あとがき
皆様、こんにちは。
著者の「
このたびは、『エルキドゥナル』を最後まで読んでいただき、応援までしていただいた読者の皆様へ、心から感謝を述べます。
今作では「自閉症スペクトラム症ASD」もしくは「高機能自閉症」と診断された一人娘を育ててきた一人の「母親」の苦悩を主眼に物語りは綴られました。
同時にASDとして生まれ育った一人の
私自身が「自閉症スペクトラム症」の傾向を幼少期から見せ、成人してから正式な診断を受けました。
なので、ヒロイン命花の見せていた、「特定の存在への強い執着」や「恋愛感情」、「自分の世界へ見出す安らぎ感」は、エルゥ実在というファンタジー要素を除けば、私自身の「実体験」でもあります。
私自身もASDの当事者として、同時に彼らや私を思う家族や周りの人間、社会から見て、一体何が「ASDにとっての幸福」なのかを模索しながら書いていた思い入れある作品です。
ASD本人の「空想世界」の尊重は大切なもので、決して切り離せないものです。
同時に、”それだけ”を貫いても「社会で他者と生きていくには」難しいという課題とジレンマがあります。
とはいえ、ASDの人々には自分の得意分野を生きがいにしている人もいれば、不器用ながらも恋愛・結婚・友人に恵まれて穏やかに過ごしている人まで、色々な形の生き方と幸せを手にしている人はいます。
大切なことは作中の命花と美琴のように「孤立」しないこと――。
誰かへ優しい人へ「相談」すること――。
それが、ASDとその家族の「安らかな生活」を見つめるのに大切なことではないかと思います。
願わくば、ASDの感性豊かな「煌めきの世界」を大切にしながらも、穏やかに生きていける社会――「命花にとってのエルゥ」が生まれてくることです――。
長々と失礼いたしましたが、また他の作品でも皆様に会えるのをお楽しみにしております。
最後までご愛読、ありがとうございました。
*
エルキドゥナル 水澄 @waterclearness5783
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