実年齢88歳のロリ風エルフが、高3のボクの元へ嫁ぎに来た

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

実年齢88歳の……

 ウソだろ。この見た目で、ボクのおばあちゃんと同い年だなんて。


 祖母が亡くなって、ボクがこの駄菓子屋を継ぐことになった。

 正確には、祖母からの遺言だったのである。

 両親を差し置いて、土地をもらったのだ。

 正直ボクは、この店をどうすべきか持て余していた。


 そこに、小さい女のコが尋ねてきた。

 

 ボクの目の前にいるのは、エルフだという。

 実年齢88歳だとか。

しかし、どう見てもボクより年下にしか見えない。


「どうじゃ。いわゆる『のじゃロリ』というやつじゃ」

「一つ言っておくけどさ」

「なんじゃ、若造?」

「ホンモノの年寄りって、そんな『〇〇じゃ』みたいなしゃべり方、しないからね」


 そのとき、ロリエルフに電流が走ったように見えた。


「こほん。気を取り直して」


 スルーしたよね、今?


「ワシは『サラサ』という。お主の亡き祖母より、お主のお世話を任されておる」

「ボクはカタカナで『ムギ』です。えっと、あなたはどこから来たので?」


 サラサさんの住んでいる場所は、異世界だという。

 


「エルフは本来、名を持たぬ。しかし、お主の祖母は不便に思って、名をくれたのじゃ」

「棒のスナックをもらったとき、『やさいサラダ味』しか食わんかったからじゃ」


 エルフは乳製品やお肉などの、動物性の食べ物が苦手なんだって。

 食べられはするけど、好んでは食べないそうだ。

 宗教上の理由とかかな?


「お主の祖母と遊んでいた証拠もあるぞよ」


 エルフのサラサさんが、ボクに写真を見せる。


「ホントだ。ああ、ボクと遊んだこともあったよね?」

「覚えておったか」


 だから、突然エルフって言われても、驚かなかったのか。

「知り合いの子」という認識だったから。


「で、そんなエルフさんが、ボクになんの用で?」

「夫婦の契りを交わしに来た」

「はあ!?」


 ボクは、卒倒する。

 まさか遺産だけでなく、ボクに婚約者がいたなんて。


「店の経営は任せよ。ワシはこう見えてやり手じゃ。祖母から商いの心得も学んでおったし」


 本当に、「自分に何かあったら頼む」と依頼されていたのだ。


「ありがとうございます」

「礼などよい。それより、はよう寝間へ」

「え? ホントにエッチするの!?」


 気が早くないか?


「でなければ、ワシも成長できぬのじゃ」


 エルフは『つがい』にならないと、成長がそのまま止まってしまうらしい。


「正直のう、88歳はエルフ基準でも行き遅れに片足突っ込んでおるのじゃ。両親からも、孫はまだかとせっつかれおって」


 こういう事情は、人間と同じなんだな。


「ところでお主、いくつになった?」

「今月で18歳になりました」

「う……未成年ではないか」


 サラサさんが、顔をしかめる。

 

「大丈夫です。結婚はできますよ」

「ホントか!? さすがに、国の法律に背いてまでお主と、というワケにはいかぬでな」

「ボクには幼い子に手を出そうとかいう気はないのですが、サラサさんは成熟しているので、話しやすいですね。よろしくおねがいします」

「うむ」

 


 この日、ボクたちはオトナになった。


 

「まさか、全部初めてだったとは」

「初めてはお主と、と決めておったからのう」

「そんな昔から?」


 もしかしてと思うけど。

 

「ひょっとすると、幼い子趣味はサラサさんの方なのでは」

「ち、違うわい!」

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