第2話 オーストリア


今日は金曜日なのでいつもよりお酒がたくさん飲める!

「そういうわけで、今日のメニューはウィナーシュニッツェルに決定!」


ウィナーシュニッツェルは、ヨーロッパ各地で食べられていて、オーストリア起源と言われている、仔牛肉の揚げ焼きだ。現地のレストランでは、よく豚肉が使われており、日本のトンカツとも似ている。

付け合わせはもちろん!マッシュポテト!

ポテトは舌触りが良いように、滑らかになるまでよく潰して、バターや生クリーム、チーズを入れて整える。

ウィナーシュニッツェルは、仔牛肉を叩き広げて塩胡椒を軽くして、パン粉をつけて揚げ焼く。


出来上がった料理をお皿によそい、ワイングラスにはオーストリア産の白ワインを注ぐ。


「今週も私、よく頑張った!お疲れ様!いただきます!」


ウィナーシュニッツェルをひと口食べて、ワインを飲む。

ワインの酸味がレモンの代わりとなり、シュニッツェルのサクサクの衣によく合う。

そろそろ、揚げ物がキツい年頃になってきたが、辛口のスッキリしたワインで流せば、幾らでも食べられる気がする。

そのままマッシュポテトを口に運ぶ。チーズを入れたことによって、よりコクが出て美味しい。

もはやこれはただのマッシュポテトではなく、フランス郷土料理のアリゴである。一度この味を知ってしまうと、もう普通のマッシュポテトには戻れない。


白ワインを半分ほど空けたところで、味変として、ビールに変える。シュニッツェルとマッシュポテトはいいビールのつまみだ。当時はまだお酒を飲めず、レモネードを飲みながら食べていたことを思い出し、感慨深い。



オーストリアへは、ハンガリーから列車で3時間ほどかけて行った。

ウィーンの駅に着いて外に出ると、ブダペストよりも整然とした印象だった。

オーストリア国立図書館や、シェーンブルン宮殿など、有名どころを周り、カフェザッハーでザッハトルテを食べながらひと休み。

カフェザッハーの中は、さまざまな国の観光客でごった返していたが、たまたま我々の周りに日本人観光客が固まって座っていたので、少し面白かった。外国の地で日本人と会うと、話しかけはしなくても、なんとなく仲間感を感じたものだ。

ウィーン国立劇場の近くをうろうろしているとき、本日のオペラの席を勧められ、流されるままに観劇したオペラが、"ラ・ボエーム"。高校時代に吹奏楽部で演奏した曲が流れてきて、感動した。

当日の余りチケットということもあって、そこまで良い席ではなかったが、初めて観る本場のオペラの雰囲気に圧巻された。

観劇後の興奮が醒めぬまま、友人と入ったレストランで、クラシックレモネードとウィナーシュニッツェルを注文し、それを食べながら、次はちゃんと席を予約して、内容を予習してからきたいね、と約束した思い出がある。

彼女は今、元気だろうか?



明日は土曜日。

残念ながら全休ではないが、午前休なので朝はゆっくり起きられる。

そんなことを考えながら、次飲むお酒とつまみを選びにキッチンへ向かう。

今日はとことん飲んでやる!!

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