第4話 #事実

 

 神様からもらった情報で、多くの事を知ったり、神様の元に俺がいるのか…否応無しに理解してしまった。


 事の発端は気の遠くなる様な遥か昔に遡り、神々の住まう神界で起きた。


 神様は一柱だけではなく、多くの神が存在し、世界を管理・存続する為に見守ってくれている。

 星の数ある世界には、管理神と呼ばれる神と、その補助を行う補助神が付き、管理神の意向に沿って、世界は育まれ、その世界で住む人々が暮らしているらしい。

 それこそが神々…神族の使命であり、存在理由とも言えるものだった。

 

 だが、そんな神族の中には、その在り方に異を唱える神族達が現れる。後に過激派と呼ばれる派閥となり、それ以外の神族を保守派と呼ばれることになる。

 過激派はとある目的を持ち、その目的を果たす為に行動するが…俺には、その目的は教えてくれない様だ。

 

 過激派と保守派は幾度となく衝突し、お互いの考えを変えることは無く、平行線のままで幾年もの刻を費やした。

 そんな過激派は驚くべき行動に出る。

 過激派は全勢力で進軍を開始。神々が厳重に保管・封印をしていた神族の秘宝を盗み出してしまったのだ。

 しかも、最も危険極まりないとされる第特級完全封印指定神具を三つも盗まれてしまう。


 過激派の進軍により、秘宝を保管していた施設の大破並びに、施設を守護していた四十五柱の神族が永い眠りにつく結果となった。これにより、保守派は過激派の愚行に対し、これ以上の被害拡大を防ぐ為、また秘宝回収を行うため、粛清として反撃をする事を決定した。

 

 後にこの戦いは【神具大戦】と呼ばれ、神族の汚点として名を残す事になる。

 

 二つの勢力の戦いは人間にとって、永遠とも言える時間を費やす事になる。

 そして、最終的な決着は沸切らない結果で終わる。

 結果的には保守派の勝利で終わるものの、三つの神具のうち一つは回収され、一つは僅かに残った過激派の残党が持ったまま逃亡してしまった。


 そして、最後の一つは残党から奪い返そうとしたものの、残党の最後の抵抗により、輪廻の輪の中へと隠されてしまったのだった。


 輪廻の輪とは、全ての世界で死んだ生命が戻ってくる魂の大河。

 幾億の魂が、生きてきた時から染みついた穢れを浄化し、またいずれかの世界へと向かい、新たな人生を歩む為の永久機関。


 そこに隠された秘宝は、夥しい魂のいずれかと同化し、輪廻の河を流れてしまっていた。

 保守派は絶望した…星の数ある世界から一同にやってくる夥しい数の魂から秘宝と混ざり合った魂を探さないといけない事に。

 それは砂漠の中から、一粒の塩を見つけ出す事に等しい。

 

 だが、探し出さないと言う選択肢はなく、大戦の影響もままならないまま、神族は秘宝探しに繰り出されたのだ。

 

そして…永い永い年月が経ち、今に至る。



(で、その秘宝が俺だって事か?)


『そうだね…けど、正確じゃないね。正確には秘宝の半分が君の中に眠っているんだ。』


 神様によれば、秘宝は隠されてから輪廻の河の中で、少しづつ砕けていったらしく、そのかけらが多くの魂に取り込まれた。

 神族はそのかけらを少しずつ回収したものの、ようやく半分回収出来たらしい。

 そんな時、俺の中に残りの半分がある事を知った神様は、俺に早く死んでくれないかと思いつつ、見守っていたらしい。それを見守っていたと言っていいのだろうか?。

 とりあえず監視していたらしいのだが、あの日…俺が死んだ日に事が起こったのだ。

 

 永い間、息を潜めていた過激派の残党が突然、活動を再開したのだ。

 しかも、警戒を怠ってはないいはずなのに、相手の襲撃を許してしまった。

 保守派は混乱の中でも、過激派と戦闘を開始したが、その時点で奴等の目的を察しられなかった。

 過激派の目的…それは俺の中の秘宝を奪い去る事で、神界を襲ったの陽動で、俺の監視から目を反らせている間に俺を殺したのだ。


『だけど、彼らの目的は失敗に終わった。私が先回りしたからね。』


 誇らしげな声を出している神様…姿が見えたら、確実にドヤ顔をしていそうな声色だ。

 そう、殺された俺は神様が過激派より先に回収され、安全な場所である真っ白な空間へと連れて来られた…と言う経緯を知った。


 とんだとばっちりを受けたものかと、深くため息をついた。

 知った時は動揺して叫んでしまったが、今では落ち着いて、自分の運の無さに頭を抱えていた。自分では運がいい方だと思っていたが、とんだ爆弾を抱えていたとは思いもしなかった。


(で…俺はこれからどうなるんだ?。その秘宝とやらを取り出すなら早く取り出してくれ。)


 死んだ上、神様と言うとんでもない存在の問題に関わるのは御免だ。

 取り出して終わりなら早く終わらせてしまって欲しいと思うのが通りだろう。


『あぁ、取り出すのはいいんだけど、普通にやったら君の魂ごと消えちゃうよ?。それでもいい?』


(言い訳あるか!!!!。)


『だよねぇ〜。なので、安全策で行こうと思いま〜す。』


 そう言うと、俺の目の前に光の柱が現れて、すぐに消えてしまった。

 光の柱が消えると、中からとあるものが姿を現した。





 

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