第7話 じっとして!

 どうも、嫉妬のレヴィアタンです。

 今日は愛犬ケルベロスとともに、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)と、怠惰のベルフェゴールと、お花見に来ています。


 ケルベロスは3つ首の犬の魔物です。

 我らが魔王カキリア様(ょうじょ)が、俺の愛犬ケルベロスと遊びたいと言ったので、一緒に連れてきたわけなのです。


「はい、じっとしてて下さいね。」

 キレイなお花をバックに、愛犬ケルベロスと我らが魔王カキリア様(ょうじょ)を写真におさめるつもりです。


 俺のことが大好きな愛犬ケルベロスは、短いあんよをチョコチョコと動かして、俺のところに近付いて来てしまいます。

 かわいいなあ、もう。


「ケルベロス、じっとしていてくれ。」

 仕方がないので俺が少し下がって、またカメラを構えたのですが。

 チョコチョコチョコ。


 ケルベロスが嬉しそうに俺に近付いて来てしまいます。かわいい。

 かわいいんですが、このままでは写真がとれないので困ります。


 ケルベロスにじっとしているよう、再び手のひらを前に出して指示したのですが。

 チョコチョコチョコ。

「──カキリア様、ケルベロスを抱っこしていただけませんでしょうか?」


 これ以上後ろに下がると、キレイなお花が一緒に写真におさまらなくなってしまいますので、近寄ってこようとするケルベロスを、魔王カキリア様(ょうじょ)に抱っこしていただくことにしました。


「──わっ!!」

 魔王カキリア様(ょうじょ)が我が愛犬ケルベロスを抱いたまま、ドアップでカメラの前にテレポートして来ました。


「び、びっくりさせないで下さい!」

 魔王カキリア様(ょうじょ)、ケラケラと笑っています。俺が毎回必ず驚くので、クセになっちゃったみたいです。


 まったくもう。

 かわいいから許しますけどね!

 結局ケルベロスも歩いてしまうので、写真は怠惰のベルフェゴールに、俺を入れて撮ってもらったのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る