第130話 俺、ワールドのユニットのクレームを受ける

良く分からんラブコメを世界創造ワールドクリエイトで見せられた後、アマテラスからいつも通りマスターと増田とのトレードの結果が報告された。

最近は色々とやってる裏でササッと済ませてくれるので助かる。


そしてどうやら俺のワールドのマナ濃度が20%に達したらしい。


「なんか結構上がったな?」

「うん、先日スクールバスが事故っていっぱい出せたから。」

世界創造ワールドクリエイトの中とは言えサラッと怖いな。」


「え~、でもそんな人たちを助けてると思えばむしろいい事してるんだよ!」

「あ~、そうね。そういう考え方もあるかもね。」


ゲーム内のユニットの話とは言えおれは何となく安心感を覚えた。

しかし今や俺のワールドはどこもかしこも自動車と電車が走っており、空には飛行機がいくつも飛ぶようになっている。ここまで世界が再現されるとか物理演算装置恐るべしだ。


俺が目標とするマナ濃度60%まであと1/3だ。

これで魔法が使える様になると、科学と魔法の混成世界になるわけか。

一体どんな世界になるのか、楽しみすぎる。


「なんか目標までの道が見えて来た気がするぜ!頼んだぞアマテラス!」

「まっかせて!!」

アマテラスが元気な声で返事を返す。

なんだかんだこの件は順調なのでありがたい。



そして次の日、俺が学校に行くと増田が珍しく困惑顔で俺に話して来た。

「なぁ、国立。お前のワールドから送られてくるユニットが最近変なんだが。」

なんだか唐突な話題で俺も困惑顔で返すと増田は続けた。


「いや、お前のワールドの人間がなんか最近『異世界転生?貴族の六男でお願いします!?』とか『異世界転移!?チートスキルおなしゃっす』とかなんか要求が激しいんだけど。なんか仕込んでる?」


うん、なんだそれ?

「ちょっとアマテラスに任せきりだから分からんけど、わざわざそんな事言ってないと思うけど。」

「そうか。なんか昨日なんてバス一台分来てクラス転生がどうのとか言ってたぞ。」

「なんだ、そのクラス転生ってのは?」

「俺も知らん。多分バス一台分だからだと思うんだが、あまりにウザくてうちのショコラがキレてたからちょっと何とかしてくれ。」


「いや、なんとかって言われてもなぁ~。てかそのまま送ればいいじゃん。前もそうしてたんだし。」

俺は以前増田が浜に置き去りにしてた事を思い出していた。


「いや、あの頃はお前のワールドのユニットがどんなもんだか知らなかったし。今は色々とできるだけ俺のワールドに足りてない能力に振りなおしたりとかちょっといじってるんだよ。」


なんと、そんなことしてたのか。

俺なんてどうせ来ても魔法も使えないし全くのお任せ放置なのに。


「まぁ別に強くなるんだし、強くしてやった事にして送り出してやればいいんじゃね?」

「ああ、確かにそうかもな。いやショコラが昨日の数は流石にブチ切れてな。なぜか俺が1時間近く説教くらったんだわ。」


なんだよ、愚痴かよ。強くなるんだから我慢して対応しろよなぁ。言わないけど。

しかもエージェントから一時間説教喰らうとかどうなのよ?

いや、でもこいつの好みでキャラ設定してるんだし、実はご褒美だったりするのか?


「それは良かったな!」

俺が増田の肩に手を置くと普通に「良くねぇよ!」って返された。

なんか理不尽だ。



それから放課後、俺は増田の愚痴を聞きながら一緒に喫茶『創造してごらんなさい』へと向かう。


で、そこはそこでマスターが待ってましたとばかりに俺に似たような事を言ってきた。


「ちょっと常之ちゃん!なんか最近送られてくるユニットが『異世界チートスローライフうぇーい』とか言っておかしいんだけど、なんか知らない?」

「なんっすか、その異世界チートスローライフって。」


そこになぜかマスターのエージェントのシモンが険しい口調で俺に突っかかって来た。

「おい!お前のワールドのユニットはぶったるんでるぞ!!しっかりと教育してから送ってこい!!」

「はぁ?」


「はぁ、じゃないぞ!先日なんて『ハーレム展開じゃないとヤダ!』とかいうクソ生意気なガキが送られて来たぞ!?人選しろ!!」


おお、相変わらず口悪すぎだろ、こいつ。

しかしそのユニットも創造神の俺より欲が深いとかどうなのよ?

いや、むしろファンタジーな世界だからこそファンタジー展開な希望が許されるというのか?そんな世界なら俺が行きたいわ!!


「シモン、俺もそこ行けないかな?」

「あ?奴隷になりたいのか?」

っちょ!コワッ!何容赦ない事してんのこのエージェント!?


「はぁ、常之ちゃん仕方ないわねぇ、私が堪能させてあ・げ・る♡」

「いえ、マスターには頼んでないですから!」

絶対来ると思ってたけど。


「国立さん、天野さんたち待ってますよ?」

そんなやり取りをしてたら、木花さんが奥を指さした。


「え!?」

俺が奥の席を見ると天野さんと渦目さんがこちらを見ていた。

しかも増田までちゃっかり座ってコーヒーを啜っていた。

あのやろ~!知ってるなら教えろよ!!


心なしか女子二人の目線が冷たい気がする。

「どどどどどうしてこここに!?」

「いや、先日トレードの話があっただろ?」

どもる俺に増田がさも当然と返してくる。


「ななななるほどね!」

ささささっきの話聞かれてる?聞かれてないよね?

「国立、私たちにはかっちょいい男たのむよ!ハーレムパーティー作るし!!」


これ聞かれてたわ。

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