第99話 俺、戦争の防止に頑張る
俺が家に帰り着くとアマテラスが待機して待っていた。
「国之さまお帰り~。もう全然できる事少なくて暇すぎだよ~!」
どうやらアマテラスは時代が全然進まないので暇していたらしい。
「アマテラス、どうやらお前の仕事は世界滅亡の原因探しとその対応方法を探す事らしいぞ?」
俺はマスターの言っていた話をアマテラスにしてみた。
それを聞いてアマテラスは右手で力こぶを作って答えた。
いや、服で全然見えないんだけどね。
「国之さま、原因についてはだいたい目星がついてるよ。」
「マジか!?流石アマテラス!!」
俺も思わず両手を握ってアマテラスの顔を見る。
それを見てアマテラスが得意げに説明を始めた。
「問題はそれをどうやって変えるかなんだよね~。」
まず、世界滅亡までには3つの大きな戦争があった。大国を中心に展開される、その戦争はそれぞれに大きな意味を持っていたが、それは主に兵器の進歩への貢献だ。
この戦争を通して兵器が跳躍の進歩を遂げ、その過剰な力が世界滅亡に結びついた様だ。
俺はそれらの大戦を止める必要がある。特に一番最後の大戦は必ず止めなければ俺のワールドはゲームオーバーだ。そして、前二つを止められれば、戦争兵器の発展を遅らせたり、場合によっては最後の戦争を止められるかもしれない。
そして今、俺はその第一の戦争を止めるべく、モニター前で待機していた。
オストリアン帝国皇太子がオストリアン支配地のボッヘル地域を訪れた際に自動車で移動中に暗殺されることが発端となり大戦争が発生する。そこで俺は暗殺を阻止すべく街を監視し、暗殺者を妨害し、皇太子を無事帰還させる様に待ち構えていたのだ。
俺は先ずは暗殺者の6人に
暗殺者の一人がこの怖気について吐露したのだ。すると、全員がそれに同意した。
正直言えば俺はこの流れなら全員で暗殺を止めるんじゃないかと期待した。
しかし、一人の男が言った一言がその雰囲気を一気に変えた。
「正直に言えば僕も怖い。でも、もしここで僕たちが立ち止まり、この機会を逃してしまったら、この地に虐げられている我々の同胞はずっと将来への恐怖を抱えながら生きていかないといけない。違うか?」
ヤツらの顔はどう考えても決心を固めましたって感じで頷き合っていた。
いやいやいや、お前ら立ち止まらんと大戦争始まっちゃうからね?そのずっと後世界滅んじゃうからね?
俺は歯噛みしながらC『幸運のミス』を使った。これは幸運につながるミスが発生するという、なんでわざわざミスと幸運をセットにするかな?という謎のイベ書だ。
だが、これによって暗殺をミスし、世界が平和になるという幸運が実現できるのだ。
どんなイベ書でも上手く活用する俺は冴えてると思う。
それと同時に皇太子夫婦に対して定番のC『危機一髪』を使っておく。
こういう使い勝手の良いイベ書がもっとあれば楽なんだけど。
そして皇太子を載せた車は徐々に進み、遂に彼らの計画していた所まで来たところで、一人の男が手投げ弾を投げ込んだ。
しかし、その手榴弾は運よく皇太子夫婦の車を外れた。
現場は騒然とし、警備がその男を取り押さえる。そしてその騒ぎで他の男たちは動けないでいた。それをしり目に皇太子の乗った車は現場を立ち去った。
無事、彼らの暗殺は失敗したのだった。
俺は、それを見てホッと胸をなでおろし、アマテラスとハイタッチをした。
とは言ってもハイタッチになってるのはアマテラスだけなんだが。
「やったぞ、アマテラス。これで戦争は回避できたよな!」
「だね!きっとこれで未来も変わってるよ!」
「正直
「そうだね!」
その時、俺の耳にパンパンと小気味良い音が聞こえた。
何かと思って俺とアマテラスがモニターに顔を向けると、そこには鉄砲で打たれた皇太子夫婦が移っていた。
「え?なんで?」
「・・・さあ?」
俺とアマテラスは顔を見合わせる。
「「えええぇぇ!?」」
俺とアマテラスが改めてモニターを食い入る様に見つめると、やはり皇太子夫婦がおなくなりになっていた。
「な、何が起こったんだ?」
「どうやら、暗殺者の一人が現場から離れて状況を見てる所で皇太子の車が間違えてこの道に入ってきちゃったみたい。」
「間違えて?いや、でもC『幸運なミス』ってミスするのは暗殺者だよな?」
「うーん、イベ書に厳密にそう言った厳密な指定は無いんだよ。暗殺者にとっての幸運が起こる様なミスが発生するとしか・・・。」
「いやいや、でもここで暗殺が失敗したら大戦争が発生しないんだぞ?そっちの方がコイツにとっても幸運なんじゃないのか?」
「うーん、イベ書も
かなって!お前も使う前に「いいね~」とか言ってたじゃん!?
俺はちょっとしたズレが未来に影響する事を切に願った。
しかし、その願いは空しく、それから間もなく、後に言う世界大戦が勃発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます