88歳といえば

武藤勇城

本編

なんにんいるかな(?)

満八十八歳の人は戦前生まれで大変苦労した

戦後の青春時代に郎女・朗子と呼ぶも今は昔

戦争の香り漂う一九三四三五年に生まれし者

十代の日本人総特攻などで仲睦まじく遊ぶ等

出来ず焼野原となった中戦う英雄憧憬の眼差

終戦後の田畑廃墟を立て直し十年二十年の後

七珍万宝の日本高度成長期みな不眠不休遊働

後寸田尺宅の生活に変わり幾星霜今の子や孫

黎明期の日本も祖父の苦労も知らずと葛藤す

ただ平和な日本で幸せに暮らすを望むのみ哉


八十八歳の誕生日を米寿と呼び大変目出度い

生まれ子は数え年の宇宙の母なる晶々ならば

三五年に葉芽も本来能う三四年保育せし者達

精神世界を司る燕雀鴻鵠の永久に分からずや

故ユゥリィー・ガガ一リン石原裕次郎牧伸二

みな三四年誕生の君郎しかし他界し生存せず

未だ健在の衆明朗闊達で年齢を感じさせない

生涯を救国義士の一部として美しい祖国守護

蟻一穴穿堤の諺あり岡目八目で金品損得なく

平穏平和の発展した日本で静かに余生を過す


米寿とは「米」の字を分解して八十八である

八の字は末広がり一本調子で描くアラビア字

も寝かせて無限太となり昌慶まさに目出度し

九十間近で我田引水せずに瓜田李下に暮らし

物事動ぜず山の如く静かなるは樋代の清らか

也て雨過天晴の後の今西欧動乱は吉凶何れや

滄海桑田の時代を乗り越えて解甲帰田の日々

智徳俊英たる英邁いついかなる時も困知勉行

英明闊達にして各方面で名が轟く佳人才子達

八十八歳になる皆様の長寿をお祝い致します

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