第8話 クリームパンとの攻防
どうも、嫉妬のレヴィアタンです。
今日はファザー・ガットという、巨大な猫の王様である店長さんの息子さんを、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)がお城に招待しました。
息子さんをお迎えするにあたり、魔王カキリア様(ょうじょ)は特別なものを用意させたのです。それを見てワクワクしている、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)。
その特別なものとは、魔道具屋から先日購入した、コタツというものだそうです。
魔石を使って熱を発する真四角のテーブルのようなもので、熱を逃さないために分厚い布がかけられています。
熱を発すると猫族はすべからく喜んで入るのだとか。ですがもう春ですので、熱は発さないようにして、分厚い布をかけるだけにしました。
天板と呼ばれる分厚い板を、分厚い布の上に乗せ、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)の大好きな、お茶とお菓子を用意して完成です。
ファザー・ガットという、巨大な猫の王様である店長さんの息子さんが、部屋に入ってくるなりコタツを見て中に潜り込んでしまいました。ですが微妙な表情をして出て来ました。
微妙な表情も可愛いですね。やはり熱がないと駄目なのでしょうか?
春ですがコタツに熱を入れることにしました。分厚い布をめくってそれを見せてあげると、再びコタツの中に潜っていきます。
しかし暑くないのでしょうかね?
俺と魔王カキリア様(ょうじょ)も、コタツを挟むようにして、反対側に座ります。
あ、ちなみにコタツは床にそのまま座るものだそうで、床には絨毯を敷いて、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)は、しっかり俺のお手せいクッションの上です。
お茶とお菓子をいただきながらしばらくすると、ファザー・ガットという、巨大な猫の王様である店長さんの息子さんは、やはり暑かったのか、両方の前足だけをコタツから出してピンと伸ばしています。
それを見た我らが魔王カキリア様(ょうじょ)が、ファザー・ガットという、巨大な猫の王様である店長さんの息子さんの、クリームパンのような可愛らしいお手々を、軽くキュッと握りました。
やーん、とでも言いたげに、片方の前足を引っ込めれば反対のクリームパンを。引っ込めてまた出てきた別の前足を。
我らが魔王カキリア様(ょうじょ)、嬉しそうにキュッとしています。
なにこれ、かわいい。
ちなみに俺がキュッとしたら引っ掻かれました。かなしい。
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