第146話 俺、徐々に知りたくない事を知り始める
マスターと世界統治機構のAIクロートーが知り合いだったことに安堵した俺は、オープンマインドに両手を広げてつかぬ事を聞いてみた。
「いやいや、まさかマスターのお知り合いだったとは。これも何かの縁。ここら辺で手打ちにしてもらえませんかね?」
そんな俺のささやかな期待を刺すような視線で睨みつけてくるクロートー。
うわコッワ!この子の目絶対平気で人殺す目だよ。
俺のオープンマインドな手は一瞬でしぼんだ。
「それで、なんでクロちゃんは常之ちゃんのワールドを狙ってるわけ?」
「略すな!!もしかしてこのワールド形成、あなたも絡んでたの?悪いけど最早一般人になったあなたにはなんも話せないわ。」
そこへ空気を読まないアマテラスの声が響いた。
「よしっと!これで終わり!」
嬉しさ全開で勢いよくアマテラスがパネルをパチーンとはたく。
それを聞いてどう考えても状況すっぽ抜けてましたという顔のクロートーがアマテラスの方を見た。
「もうあなたの暗号防壁は全て無効化されてるよ。これで後はデリート実行するだけだから。」
アマテラスがアマテラスらしからぬ悪い笑みを湛えて処刑予告した。
「あ、あなたたち謀ったわね!?」
アマテラスに負けた事を認めたくないのか負けた原因をただ話をしてただけの俺とマスターのせいにしようとして指さして来た。
いや、確かにちょっとでもと思って期待はしてたけど、まさか本当に時間が稼げてたとは。エージェントって実はみんなバカなの?マスターもちょっとあきれた顔をしている。
「アマテラスちゃん、ちょっと待ってあげて。どうしてこういう事になったのか、話を聞きたいのよ。」
おお、それは当然だ。証拠隠滅しても原因が残ってたら安心して寝れないからな。
「そうだな、アマテラス、こいつ分解して情報吸い出せるのか?」
「できるよ!情報は量子化されてるから取り出したらこの子、この子じゃなくなっちゃうけど。あれ?でももしかしたら脊椎系ゲート経由したらもっと簡単に取れるのかなぁ。」
「ちょっと!あんた達サラッと残忍な事言ってるんじゃないわよ!」
「ふぅ、落ち着きなさい二人とも。とにかくまずはクロート—の話を聞きましょ。」
「そうですね。アマテラス、こいつ一応マスターの知り合いらしいし、話を聞いてやろう。」
全員がクロートーに視線を向けるとクロートーは肩をすくめてから口を開いた。
「話せって言っても、世界統治機構のチェアマンAIが危険ワールドって判定を出したからよ。私もなにが危険なのかまでは知らないわ。」
それを聞いてアマテラスが何やらブツブツと考え始めた。
「そっか、チェアマンAIも―」
それ以前にそもそもゲームに危険とかどうとかが意味の解らない俺は質問を続けた。
「そもそもなんで
その言葉にマスターとクロートーが、あ~と言う顔で互いを見合った。
「クロートー、説明してあげなさいよ。」
「っちょ!そこらへんも機密事項なのよ?というかそもそも本当はワールドクリエイト社って事で不良品として回収しようとしたらこのエージェントが邪魔した上に素性バラされたんだから!!」
なんなのこの子!と言ってクロートーがプイっと顔を背ける。
どうやら、アマテラスがいなければそのまんま没収だったらしい。
と思ってたらアマテラスが口を挟んできた。
「国之さま、多分だけど、前も言った様にワールドが実宇宙なのが関係してるんだと思うよ。まさかワールドクリエイト社の裏に世界統治機構が居たなんて知らなかったけど。」
「っちょっと!!あんたなんでそんな事まで知ってるのよ!!」
「そ、そうよ、アマテラスちゃん!?それはかなり限られた人しか知らないトップシークレットなのに!」
え?なに?あれって本当だったの?イチミリくらいまさかとは思ったけど、この反応からすると本当ってこと?何せ世界統治機構のAIだしな。
・・・信じたくねぇ!!
「え?なんか歩き回ってたら見つけたんだよ?」
そして驚愕する二人にあっけらかんと答えるアマテラス。
それを聞いて二人はもうこれ以上顔の形は変えられんとばかりに驚愕の表情を震わせている。
こいつやっぱというか想像をはるかに超えた危険地帯に足踏み入れてるじゃねぇか!
これどうなるの?やっぱ持ち主の俺も罪に問われるの?囚われちゃうの?
俺は机に突っ伏した。
「ま、まぁなんにしても世界統治機構はあなたのワールドを接収して管理する必要があるのよ!どうせいつかは見つけられて捕まるんだから、おとなしく差し出しなさい!」
「ダメだよ国之さま!このワールドは絶対に渡しちゃダメ!折角ここまでこれたのに!私、国之さまと離れたくないよ!!」
俺は
いくら世界統治機構の命令でもハイそうですかとは渡せない!
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