第3話 ドイツ
今日はドイツ料理のアイスバインを作る。
1週間前に肉屋さんでいい感じの豚の脛肉を見つけたので、漬けていたのだ。
本当はあと3日ほど、合計10日ほど漬けた方がいいのだが、今日は一緒にドイツに行った彼女が久しぶりに家にくるので、張り切って思い出のアイスバインを作ることにした。
豚肉を煮込んでいる間に、ザワークラウトを作る。
ドイツのレストランで食べた時、ザワークラウトは紫キャベツの物が出てきたので、今日はわざわざ紫キャベツを買ってきた。
ドイツな気分になるために、今日は米を炊いていない。かわりに、マッシュポテトやフライドポテトを付け合わせに作っておく。
いい感じに料理が完成したところで、インターホンがなる。
「どうぞー!開いてるよ!」
「久しぶり!」
「ちょうど料理ができたところだから手洗って座ってー!」
彼女が席に着いたところで、本日のメイン、アイスバインを運ぶ。
「今日は思い出のドイツ料理を作ってみたよ!」
ザワークラウトやポテト類、スライスしたパンを並べる。酒のつまみ用のチーズも用意した。
もちろん、お酒とグラスも揃える。
「え!それはちょうどよかった!今日来る途中に、ドイツビールを見かけて懐かしくて買ってきたんだよね!あの時飲めなくて悔しかったから、今度こそ2人で飲みたいなーって思って!」
「それは最高!ありがとう!私もドイツ産ワイン用意したから、今日はたくさん飲もー!」
2人でテーブルを囲って席に着く。
「それじゃあ乾杯!」
「乾杯!…うん、ドイツビール美味しい!」
「ほんと!持ってきてくれてありがとうー!喉越しよし、味よし!で最高!絶対料理に合う!!」
「いえいえ!こちらこそたくさん料理用意してくれてありがとう!」
「それじゃ、食べよっか!」
アイスバインにナイフを入れると、ほろほろと崩れてきて、とても美味しそう。
取り分け皿に幾らかとって、まずはひと口。
「美味しい〜」
そのまま彼女の持ってきてくれたビールをごくごく飲む。
「っぷはーーーっ!!うまい!最高!」
「あはは!おっさんみたい(笑)」
ザワークラウトは、酸味がちょうどよく、ビールと肉によく合う。
マッシュポテトとフライドポテトは言うまでもない。
「ドイツ行ったの、何年前だっけ?」
「もう5年前?6年?」
「1年の冬でしょ?確かブダペストとウィーンに行った後、1番最後にドイツ行ったよね!だから…7年前?」
「うわーエグいくらい歳とったね…でも懐かしいねぇ」
フランクフルト空港から、電車に乗って移動。駅近くの中華ファストフードをテイクアウトしてホテルに行った。
その日は疲れていたので、夕食の場所だけ調べて、あとはぶらぶらと散歩。近くのクリスマスマーケットを冷やかしながら、レストランへ向かう。
ドイツで最初の夕食で食べたのが、アイスバインだった。
「はじめ見た時は、こんな量の肉の塊食べ切れるのかと不安だったよね」
「わかる。でも結局余裕で全部食べられたし、なんならデザートまで頼んだよね…あの頃は若かったー」
次の日は、ローテンブルクまで遠出をして、2人でおとぎの国を満喫した。
「ローテンブルクの街並み、めっちゃ綺麗だったよね」
「クリスマスマーケットは他よりも小規模だったのに、街全体がクリスマスマーケットみたいに可愛かったよね!確かワインのテイスティングでも有名だったから、また行きたいなぁ」
昔話に花を咲かせながら飲むお酒は美味しい。
いつかまた、彼女と2人で海外旅行の計画を立てられたらいいなぁ。
私と食事と思い出 彩乃亜 @irodori_a
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