第6話 ハッピーエンド

「ああ、そうだよ。剃ってるよ。だがな、剃ってるが故に言えることがある。その縮毛。現場にあったんだろ?俺は剃ってる。その長さの縮毛は俺には残ってない!!」


そう言いながら『片渕』はズボンとブリーフを同時に下ろした。


「キャー!!」


『女子生徒達』が悲鳴を上げながら両手で顔を覆う。しかし、指と指の間からその光景逃さまいとする『女子生徒達』の眼光を、『寺田』が見逃すはずがない。


「『片渕ぇ』。『女子生徒達』にアソコを見られるなんて恥ずかしいなぁ、おい。どんな気持ちだ?どんな気持ちだ?これで家に帰ってどんな妄想をして抜くんだ?言ってみ?3Pか?それとも別々で2回楽しんじゃうってか?美味しいなこの野郎!現代サッカーはサイドバックから攻撃が始まると言っても過言ではない。『上下』に走り回るだけではなく、『中へ中へ』と切り込む。時には連携『プレイ』で裏へ『抜』け『出』すこともあるんだろう?」


『寺田』の容赦ない言葉責めと、一度想像してしまったら止まらない「コキャン暴走列車」は、みるみると膨張していく。これは生理現象なのか、はたまた神の悪戯か、それとも『片渕の意志』なのか……今となっては知る由もない。

『寺田』は畳み掛ける。


「言っちまえよ!逝っちまえよ!オメーがやったんだろぉ!!」


そして最後に『寺田』は倒れている『女子生徒』のスカートをめくった。もちろん教師としての配慮であろう、パンティまでは見せなかった。太ももまでであった。


『まもなく〜、片渕ぇ〜、片渕ぇ〜。お出口は〜前方〜』


「うっ」


その言葉と共に、『片渕』は身体を仰反らせ、『片渕』の『片渕』から白濁とした液体が、ヤンキー座りをしている『寺田』の前を通過し、『女子生徒』にかかった。膝から崩れかかる『片渕』を『寺田』が正面から支えた。


「せんせぇ、せんせぇ」


咽び泣く『片渕』を抱き寄せ、電子タバコを蒸し


「何も言うな。『もう一人の片渕』が語ってくれた。それで十分だ」


『寺田』の口から放たれる煙が、モクモクと静寂に包まれている教室内に漂っていた。次の日から『片渕』の姿を校内で見る事は無かった。風の噂では別の学校に転校し、


「僕は『寺田先生』みたいになる!!」


と意気込んでいるらしい。そして『津田』はサイドバックのポジションをゲットした(後日談ではあるが、後に高校サッカー選手権に出場し、海外の有名クラブである『ファ●クU』のスカウトの目に留まり、契約を結ぶこととなる)。

『寺田』はというと、『片渕』と同様に姿を見せなかった。朝会で教頭が言うには、校長に依願退職を提出したらしい。もちろん校長は引き留めた。


「全ての責任が私に被さるじゃないか!!」


焦りと怒りを滲ませた発言に『寺田』が教卓を蹴っ飛ばしこう言い放った。


「責任を取れねー様な奴が上に立つんじゃねぇよ!地位と給料の高さは責任の重さと比例してんだよ馬鹿野郎が!!」


そして『寺田』は学校を去った。不幸中の幸いか、倒れていた『女子生徒』の意識が回復した。しかし、事件当時の事は覚えていなかった。被害者の保護者はもちろん、学校に通っている保護者から学校側に


「説明責任を果たせ!」


と連日押しかけ、遂にはメディアが取り上げる事態になった。校長は遺書を残し自殺した。事件は迷宮入りする……かと思われたが、校長の遺書と共に画用紙が置かれていた。それは縮れた毛がセロテープで貼られた白い画用紙だった。偶然にも『寺田』の陰毛を持っていた副校長が、『ペロペロ又沢会長』へ鑑識を依頼した。


「ペロペロ、これは……!『ポロリー矢田君』。今すぐPTAで会議を行う。奴等を呼ぶんだ!」


「という事は緊急会議という認識でよろしいですね?」


『ポロリー矢田』は全国にいる同志の家に矢文を放った。そしてこの緊急会議に至ったのである。会議が始まると、ジャンケンが始まった。理由は簡単。


《男女平等、機会均等、上下関係なしの平和的解決》


言い出しっぺは『スキャンティ岡島副会長』だった。そしてジャンケンで『スキャンティ岡島副会長』は負けた。『スキャンティ岡島副会長』は叫んだ。


「寺田を呼べ!」


       〜おわり〜

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寺田を呼べ! ばってんがー森 @maronchan3373

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