第117話 俺、天野さんからプレゼントをもらう

俺はまた未知の状況に入り込んでしまった。

というか、起こる事が前倒しされるって単純に考えると全体が前倒しされる様に考えられるけどどうなんだろうか。

状況全部が同じというわけではないからやはり違う未来に続く可能性もあるけど。


というか俺の滅亡イベントが回避された確信ってそもそも持てないんじゃないのか?


冷静に考えれば『予知』の見せてくれる未来はイベ書を使わないで進んだ未来だ。けど俺は滅亡イベントが回避されてもイベ書は使うだろう。そうなると俺のイベ書の効果が滅亡イベを回避した様に、俺のイベ書効果が滅亡イベを呼び込む可能性だって出てくるわけだ・・・。


そうなると俺のとれる手段ってのはなんなんだ?

『予知』を無造作に使って将来が安全な事を常々監視する事か?そのためには俺は大量の『予知』を入手する必要がある。これは結構キツイ。


別の方法は?

戦争の起こらない平和な世界にするとか?

でもそうすると俺のワールドはデュエルができなくなる。


いや、兵器を進歩させつつ平和な世界にできないか?

ちょっと想像できないな。俺の世界でも世界が統一されてから殺傷兵器は全廃されたからなぁ。精々治安維持官がゴム弾使う位のものでそれ以外の武器が保持されてるなんて聞いたことも無いし。


俺のワールドが魔法世界とデュエルしたら瞬殺だな。


そんな事を考えていると俺はいつの間にか学校に到着していた。

その瞬間俺の頭は増田への復讐モードに入っていた。


俺が教室に入ると増田がいつも通りの場所に座っており、そしてなぜかその前の席に天野さんと渦目さんがいる!?

「は、なんで?」


俺は二人が前を向いてるタイミングでそそくさと増田の近くに移動し。ちょっと来いとジェスチャーした。


「お、国立おはよう。」

って空気読めよ!!なんで俺がジェスチャーしたのか察してくれよ!!


そしてその声に前の二人が振り向いた。

「おっす。国立。」

「国立君おはよう。」


万事休す。俺はどうにか二人に挨拶をしようと手を挙げた。

「おお、おおおおはよう、ござい、ます。」

ってどう考えてもどもってて恥ずかしい!

俺は逃げたくなったが仕方なく顔を赤くして増田の隣に座った。


「国立、昨日は悪かったね。てっきりお茶目なのかと思ったんだよ。」

渦目さんが突然謝ってきて俺は驚いた。

あれは俺がボケたと思ってたのか。そうだったのか。

天野さんも「ごめんね。」と謝ってきた。


俺は恥が雪がれたわけでもないのにちょっとホッとした。


「まぁ俺は解ってたけどな。国立がてんぱってただけなの。」

そこに増田がまた余計な一言を投げ込んで来る。


「増田、お前のワールドにはもう俺のユニットは送らないからな。」

「ま、まて国立!それは同盟違反だぞ。」

「ウルサイ!お前マスターにも話しただろ?アマテラスにはお前のワールドに制裁が発動されたと伝えておく。」


「ひ、卑怯な。わかった謝る。謝るから制裁は勘弁してくれ。」

「くっくっく、わかれば良いのだよ増田君。」


それを聞いていた渦目さんが話に入って来た。

「ねえ、そのユニット送るとか制裁ってなんの話なの?」


「ああ、それは国立のワールドのユニットがかなり特殊で―」

と、増田がいくらか説明したところで授業が始まった。


その日は休み時間毎に俺のワールドのユニットの話をすると二人とも興味深々だった。なんだかんだワールド強くできるならやってみたいという感じだろうか。


俺は特に魔王化する事が前提な事を念押しした。

そう言った事もあって最終的にマスターにバランスを見てもらいながらトレードする事になった。


因みに俺はマナ暴走しているユニットを希望しておいた。

これで俺のワールドのマナ濃度がより高くなるぜ!


俺が席を立ち、帰ろうとすると天野さんが俺に何かを差し出して来た。

「あ、国立くん、昨日はC『ペットとの出会い』をありがとう。お礼にこれ用意したんだけど、使うかな?」


それは俺が正に欲していた『予知』だった。

しかも二冊も!!


「え?なんで!?いいの?」

俺が驚いていると増田が偉そうに「俺が教えたんだぞ」とか言ってるが無視だ。

「うん、私のワールドじゃ全然使わないから。遠慮なく使ってね!」


俺は思わず天野さんの両手を握ってお礼を言っていた。

「すっげーありがとう!!」

「う、うん。」


天野さんの顔が赤くなったのを見て、俺も手を握ってる事に気が付いてまた真っ赤になって固まってしまった。


「いや、国立いつまで握ってるんだ?」

「ほわッ!!」


慌てて手を離すと天野さんも隠す様に両手を後ろに回した。

なんだ、この展開は!?てかすっごい手が柔らかかった~♡

っていやいやいや、不謹慎だぞ俺!!

もしや嫌がられたんじゃないのか?


やばいやばいやばいやばい!!


ととと、とにかくここを立ち去ろう。

後で落ち着いて考えよう。

「じじじ、じゃぁ俺、俺、俺。」


みなまで言えず俺は三人に手を振って急いでその場を立ち去った。

俺はその日手を洗わなかった。

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