第3話 #会合と対応

 空から落ちてきた光に飲まれ、俺は死を覚悟し、意識を失った。

 だが、次に目が覚めると、『おはよう、九曜君。』と言う声が聞こえて、目を覚ました。

 目覚めると、そこは何処までも真っ白で、何も存在しない場所に俺は立っていた。


『やぁ、目が覚めたみたいで良かった。九曜君。』


(あんたは…神様?)


 何もない真っ白な場所に俺は立っていて、その向かえには誰もいないのに、誰かの声が聞こえてくる。

 しかし、案外冷静にいられた俺は、それが神だと言われる存在の声だと理解して、受け止められていた。


『分かってくれているなら話が早い。私は君達人類から神と呼ばれる者。まぁ、私達自身は神族と呼んでるけど、まぁどちらでも大丈夫だよ。』


(随分と軽いですね…神なのに。)


『威厳よく話してもいいけど、周りくどいし、下手に君を刺激たくないからね。私は君と友好的に話がしたいと思っているんだよ。まぁ、嫌なら威厳よくするけど?』


 想像していた神様像とはかけ離れたフレンドリーさに戸惑ったが、神様直々にそうしてくれているなら、こちらに断る理由もないので、(そのままでお願いします)と伝えると、心良く受け入れてくれた上に、『あっ、君もかしこまる必要ないよ。言っただろ、友好を育みたいって。』と言われた。 

 俺はその提案を受け入れて、ごく自然体で話す事が出来て安心した。


『さて、君も今の状況について説明をしようと思っているんだけど…口で説明をすると、些か面倒なんだよね。なので…ちょっと我慢してね?』


(はっ?…イ“ィ!!!?)


 神様がそう言うと、頭上から光の粒がパラパラと降り掛かってくる。俺はこれは何かと口にしようとした瞬間、頭の中に大量の情報が流れ込み、激しい頭痛と頭をかき混ぜられる様な不快感が襲って来た。

 頭痛と不快感は直ぐに治ったが、余りにも膨大な情報が一気に流れてきた余韻は凄まじく、俺はその場に膝をついた。


(これ…何処までは真実なんだ…こんな事…あってたまるか!)


 息をするのも底一杯な状況だったが、流れ込んできた情報があんまりな事のせいで、息も絶え絶えながら神様に怨みを込めて叫んだ。


『信じたくないだろうし、私の言葉も信用できないだろう。残念ながら全て事実なんだ。』


(そんな…そんな事…)


 流れ込んできた情報…それは俺が死んだ原因であり、事の始まり。

 その情報によれば、俺は神様に殺された様なものだった。





ーーーーーーーーーーー


「さて、これからどうするか…」


 空から地上を見てきた俺は、地上に戻ってくると縁側に腰掛けて、今後の事を考えていた。

 どうやら、今置かれている状況は俺が想像していた以上に悪いらしい…いや、ある意味良いのかもしれないか?。


「まさか、とは、思っても見なかったけどな。」


 俺がいた隔離世界は、海に囲まれた孤島だった。もっと正確に言えば、東京23区ぐらいの広さの島とそれを囲む海だけしか無い世界で、海の向こうは神々が作った障壁で囲まれていて、他の陸地は存在しないはずだった。


「だけど、今は海が無くなった代わりに、当たり一帯を森が囲んでいる…っと。」


 言葉に出して確認していると、とんでもない事になって頭痛と重い溜息が止まらない。


「ゲーム感覚で言えば、新エリア開放って事で喜ぶべきか?。いや、神達が護っていたはずのに、こんな事になったんだ。最悪なケースかもしれん。」


 一応、空から見下ろしていた時、探索の術を使い、元の島だった範囲だけは調べてみたけど、ほぼ変わらなかった。

 ただ、島に生息していた生物の多少の変化はあるみたいだけど、それは後で調べる事にしよう。


「とりあえず今は、もしもの時のために色々と準備しておこう。あと物品確認も必要だしな。

ふっふっふっ…俺がこんな事で慌てると思ったら、大間違いだ。

 この2000年間、島での生活でどれだけ神様達に無理難題を吹っかけられてきた事か!!。

 何度挫け、自暴自棄になった事やら…こんな事で負けてたまるかぁぁ!!。」

 

 俺は気合いを入れて、どんな状況でも対応できる様にありとあらゆる準備を始めた。

 2000年を生き続けているのは、伊達ではないのである。



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