本当に謎だ。そしてなにより、ここはどうして夜なのにこんなに明るい?どうしてこんなにも光がある?これらもあれと同じ類なのか、、、分からない。

街?か、ここにはなぜこんな高台、、、いや、要塞と言った方が正しいか。ここはなんなんだ。街を無数に行き交う鉄塊も、国府の森林の奥にも記憶が少ないものが、こんなに。



  ここは未来か、過去か

  

            並行世界か、異世界か、

 

                         異空間か、それとも夢か


言葉が互いに伝わるのは不幸中の幸いか。時雨はどこにいるのだろうか。



「キャー!!」


「ひったくりです!捕まえてー!!」


突然外から叫び声。ひったくり、この女たちの前でか。たいしたものだ。


「警察なめてもらっちゃぁ困るわよ。みんな、早く取り押さえて!」


「あんたはいかないのか、 ケイサツ なんだろう?」


「馬鹿言ってんじゃないの。私はこの辺りで不審な人物をみなかったか交番に聞きに来ただけ。この区間は交番の仕事よ」


「くだらない、同じ職に違う待遇なんて、少なくとも俺の世界ではなかった」


「あなたのいう世界は随分ホワイトなのねぇ。羨ましいわ」


「ほわいと?なんだそれ」




「こちら、ひったくり犯は銃を所持している模様!至急応援を!どうぞ」


「なんですって!?、、、わかったわ。周囲の人の非難が優先、すぐ向かう!」


「銃ってまさか、あの、、、」


「あなたも銃のことは知ってるのね。ごめんだけどちょっとここにいてくれるかしら!巻き込むことはできないから!」


銃か。確か


「時雨が使ってたな」


記憶では、人ならいとも簡単に殺せる。それを持ったひったくりか。


「ほおっておけないな。それにこの刀、閃軌だったか。試し切りにはちょうど良い」


俺は女が走っていった方向へと走り出した。



――交差点付近――


「ちょっとアンタ!自分が何してるか分かってんの?!そんなことしてなんになるっていうの!」


「うるせぇなぁ。撃つぞクソが!」


「ふん、そんなのどうせ偽物でしょ。脅したって無駄なんだからね!」


バァン! バァン! 


――交差点まで30m――

「今の、銃声か」


ひったくり犯がかなり走ったのか、交番からは割と距離がある場所で止まって、目の前の女に銃を向けている。ひったくり犯だが銃なんて使わなくても、拳でどうにかなりそうな体つきの男だ。


――交差点――


「ひっ!ほ、本物なのお?!死んじゃうじゃんかー!」


怖い怖い怖い怖い怖い!なんで私こんな危ないやつにっ正面から挑んでるのよ!

私のバカバカバカ!

どうしよう。死んじゃうのかな私。いや、私は正しいんだ。褒められることやってのけたんだ!





「ひったくりです!捕まえて―!!」


「な、ひったくり!?待てーコラー!」


「な、なんだお前追ってくるんじゃねーよ!」


「ひったくりなんて見過ごせないよ!」


「クソッ偽善者が」


「ほら、捕まえた!」


「ぬおぁ」


よし、ひったくり犯お縄についた!どんなもんじゃい!


「これで終わりだと思うなよ!」


「ぬわ、力強いなぁ」


「くたばれクソ尼が!」


男がパンチを繰り出してきた!武術で私に勝とうだなんて


「100年はやいわよ!」


私、こうみえても空手黒帯なんだから。こんな喧嘩みたいなパンチなんてすぐにかわせた。その後もいろいろとやってきたけど、ひょいと全部避けて一定の間合いをあけながら応戦した。できてたのに、、、



拳銃なんて、勝てっこない。なんでもかんでも突っ込むなってお母さんにも言われてたのに、守らなかったから。


「終わりだなクソ尼。死ね」


突如、銃声が鳴った












「あいつ、撃つか」

男の指が引き金にかかる。ここから全力で走っても間に合わないだろう。


閃軌こいつの使い時かな」


閃光の如く早い斬撃か、、、こいつで男が撃つより速く斬ればいけるか。


(剣で人を斬っただなんて、立派な暴力だし、、、)


斬ったらいけない、、、だったか。なら鞘に納めたままでいくか。


『紀醍閃軌:居合 空裂き』


刹那、総司は女の目の前に立っていた。



「どうやら、成功か」





「へぁ?撃たれてない、撃たれてない?撃たれてない?!って、君は、、、あ!あ危ないよ!はやくここから逃げて!」


「俺なら大丈夫だ。おいひったくり犯、それどこで手に入れた」


「ああ?んなこと関係ねぇだろが、あとガキどっから出てきた」


「簡単だ。俺と女との距離を斬って伸ばしたんだ」


「何言ってやがる!お前も死ね」


『紀醍閃軌:居合 一振り』


バァン!



「なんだと!!」


「これくらい斬れんで、側近は務まらん」



「クッこのやろグハァ!」


「さっさと止めてあの女のとこに捕まりに行け」


俺がみぞおちにひと突きすると、男はばたりと倒れた。コイツがたいが良いだけで、武術は分かっちゃいない雑魚だった。だが銃は、いったいどこから入手したんだ


「あ、あの!」


「ん?ああ、大丈夫だったk、、、何するんだ」


「良かった、良かったよぉ」


けががないか確認しようとすると、女が俺を抱きしめてきた。しかも泣きながら。


「君私より年下でしょ?なのに、こんな危険なことしちゃだめだよぉ」


「そっくりそのままお前に返すぞ?その言葉」


「コラ、年上にそんな言葉つかっちゃぁいけません」




「三原巡査部長!犯人を現行犯逮捕!ケガ人はいません。」


「ハァ、ハァ、ハァ、よくやったわ。ハァ、にしても、よくこんなに走ったわね」


「あんのガキィ、許さねぇからな。許さねぇからなぁ。ガキも刀も、全部へし折ってやるからなぁ」


「刀、、、ガキ?まさか!」



あの女の両手をなんとか外して、俺はそこから全力で走った。交番にいた女に捕まるとなんだか厄介そうだからな。それに、あの銃は間違いなく時雨のものだった。あいつがあの男に味方するとは思えない。とすると、

捕まったか、銃だけ奪われたか。


どちらにせよ取り返さないといけない。


「今日は野宿かな、、、」



「おう兄ちゃん!家がないのかぁ?」



「ああ、あんたは?」


目の前に、ひげを伸ばした白髪の、ニット帽をかぶった爺さんがいた。


「俺は恵三けいぞうってんだぁ。よがったら、寝でくかぁ?」


今日は全く、、、奇妙なものに出会いやすい日だ





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