第31話 エピローグ2
今日は狩猟祭で獲れた肉をみんなで分けて肉祭りだ。
俺のオリックスやヌー、リーダーが獲ったヌーで、集落に住む全員が腹いっぱい食えるだけの肉があった。
集落のあちこちでじゅーじゅー肉を焼きながら、みんなで楽しく騒ぐ。
俺とアオイも、腹いっぱい肉を食べた。
しかしながら、俺にはひとつだけわからないことがある。
ヌーの肉をもぐもぐ食べ続けるアオイ。俺は、彼女の胸元に視線を下ろす。
アオイは俺と同じ、初春に生まれた。
大人になると言われている十三歳になってから、まだ一年も経っていない。
なのに、胸とお尻のこの発育ぶりはどうだろうか?
それに、身長も大人の女に近くなっている気がした。
俺はヌーの肉をガツガツ食べながら首を捻った。
すると長老が、
「そういえばアギトは、随分身長が伸びたよね」
「そうですか?」
言われてみれば、最近は年長者連中と、目線がずいぶん近くなったと思う。
俺はヌーの肉を吞みこみながら考える。
アオイといい、俺といい、なんでこんなに発育のいいんだろう?
それともただ成長が早いだけで、そろそろ止まるのかな?
俺が狩りをするようになった初春から毎日だが、今日もまた、腹いっぱい動物の肉を食べながら、俺はそんなことを考えていた。
肉うまいなぁ。
◆
今夜は、おじさんとおばさんは友人の家に泊ったので、家は俺とアオイの二人きりだった。
俺は寝る前、アオイの胸巻と腰巻を脱がせた。
はじめて見る、大人になったアオイの体温を味わいながら、俺は眠りについた。
◆
それと、もうひとつ朗報がある。
ついにおじさんが、長期保存のできる干し肉と塩漬け肉を効率的に作る方法を確立させたのだ。
以来、俺とアオイ、それに仲間の六人は毎日限界まで狩りに行きまくった。
毎日荷車を引いて、午前と午後で二回も狩りに行った。
森といわず、平原といわず狩った。
ネズミを、リスを、蛇を、ウサギを、タヌキを、キツネを、シカを、カモシカを、ジャッカルを、コヨーテを、ディンゴを、カンガルーを、ガゼルを、ボブキャットを、エゾシカを、クズリを、サーバルキャットを、リカオンを、ヒクイドリを、ダチョウを、シマハイエナを、オオアリクイを、オリックスを、オカピを、ヌーを、ウンピョウを狩りまくった。
狩猟祭から雪が降るまでの二十六日間の間に、集落のひとたちがひっくり返るほどの獲物を仕留め、俺らは集落に運び続けた。
肉だけでなく毛皮も手に入るので、やたらと余った。
結果、集落中のひとたちに毛皮のおすそわけだ。
集落のひとたちは、みんな冬用の防寒具を新しく作り、寝床も暖かくなるよう毛皮の量を増やす。
これで今年は、凍死者が出ないかもしれない。
肉はいつも通り、俺とアオイ、仲間とその家族、集落の子供たちと長老で毎日お腹いっぱい肉を喰い続けた。
残りはぜんぶ塩漬けと干し肉にする。
他の大人たちは、そもそも俺ら以外にも、リーダーたちが狩ってきた肉もあるし、それで済ませてもらう。
本来、冬の間の貯えが必要だから、こうやって狩りまくっているんだ。
獲る獲物をすべて分けてしまうと本末転倒だ。
ただ、塩漬け肉を作る上で大量に塩が必要となったので、海まで海水を取りに行き、塩を作ってくれた人にも肉をおすそ分けした。
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作品紹介通りここまでです。
人気があったら本格投稿したいです。
原始時代、最強食物連鎖 鏡銀鉢 @kagamiginpachi
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