第34話 だれが暗殺を命じたのか

1057年2月上旬 イタリア北部 ピエモンテ州 トリノ ジャン=ステラ



「あなたの知識と智慧を貸してください。」


父オッドーネを暗殺した黒幕に復讐するため、前世の記憶を使うよう母アデライデにお願いされた。



オッドーネが殺されてしまった事は、僕にすごい大きなショックを与えた。


幸せな事に前世では両親だけでなく、祖父母とも健在だった。


おじいちゃんが寝たきりだったり、ちょっとおばあちゃんのボケが始まってはいたよ。

だけど、葬式に参列する機会なんてなかったんだ。


死の影を感じる事なんて全くなく、今日と同じ忙しくも平穏な日が明日も続くと思っていた。


だけど、

「 そんな日常が続かないのだ 」

「 死は身近にあるのだよ 」

とあざ笑うかのように現実を突きつけてきたのがオッドーネの死だった。


この中世では誰もが、いつ死んでも不思議ではない。


もちろん前世だって交通事故とか、不慮の事故で人が亡くなることはあっただろう。

でも、その可能性はとても低く、考える事なく普通に生きることができた。


「また明日会おうね」 

学校帰りに挨拶を交わした友達と次の日に会えないなんて想像したこともない。



だけど、父オッドーネにはまた会うことができなかった。

そして、もう会うことはできない。


このやるせなさ、悲しみをぶつける相手は、暗殺の黒幕しかいないだろう。

僕もそう思う。


それに前世とは違い、暗殺者を裏で操っていた者への復讐は僕たちの手で行わなければいけない。

その事を僕は理解している。



こちらの世界に生まれてまだ2年ちょっとしか経っていないけど、警察なんてものがない事は知っている。


つまり前世と違って

「お巡りさん、父を殺した真犯人を捕まえてください! 」

ってお願いする事なんて出来やしない。


自分たちの力で犯人を捕まえて、報いを受けさせる必要があるのだ。


それに、報いを受けさせなければ、第二、第三の暗殺事件が起きる可能性もある。

次の暗殺ターゲットは僕かもしれないし、母や姉兄たちかもしれないのだ。


次の被害を抑えるためにも、報復する必要がある。


だから、お母さまへの返事はイエスの一択しかない。


「もちろんです、お母さま。

僕だってお父様が殺された事は、心が張り裂けそうなほど悲しいし、悔しいんです。

 お父様を殺した者に裁きの鉄槌を下してやりましょう !」

「ありがとう、ジャン=ステラ」


母のお願いに力強く応えた僕。

それに対してアデライデは、僕の手を両手で包み込むように握りしめつつ、感謝してくれた。


そして、どんな智慧を貸してほしいのかについて、話を続けた。


「あのね、ジャン=ステラに考えてほしいことは2つあるの。

 まず1つ目は、暗殺の黒幕はだれかについて。

 あなたは誰だと思う?」


アデライデは僕の目をじっと見ながら質問してきた。

その目つきは、僕を試しているかのように感じられる。


うーん。別に不快ってわけではないから、きっとお母さまなりの考えがあるんだろう。

いまは、それよりも黒幕について考えねば。


って、まだ黒幕は分かっていないの?

暗殺からもう10日以上も経っているというのに?


不思議に思ったので、そのままアデライデに聞いてみる事にした。


「お母さま、その質問をするという事は、暗殺の黒幕が誰かまだ判明していないって事ですか?」

「ええそうね。 私なりの考えはあるけど、確信を持てないでいるのよ。

 だから、あなたの考えを知りたいのです」

「なるほど。そういう事でしたか」


全く分かっていない、というわけではなく、ちょっとほっとした。


「ですが、お母さま。 僕は黒幕どころか、犯人がつかまったかどうかも聞いていませんよ?」


僕は質問に答えるため、手始めとして暗殺事件の顛末について教えてもらった。


父オッドーネに矢を放った下手人は、近くを流れる川へと逃走した。

騎馬隊の隊員たちが急いで追いかけたものの、事前に準備されていた舟で対岸へと渡られてしまい、結果的に取り逃してしまったのだそうだ。


隊員たちも慌てていたのだと思うけど、取り逃がしたらダメじゃん。

それとも、逃走経路の事まで考えて襲撃した暗殺犯がすごかったという事かな。


手がかりとなる証拠品として取り押さえる事ができたのは、対岸に乗り捨てられた舟。

川に逃げる途中で落としていったクロスボウの本体。

そして、オッドーネを狙撃するために隠れていた雪穴からは矢と毒の入った小さなツボが見つかったらしい。


え、手がかりってこれだけ?

ここから黒幕を突き止めるのってさすがに無理じゃないだろうか。

名探偵なら何とかしてしまうのかもしれないけど、僕に求められても困る。


「お母さま、さすがにこの手がかりでは、黒幕を突き止めるのは無理じゃないですか?」

「いいえ、そうでもないのですよ。」


そう言ってアデライデは証拠品について詳しく教えてくれた。

乗り捨てられた舟は、近くの村から盗まれたものだった。

冬の間は使われない舟だったらしく、所有者の村人も盗まれた事に気づいていなかったそうだ。


次にクロスボウ。

古代ローマ帝国がイタリアを支配した頃からずっと利用されている武器であるクロスボウは、中世ヨーロッパ世界なりの精密機器。

そのすべてが工房の一品ものなのだとか。

だから、弓を固定するための金属部品の加工、弓とつるの素材を見れば、生産地を特定できるらしい。

調査時間が十分あれば生産工房も割り出せるのだとか。


前世の記憶で近いものを捜すと日本刀の鑑定みたいなものかな。

刃の長さや太さ、焼き入れなどの特長から、三条派の流れを汲んだ五条国永作の刀だ、とか当てちゃうやつ。

もう日本では平安時代の名刀、鶴丸国永が打たれている頃だろうか。


それはさておき、犯人が使っていたクロスボウは、要人暗殺に使うだけあって命中精度の高い逸品だった。

だから、鑑定も容易だった。

ヨーロッパ西北部の商業都市アントワープで作られた品だとすぐ判明した。


ちなみに、アントワープは、前世だとベルギーに属する大都市。

小説フランダースの犬の最後の場面、ネロとパトラッシュが天国へと旅立った大聖堂がある都市といった方が分かりやすいかもしれないね。


最後に矢とツボに入った毒。

矢がどこで作られたものなのかは分からなかった。

しかし、毒はエジプト産だろうと当たりが付いた。

それも北イタリア東部の海に浮かぶ商業都市ヴェネチアが輸入したもので間違いないらしい。



「どう何か分かった?」

一通りの説明を終えたアデライデが、期待のまなざしを僕に投げかけてくる。


これだけの情報からアデライデは誰が暗殺の黒幕なのか、推測できたのだろう。

でも、悲しいかな、僕には誰が黒幕なのか、さっぱりわからない。


そもそも、トリノ近隣に領土を持つ貴族や、その勢力がどうなっているのかについての知識を持ち合わせていない。

僕が黒幕を暴くだなんて、土台無理な話である。


“がっくりさせちゃってごめんね、お母さま。 僕には無理だったよ”


そう思い、肩をがっくり落としながら僕はアデライデに諦めの言葉を口にした。


「あのー、お母さま。 近隣諸侯の名前も知らない僕に真犯人の名前を挙げるのは」


“難しいです”


そう言おうとした時、ふと心に何かが引っかかった。


アデライデも僕がトリノ辺境伯家の事情に詳しくない事は知っているはず。

だったら、なぜ僕に聞いてきたんだろう。


“それは、アデライデ自身の推測を補強するため”


そうに違いない。

だったら、証拠から真犯人を推測する必要はないんじゃないかな。


だって、もうアデライデは犯人に目星がついているんだもん。

それなら、証拠とかに関係ない方向から、考える必要があるんじゃないかな。


「お母さま、ちょっと考えをまとめたいので、ちょっと待ってください」


そう断りを入れ、僕はしばし考えることにする。


前世の知識を思い出せ。 

ドラマにアニメ、漫画に小説。ゲームだっていい。 

豆知識でもいいから、何か思いつかない?


そうよ、藤堂あかり。 本棚には、推理小説や推理漫画が並んでいたじゃない。

犯人を捜すために、刑事や探偵たちはどうやって迷宮入りの難事件を解決していたの?


おいもいだせーおもいだせー。


「そうだ!」


うーうー唸っていたら、犯人を捕まえるための心理的アプローチを思い出した。


“犯人は現場に戻ってくる”


犯罪者の心理として、犯人は殺人現場や放火現場にわざわざ顔をだしていた。

火事の第一発見者が放火犯だったなんてよく聞く話だ。


だめだ。今回の場合、クロスボウで暗殺した者を捕まえたいわけではない。

暗殺を命令した黒幕を見つけ出す役には立ちそうにない。


ほかにも何かないだろうか。


なんとか使える記憶を掘り起こそうと、こめかみをぐりぐりしたり、眉間にしわを寄せたりしてみる。


推理系じゃなくて、スパイ映画だっていい。何かない?


「これだ!」

思い出した、証拠がなくても黒幕を見つける方法を。


“最も利益を受ける者が真犯人だ”


これならお母さまと違ったアプローチで黒幕の正体を推定できるはず。


顔を挙げ、お母さまの目を見る。

そして、さきほどと違い自信をもって話始めた。


「おかあさま、黒幕を突き止めるのに有益な知識を思い出しました。

 お父様が亡くなる事で、一番都合が良い人はだれになりますか?

 その人が、暗殺を命じた真犯人に違いないです」


もちろんね、 常に正しいとは限らないって分ってるよ。

でも、この方法で推測した者と、証拠品から推測した者とが同一人物なら、そいつが犯人で間違いないだろう。

証拠不十分? 冤罪? そんなの知らない。 

ここは前世じゃなくて、暗黒の中世ヨーロッパ。

疑われるやつが悪いのだ。


お母さまも僕の考えに同意してくれた。

「なるほど。確かにそういう突き止め方もあるわね」


アデライデと2人で検証をしていこう。

オッドーネが居なくなることで近隣諸侯のうち、誰が利益を得るのか。


まずは、われらの主君であるドイツ王ハインリッヒ4世陛下。

彼はいまだ7才の子供である。

実権は彼の摂政を務める前皇后のアグネス陛下と、後見人であるローマ教皇ウィクトル2世が握っている。


そして父オッドーネの娘、ベルタがハインリッヒ4世の婚約者である。

トリノ辺境伯家は外戚となるのだが、宮中で権力争いを繰り広げるなんて事はこれまでなかった。

神聖ローマ皇帝家において、我々サヴォイア家は新参者でしかない。

それに、神聖ローマ皇帝家の領土のあるドイツと我々のいるイタリアの間にはアルプス山脈という天険があり、円滑な通行もままならない状況である。


こんな状況でわざわざ父オッドーネを暗殺してまで、トリノ辺境伯家の力を削ぐメリットはないだろう。


では、5つあるドイツの大公家はどうだろう。

北方のザクセン大公家は、東から何度も侵入してくるスラブ民族への対応で手一杯。

東方のバイエルン大公家も隣国ハンガリー王国の内乱に巻き込まれないよう尽力している。


外的要因への対処が最優先で、国内勢力の弱体化は望む事はないだろう。


ドイツ西方には大公家が2つある。

下ロートリンゲン大公家と上ロートリンゲン大公家。

この2家は、トリノ辺境伯領とは遠く隔たっており、軍事的にも経済的にも疎遠だといえる。

だから、オッドーネが亡くなってトリノ辺境伯領が混乱するデメリットもないが、メリットもない。



最後に残るのは、シュヴァーベン大公家。

トリノとの間にアルプス山脈がそびえ立ってはいるものの、トリノ辺境伯家の北側のお隣さんである。


トリノ辺境伯家の軍事力が弱まったら、トリノからアルプス山脈を越えた場所にある領土、

そういう意味では、5大公家の中では最もトリノへと侵略しやすい位置にある。


「おかあさま、5大公家の中ではシュバーベン家が一番利益を得そうですがどうですか?」

僕がそう問いかけると、アデライデは一刀の元に否定した。

「それはないわね。だってシュヴァーベン大公妃は私の妹ですもの。今でも仲がいいのよ。それにね…」


僕は知らなかったけど、母の妹のエルメンガルトはシュヴァーベン大公にとついでいた。


さらに驚いた事に、先代のシュヴァーベン大公ヘルマン4世は、母の1回目の旦那さんだった。


「結婚した後、1年で亡くなってしまったんですけどね」

とはアデライデの言。


結婚式を挙げてすぐ当時の神聖ローマ皇帝ハインリッヒ3世に従いイタリア半島に遠征し、そのままナポリで病死したとのこと。


そっと溜息をつき、昔を懐かしむようにアデライデが語ってくれた。



神聖ローマ皇帝家も五大公家も、オッドーネを暗殺するメリットはなさそうである。

では、もっと近隣の諸侯はどうだろうか。


「大公家ではなさそうですね。それじゃあ、トリノ辺境伯家の近隣諸侯について考えてみましょうか」

僕の言葉にアデライデは気を引き締め、近隣との関係について語ってくれた。


「隣接する諸侯で一番大きいのはモンフェッラート侯爵家ね。でもこの侯爵家とも仲は悪くないわ」


アデライデの2回目の結婚相手は、先代のモンフェッラート侯爵家の当主エンリコであった。

そして、現当主は元旦那の兄であるオットーが当主となっている。


“えー、また同じなの?”

心の声がアデライデに漏れてしまったみたいで、ちょっと嗜められてしまった。


「1回目と違って、2回目の結婚は4年も続いたのよ」

ただ、子供はできなかったらしい。


うーん。アデライデの昔の結婚話を聞かされてもねぇ。

正直なところ返答に困ってしまう。


他人ならゴシップみたいにして楽しく聞いていられるかもしれないけど、親の話。


“それも昔の恋愛話どころか、結婚話ですよ”


居心地がわるいなぁ、と思いっていたらふと気が付いた。


「あれっ?  弟の跡継ぎが兄って順番がおかしくないですか?」

僕がそう聞いた所、嫁いだ時は、兄弟が2人共同で当主をしていたらしい。


うーん。 貴族の相続って難しいね。


じゃあ、次にいってみよー。 


なんだか、いろいろな話があって、ちょっと消化不良気味。

だけど途中で終わるわけにはいかないものね。もう少しがんばろう。


トリノ辺境伯家はアルプス山脈の西側にも領地を持っている。

これらの領地は旧アルル王国に属しているのだが、こちらは規模の小さい諸侯が乱立しており、トリノ辺境伯家に楯突くような貴族は思いつかないらしい。


次は、トリノの東側にある大都市ミラノとその周辺。

トリノという町自身は、教会が支配権を握っている。


「聖職者だから暗殺を企てることなんてないかな?」

そうちょっと口にだした所、アデライデに否定された。


「聖職者といえど権力をもったら歪むものなのよ。覚えておきなさいね」


以前の教皇がいかに権力に執着し、お金に意地汚かったかを滔々と語っている。

お母さま、いろいろと嫌な目にあったみたいだね。

もしかすると、3回も結婚した事と関係あるのかな。


それはさておき、ヒートアップするアデライデの話に僕はコクコクと頷くことしかできない。

「はーい。わかりました、お母さま。」


それはともかく、現教皇ウィクトル2世がハインリッヒ4世の後見人なのだから、現時点でミラノが敵に回ることはないらしい。


「それにね、私の母ベルタは、ミラノ辺境伯家出身なのよ。」

そういった意味でもミラノ周辺は大丈夫らしい。


というか、トリノ辺境伯の周りは仲良しの親族・姻族に囲まれているんですね。


“じゃあ、一体誰が暗殺の黒幕なの?”


僕の提案するアプローチ「最も利益を受ける者が真犯人だ」は失敗だったかな。


そういう思いが頭をよぎる。


「お母さま。 僕のアイデア、役に立ちませんでしたね」


僕はしょんぼりとした声でアデライデにそう告げると、アデライデは否定の言葉を返してくれた。


「そうでもないわよ。 もう1か所、検討してみましょう?」


最後に検討するのは、トスカーナ辺境伯家。


今年12才のマティルデ・ディ・カノッサが当主を務めている。

僕の大好きなマティルデお姉ちゃん、辺境女伯なんだよ、すごいよね。


マティルデお姉ちゃんは、トスカーナ辺境伯家の血統を保持している唯一の人だから、辺境伯夫人ではなく辺境女伯になる。


ちなみに、これはアデライデも同じ。

アデライデ・ディ・トリノは、トリノ辺境伯夫人ではなく、トリノ辺境女伯なのである。


それはさておき、トスカーナ辺境伯はもう一人いる。

マティルデお姉ちゃんの義理の父、髭公と呼ばれる元上ロートリンゲン公ゴットフリート3世がその人である。


髭公なんて呼ばれて悦に入ってるけど、実態は髭もじゃのむっさいおっさん。


“近くによると臭いのよ。態度は尊大だし、自信過剰だし。それなのに戦争には弱いし”

アデライデの評価は散々であった。


先代皇帝ハインリッヒ3世に対して2回も反乱をおこし、2回とも敗れている。

2回目の敗戦なんて酷いものだった。


僕の生まれる少し前、髭もじゃゴッドフリート3世はイタリア王になろうと企てたのだ。

別に企てるのはいいんだよ。 今は乱世だもの。


だけどね、髭もじゃの反乱に怒った皇帝ハインリッヒ3世がイタリアに遠征したら、戦いもせずイタリアから逃げ出したのだ。 

逃げ出した先は髭もじゃの実家がある下ロートリンゲン。


「衆寡敵せず、戦わずに降伏する」

それは仕方ないけどさ。 妻子をイタリアに残したまま実家に逃げ帰ったんだよ。


あの可愛いマティルデお姉ちゃんを残して逃げてったんだよ。


人間として最低、最悪の部類じゃない?


“おかーちゃーん 助けてー”

とでも言ってお家に逃げ帰ったんじゃない? しらんけど。


それはさておき、髭もじゃゴットフリート3世がイタリア王となる夢を諦めていないとしたらどうだろう。


戦上手だった先代皇帝ハインリッヒ3世が亡くなった今はチャンスといえる。

その時に邪魔になる者の一人として父オッドーネの名が挙がるのは確実である。


唯一の司令官だった父オッドーネが亡くなった今、トリノ辺境伯家を攻める事は簡単だろう。

また北イタリアに向かわずに、南の方に向かうとしても、後ろから妨害される可能性は減る。


“最も利益を受ける者が真犯人”


髭もじゃは、この条件にぴったり当てはまる。


「こいつだ ! こいつでしょ」

僕は思わずそう叫んでいた。


アデライデも同意する。

「ええ、そうね。 証拠品から私が推定した黒幕もゴットフリート3世なのよ。

 これで決まりね」


髭もじゃ、許すまじ。


憤って手をぶんぶん振り回していた僕をなだめるでもなく、アデライデが悪そうな顔で僕に問いかけた。

「あなたにもう一つ考えてほしいことがあるの。

 どうやってゴットフリート3世に復讐すればいいと思う?」


    ◇    ◆    ◇




ーーーー

あとがき


上で登場したモンフェッラート侯爵家当主オットーには驚きの事実があります。


オットーは、アデライデ・ディ・トリノの2回目の旦那さんのお兄さん、つまり義理の兄にあたります。


そして、オットーは後年、アデライデ・ディ・トリノの孫娘コンスタンツと結婚しています。


という事は、アデライデの孫は、「義理のお姉さん」という事になるわけです。


『孫は義理のお姉さん』


事実は小説よりも奇なりと申しますが、いやはや何と声をかけていいものやら。



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