第149話 俺、ワールドがわけの分からない事になってる事を知る
「なぁアマテラス。結局、俺のワールドってなにが問題だったんだ?なんか現実の世界に悪い影響があるみたいだけど。」
「ん~、もうクロートーも完全に居ないみたいだし、大丈夫かな。」
そう言ってアマテラスはモニターを確認した後で話始めた。
「このワールドはこの世界に成ったんだよ。」
それを聞いて俺には全く意味が解らなかった。
隣で聞いてたマスターも同じ様に怪訝な顔をする。
「いや、どういう事?」
「例えば国之さまが
「どうしてそうなるんだよ!?」
「そうよアマテラスちゃん。だってそのワールドは常之ちゃんが作ったワールドなのよ?」
俺もマスターの言葉に強く頷く。
いや、というかどう考えたって辻褄が合わない。
だって俺は星の誕生から今までをずっと見て来たんだし、それは俺が居たから起こった事で、俺が作った星が俺の居る星になるなんて事が起ころうはずもない。
アマテラスは「疑り深いなぁ」と言ってモニターを見せた。
俺とマスターがそこを覗き込むとそこにはモニターを覗き込んだ俺とマスターが移っていて、そのモニターにも鏡写しの様に永遠と同じ様子が映っていた。
俺が試しに手を挙げるとモニターの俺らしき俺も手を挙げる。
俺が慌ててカメラがある方向を見てもそこにはただ壁と天井があるだけだった。
俺が再度モニターを見ると映ってる俺もモニターを見ていて俺の顔を確認できなくてもどかしくなってくる。
マスターが降参と言う様に肩をすくめる。
「ねぇアマテラスちゃん、これどういうトリックなの?」
「だからトリックじゃないよぅ。本当にこのワールドはこの世界なんだよ!」
「もしかして、この世界のゲート座標を見つけたとか!?」
なんだゲート座標って?
「違う違う!エージェントに組み込まれてる座標コードはどう頑張ったって他の世界を見つけられる様にはなってないよ!今の世界でできない事は私もできないから!」
「あの~、ゲート座標って?」
全く本筋からずれてる質問の様にも思ったが俺はついつい質問してしまった。
「
「そう!私の中にはそのワールドを追跡するための計算方法が常に更新されながらキーとして組み込まれてるんだよ。これが時々刻々と変化するから私たちはワールドを移る事ができないの。」
うんまぁ良く分からんがワールドを移れない理由がそれなんだな。
俺はひとまず頷いた。
「でも仮にこのワールドが俺の作ったワールドだったら今までワールドを作ってたことの整合性が取れないじゃないか。」
「そうよねぇ、ゲート座標を書き換えた方がよっぽど現実味がありそうだけど。」
「それは、時間の概念があるからそう思うだけだよ。それにこの世界の誕生を考えてみて。例えばマスターのワールドはマスターが作ったわけだけど、それと同じ様にこのワールドを作った人がいるかもしれないよね。」
「それは、俺のワールドが実は他の人に作られたワールドって事だよな?それならまだ理解できる。」
「じゃぁ、この世界を作った人の世界は誰が作ったの?更にその人の世界はってなるよね?」
俺は永遠に続く世界を作った人が続く状態にだんだん気持ち悪くなってきた。
「でもそれは一番最初になんかあって自然発生的にできたんじゃないのか?」
そこでマスターが思い出した様に話し始めた。
「私が研究者だった頃、宇宙を誕生させる条件を整えるために操作が必要って事で一時期話題になったのよね。だからこの世界の外にはインテリジェントデザイナーが居るだろうって言い合ってたわ。」
それって、自然発生が難しいって事?
でもそれって人間がやるからなのでは?
俺の顔を見て察したマスターが説明を追加した。
「私たちは今、時空の歪みを利用して宇宙外に接触できるのよ。そこは時間も空間も無い世界で、私たちの宇宙と同じものを誕生させるには同じ条件が必要って結論になってるわ。」
「それは、その宇宙外では自然発生しないだろうって事?」
「今の所は、ね。」
マスターも自信なさげに答えた。
「だから国之さまが自分の居る世界を作っても別に不思議じゃないんだよ。」
「いやいやいや、違和感しかないから!どう考えても別の話だから。だって自分で自分を生みだしたら一体最初の俺は誰が生み出したって言うんだ!?」
「だからそれは別の人が生み出してても同じだよぉ。時間的矛盾っていうのはこの宇宙の中だから起こる事で、宇宙外では過去も未来も無いから。」
俺は何とか矛盾点を探し出そうと考えをめぐらすが矛盾点としか思えない事がありすぎて何を指摘すればいいのかさっぱり判らない。
「いや、でも俺が作ったって事はこれは別の宇宙だったって事だろ?それが俺の世界になったって何が起こったんだよ?」
それを聞いてアマテラスは手を打った。
どうやらようやく変な話をしている事に気付いてくれた様だ。
「国之さま、勘違いしてるよ。このワールドは元からこの世界だったんだよ。ただ過去から始まって時間軸が一致しただけだよ。」
「いや、ハイ論破、みたいな顔してもダメだから!全く通じないから!」
「でもここに揺るぎない事実としてのワールドが存在してるでしょ?」
俺とマスターは顔を見合わせた。
「そうね。世界統治機構が出てくる位なんだからやっぱ事実なんでしょうね。」
どうやらマスターはそれを受け入れた様だ。
俺はそれでも釈然としない気持ちを抑えきれず証拠を求めた。
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