第104話 俺、近代兵器で魔法世界に挑戦する

アマテラスが探して来た対戦相手がなんかとんでもない事になっていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

プレイヤー名:ジャック・ジャック

プレイヤーランク:22,424,300

戦績:77%

名前:シェマーン

規模:L

推定戦力:549,064

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「アマテラス、なんでいきなりこんなランク高い相手探してきたんだ!?」

「なんでって、国之さま、自分のステータス見てみて。」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:ジンガー駐屯地

規模:M

推定戦力:391,091

都市防衛力:12,423

軍隊規模:42,100

軍事力:1,032

開拓レベル:28

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


え?開拓レベルが凄い事になってるんだけど?

というか推定戦力40万弱とかもどうなのよ?一気に3倍以上になってるんだが?


「これは一体?」

「多分色々と発展しすぎて数字が膨れ上がったんだと思うよ。」

「もしかして近代兵器って魔法より強いのか?」

「それはちょっと分かんないけど、数値だけ見るとそういう可能性もあるかもね。」


一体どんな戦いを見せてくれるんだ?

俺はワクワクしてオッケーを出した。


デュエルが始まった。

俺のキャッスルは・・・野戦基地だった。


鉄条網に囲われてバラックで作られた建物が並ぶ。

城と呼ぶより集落と呼んだ方がよさそうな感じだった。


これ、一瞬で攻め落とされるんじゃなかろうか?

ふと俺の心に不安がよぎった。


モニターにはアマテラスが楽しそうに状況を説明していた。


————————————————————


「聞いたかダニー。俺たち魔法使いと戦うらしいぜ?」

一人の兵士が隣に座る兵士に話しかけていた。

「ああ、聞いたぜ。今の時代に魔女狩りなんてはやりゃしないってのに。」

「っへ、別嬪さんばっかだったらどうするよ?」

「もしそうなったら俺は除隊してそっちにつくね。」

「そいつは名案だ。相手がお前なら遠慮なくぶっ放せそうだよ!」


そう言って二人は笑った。

彼らは知らなかった。魔法使いは別に魔女だけじゃない事に。


一方の指令部では事態の確認のためてんやわんやであった。

「おい、まずは施設の設備の点検を始めろ!司令部との連絡はとれんのか?」

「ダメです。全く反応ありません。」


彼らは焦っていた。

戦争中に突然知らない地域に飛ばされ、しかも指示を仰ぐ指令本部ともつながらない状況だ。

彼らは先ずは自分達の周りの確認から開始した。


「トラグル少将!確認完了しました。電源、設備全て問題ありません。食料、燃料共に2ヶ月分になります。」


司令部の面々はひとまず安堵した。

彼らの使命は分かっていた。20Km先の敵の基地を叩く事である。

それを実現するためには情報が必要だった。


たまたま補給を受けたばかりだったのは幸運だったが、食料が2か月分しかないのはかなり心許なかった。


今の状況を考えると補給がここまで来る事は考えづらかった。

そして航空爆撃の援護も期待できなそうだ。


ここに来られた兵員と装備の確認も必要だ。

彼は矢継ぎ早にやるべきことを指示し、情報の収集に努めた。


それから3時間後、ほぼ得られるであろう情報を得てトラグルは司令部を招集した。


「諸君!我々は今、未知の敵と遭遇している。まず彼らの本拠地だが、まるで中世の城塞都市だ。そして、偵察に出ていたヘリに対して魔法が撃たれた。」


魔法という言葉に部屋が少しざわつく。


「幸いにもそれらが当たる事は無かったが、あの少女が言っていた事は本当の様だ。我々はこの科学の時代に神の命により魔女狩りをせねばならないと言うわけだ。」


周りの男たちが頷いた。

あの得体のしれない少女が何者なのか、なぜ中世の城塞都市に住む者を倒さねばならないのか誰も解らなかった。しかし、それでもやらなければならないという疑う事のない使命感だけが彼らを動かした。


「それではコナー中尉、まずは君から現状の説明を頼む。」

コナー中尉と呼ばれた30代半ば程の男が立ち上がり、説明を始める。

「まず、ここに存在する部隊の状況ですが、我々の部隊に所属している隊が全て存在していました。戦線に派遣していた部隊も含めてです。」


コナーが部屋を見回す。

誰もがどうコメントして良いのか、という顔をしていた。

コナーもいったい神は我々一人々々の所属を確認したのだろうかと聞きたかった。


しかしそれは朗報だった。

何せ敵を倒すのに戦力は多ければ多い方が良い。


「皆さんご存じの通り、我々は二個海兵師団と一個歩兵連隊、四個戦車大隊があります。師団には砲兵部隊、工兵部隊も含まれており、一つの拠点を落とすのには十分な戦力があると言えます。」


誰もその言葉に異論はなかった。

相手は中世の城塞だ、報告でも鎧を纏った兵士だったらしい。


あと、未知なのは魔法だ。


報告によると彼らは偵察用のヘリに火の玉を飛ばして来たと言う。

それが手をかざしただけで飛ばして来たと言うのだからかなりいかれている。


果たして魔法の威力はどれほどのものなのか。

他にどのような魔法があるのか。


「さて、我々が今やるべきことはなんだ?」

トラグルが意見を求める。


そこへ一人の男が手を挙げた。

「小説でも読んで魔法の勉強をすべきでしょうね。」

全員が笑う。


「名案だよ。我々は魔法について何も知らない。明日、戦車小隊3個で威力偵察を実施する。それと、部下達に魔法について知っている知識を募集してくれ。何かの参考になるかもしれん。」


こうして会議は解散した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る