第101話 俺、魔王と決着をつける

俺の努力も空しく、遂にゲーマン国が隣国へ侵攻を開始した。

しかもそれに呼応する様に、大陸の大国ソビエル連邦も同じ国へと攻め込んで来た。

彼らは領土を分割し、次への戦いへと備えた。


「って、この国も攻め込まれるはずなのになんで参戦してるんだ!?」

「もしかすると軍備強化で力関係が変わった影響かな?」

「マジかぁぁ!!」


どうやらこの二国は同盟を締結していた様だ。しかもゲーマン国よりソビエル連邦の方が積極的に他国へ侵攻していた。


俺はRレア『レジスタンス活動』を使った。これは魔王によって占領された領土で抵抗するユニットを育て、侵攻を遅くさせるためのイベ書だ。


その結果、ちょび髭の男を暗殺しようと爆弾を用意した男が現れた。

俺はガッツポーズを取りながら結果を待ったが、あえなく失敗。

ちょび髭の男の演説が暗殺者の想定よりも短く終わったことで難を逃れたのだ。


いくら魔王とは言っても人間なんだぞ?

あんなにタイミング良く避けられないだろ!普通!!


そして次の年の春、更にゲーマン国は西側へ進軍していく。

各所で戦闘が起こる度にUCアンコモン『格上への辛勝』やCコモン『偶然の勝利』なんかを使うが、戦局を変える効果も無く、次々とゲーマン国に飲み込まれていく。


お、俺のイベ書がああぁぁ!!


しかもゲーマン国の同盟関係は広がっており、もう一国イーダリアが参戦を始めた。

おいおいおい、なんか大陸の西側がほぼ全部占拠されてヤバい事になってるんだが?

なんかすげぇちっちゃい国が一つだけ頑張ってんだけど?


しかし、その国は何故かゲーマン国の猛攻を凌いでいた。

「アマテラス!なんかこの国頑張ってるけど何かした?」

「あ、ブリステン共和国は『軍備増強』した国の一つだよ。」


「こんなちっちゃい国に使ったのか?」

「国之さま、この国はここでは小さいけど他の地域でたくさん領土を持ってる大国の一つだよ。」

「そうだったのか。」


しかし、こんなちっちゃい国でも強いとかあるんだな。

てっきり領土が大きい国が強いのかと思ってたよ。


そんなことを考えているとアマテラスが言った。

「国之さま!今ならSRスーパーレア『圧政からの解放』が使えるかも!!」


おお、各地の戦闘に夢中で忘れてた。

「よし、使ってくれ!」

「あいさー!」


アマテラスがイベ書を使うとゲーマン国が光り、効果が発揮されたことが判る。

しかし、すぐには状況は変わらなかった。


ゲーマン国は未だ大陸の小国を次々と侵攻した。それに対してブリステン共和国がいろんな所に軍を送って頑張るという状態が続いていた。


そこに一つ大きな変化が現れた。

なんとゲーマン国がなぜかソビエル連邦に攻め込み始めたのだ。

「え?こいつら仲間じゃなかったの?」

「そのはずなんだけど・・・ちょっと色々と複雑すぎて良く分かんないなぁ。」


そこになんか東の島国も参戦してくる。

こっちはゲーマン国の一員としてだ。

そしてこの国の参戦が切っ掛けで全く裏側にあるメリカン合衆国が参戦を宣言したのであった。


惑星まるごと大戦争である。


魔王軍はそれぞれに占領する国を増やして行くが、対抗する国も徐々にその侵攻を押しとどめる様になってきていた。


俺も涙を飲んでイベ書をつぎ込んでいく。

そして遂にゲーマン国が負け始めた。切っ掛けはソビエル連邦に負けた事だった。

更にメリカン合衆国の参戦で戦況は大きく変化していた。


それでも各地で激しい戦闘が行われ、逆転の反攻は徐々にしか進まなかった。

その戦争は今まで見ていた異世界との戦争とは全く次元の違う戦争だった。


俺は対魔王連合が進むたびに拳を握り、一生懸命に応援し、イベ書で支援した。

そして遂に、ゲーマン国は占拠され魔王は自殺した。


「いやー、なんだこの血みどろの戦い。」

「ホントだよねー。軍の数も死者数も半端ないよ~。」


俺はホッと一息をついて椅子にもたれかかった。

正直今までで一番精神を削った戦いだったな、これは。


特に最後の上陸作戦ははヤバかった。

かなりの数の兵員が投入されて空からの侵攻は手に汗を握ったね。


俺が冷めやらぬ興奮で思い返していると、突如、大きな火山の噴火の様な音が聞こえた。


「な、なんだ?何があった?」

俺が慌ててアマテラスに確認を取ると、アマテラスも驚いた様にモニターに張り付いている。


そこにはどこかで見たことがある様なきのこ雲が立ち昇っていた。

「っちょ!?これどういう事?」

俺がアマテラスを再度見ると、アマテラスも驚いた様に口を開く。


「どうやら、メリカン合衆国が核の開発に成功してたみたい。」

「いや、核って。そんな簡単に開発できないだろ?てか元のルートだともっと出来上がりが遅かったじゃん!?」


「そのはずなんだけど、どうやらゲーマン国から逃げた科学者達が使命感からかなりのスピードで開発を進めた見たい。」


それから更にもう一発の爆発が起こる。

「うお!?またかよ!てかなんで魔王倒したのに戦争終わってないんだよ!」

「うん、私たちが魔王って呼んでるだけでお髭さんは一国の主なだけだからねぇ。」


つまり、魔王とは言っても別に他国の王じゃないから、他国は他国で戦争が終わるまでは戦い続けたと?


「なんじゃそりゃー!いや、それはいい。核ができたって事は一体未来はどうなるんだ?」

「うーん、ごめんだけど、これはちょっと私ではわからないよ!」


今SR『予知』を使うべきか、それとも元ルートと同じ、滅亡に至るイベントが発生するのを見つけて予測するか。

俺は『予知』のイベ書を持って迷っていた。

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