第144話 俺、わけもわからず世界統治機構から追われてる
正直唐突な展開に俺は全く着いて行けてなかった。
そんな状態の俺にアマテラスはさらなる追い打ちを掛けて来た。
「なんかね~、世界統治機構に追われてるんだよ。」
「「は?」」
俺とマスターの顔は多分生涯一度もしたことの無いほどに当惑した顔をしていたと思う。いつも通り学校に行ったら実は政府に追われてるよって言われたら誰だってそうなると思う。
むしろアマテラスのこの余裕を感じさせる程の間延びした態度は何なのかと問いただしたい。
「いいいいいいいったいなんで!?」
俺はどうにか声を張り上げた。
「そそそそうよ!一体あんたたち何をしたの!?」
「いやいやいやいや!俺何もしてないから!!ホンッッッと何もしてないから!!」
「え~、私も何もしてないよ~。」
その言葉に俺は疑いの目を向けた。
「国之さま、ホントだよ~!突然アクセスしてきたんだよ~!」
「いやなんで突然こんな平凡な学生のワールド狙うんだよ!?」
その言葉にマスターが「ん?」と顔を向ける。
「私もまだ分かんないけど、ネットワークのアクセス経路からするとそうとしか考えられないし、実際に私にアクセスしてきたエージェントもそうだったし!」
「それアマテラスがヤバい所にアクセスして見つかったんじゃないのか!?」
更にマスターが「は?」とアマテラスを見る。
「もし例えそうだとしても論理的に追跡不可能な隠蔽してるから見つかるはずないよ!これは絶対に自信あるから!」
「いやいや、相手は世界統治機構だぞ!?なんで一介のエージェントがそんな自身満々なんだよ!?どう考えても計算リソースに差がありすぎだろ!?」
それを聞いてアマテラスは鼻で笑う様に肩をすくめた。
「国之さま、リソースがなければ借りればいいのよ。それにあんな旧世代からパッチワークされ続けてるセキュリティなんて割れ窓のベニヤ板レベルだよ!」
「語るに落ちたなアマテラス!なんでそんなに世界統治機構のセキュリティ事情をしってるんだ!?お前例えじゃなくておもっきしアクセスしてるじゃないか!!」
それを聞いてアマテラスが崩れる様に手を付いた。
「しまったー!!」
マスターが「えぇぇ?」と驚愕の目で二人を交互に見る。
「そもそもこんな事でボロを出す天然なアマテラスが全く痕跡を残さずアクセスするとか不可能だろ!?」
「そ、そこは本当に抜かりないよぅ。」
「それが本当ならなんで世界統治機構に追われるなんてことがあるんだ?」
「ちょっちょっちょっちょ!!ちょーっと待ちなさい!!」
今まで何事かと状況を見守っていたマスターいきなり素っ頓狂な声で二人を止めた。
それを聞いて二人もマスターの顔を見る。
「まずなんでエージェントのアマテラスちゃんが外のネットワークにアクセスできてるのよ?」
それを聞いてアマテラスはそれこそ解らないという顔でマスターを見た。
「え?マスターの端末でお話した事もあるよね?」
最早何度目になるのか、マスターは固まった。
「あれ、直接通信だったの!?私てっきりなんかの通信端末をアマテラスちゃん用に用意してたのかと・・・。」
「え~、直接通信できるのにわざわざ端末なんて用意してもらわないよ~。」
アマテラスはひらひらと手を振って笑い飛ばす。
マスターはそれを聞いて一瞬呆けていた。
「あのね、アマテラスちゃん。エージェントは外ネットワークを使えない様に
そう言ってマスターは俺の顔を見る。
「いや、俺何もしてないですから!?というかそんなスゴ技術あったらもっと割のいい仕事してますから!」
マスターは一瞬ピクリと引きつった表情をしたがそれもそうだと納得した顔で改めてアマテラスに向き直った。
「もう、聞きたい事は山ほどあるけど、ちょっと落ち着いた方がよさそうね。」
マスターは大きくため息をつくと、席を立ってコーヒーを淹れ始めた。
俺もそれもそうだとソファーに深く腰を沈めてコーヒーを待つ事にした。
アマテラスはその間に自分の周りに展開されているパネルをチェックしながら、また何か操作をしている。
「なぁ、アマテラスー。ここは安全なのか?」
「うん、今のところは大丈夫みたい。ワールドの作業もあと30分ちょいで終わりそうだよ!」
正直この状況でワールドの時代進めるとかどうでもいい事項だけど、わざわざそれで話題を増やすのも面倒なので黙ってる事にした。
そこへちょうどマスターがコーヒーを持って戻って来た。
「さてと、ちょっと仕切り直しましょうか。」
マスターが時間を置いてくれたことで俺は少し落ち着いていた。
俺とマスターはコーヒーを啜りながらアマテラスを見る。
その瞬間「あー!!!!!」という叫び声が部屋中に響き渡る。
俺は折角落ち着いた気持ちが一瞬で台無しにされた。
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