第77話 俺、数で敵を圧死させる
敵の重装騎兵の突撃に対して俺の軍は両翼から挟み込む様な動きで攻撃を仕掛ける。
そして正面からも騎兵が突撃を仕掛けた。
俺はそのまま敵が正面に突撃をしてくるのかと思ったが、敵は挟み撃ちに合わせる様に進路を変えて進行方向左に舵を切った。
そして陣の端に突撃をすると、その重量からこちらの騎兵が何人か跳ね飛ばされる。
「おおぉ。」
「ふえ!」
俺もアマテラスも思わず声が漏れる。
何せ本当に人が吹き飛んでいるのだ。どんだけ重いんだ。
しかも敵の勢いは止まっていない。
そのまま深くに突撃し続ける。後ろに居た歩兵と弓兵は馬を避ける様に分かれて逃げる。それを背中から切り付ける様に剣を振り下ろす。
あちらも数は少ないが同じ様に馬から騎兵が落ちていた。
歩兵も矛を持つ者はタイミングを見て敵めがけて突き立てている。
そこに少し広がって突撃してきた敵の重装騎兵が更に切りかかる。
こちらの部隊は敵によって紙が引き裂かれる様に徐々に広がり、遂に敵は後ろに抜け出した。スピードの乗った重装騎兵に歩兵は殆ど成す術なくそれを見守っていた。
そして、そこから更に折り返して突撃してくるのかと思うと敵はそのまま自分達の城塞都市に進路を取り、走り去ろうとする。それを見てこちらの騎兵が追いかける様に走り出す。あちらは重装備である。少しずつ差が縮まっていく。
しかし、ある程度進んだ所でドラが鳴り響き、騎兵が引き返した。
「なんだ、追わないのか?」
「うん、なんか敵の罠の可能性があるみたいだよ。」
俺のつぶやきにアマテラスがあちらの会話から得たであろう情報を教えてくれる。
「なるほど、それで深追いを止めさせたのか。」
それから程無くして俺の軍は敵の城塞都市を包囲し始める。
敵は籠城する事にした様だ。
俺の軍は野営の設置を開始した。
更に後方で木材で何かを組み立て始めた。
「おお、なんか色々と作り始めたな?」
「うん、あのでっかい弓みたいのは
更に何やら背の高い櫓を作り始める。
「なんかあの背の高いのが
彼らは城壁から500m程離れた所でそれらをどんどんと作っていく。
その間何度か敵の突撃があったが、弩の威力は凄まじく、重装騎兵の鎧すら貫いていた。その怯んで広がった所に騎馬隊が突撃し敵は撤退する事になった。
その時にこちらの騎馬隊もヤツ等を追いかけたのだが、重装騎馬が入った所で容赦なく門が上から落ちて来て何騎かが潰されていた。
うん、なんかモザイクかかってるね。怖い。
中に入った騎馬もすぐに囲まれて殺られてた。
流石に四、五人じゃ何もできんわな。
そして更に三日。城壁の外には城を攻めるための大型アイテムが勢ぞろいしていた。背の高い車の付いた櫓が8台、はしご掛けるのが4台、門に突撃するのが2台、投石器が5台となっていた。その正面には弓のデカいのが10台構えていた。
え?名前?なんか覚えにくいから忘れたわ。
ここまで揃うともはやこちらも城なんじゃないかと思う位の見栄えだ。
彼らは号令が掛かると隊列を崩さずに少しずつ進んでいく。
「遂に攻撃開始ですよ国之さま!」
「おお、遂にか。」
画面に櫓をあおる様なアングルで映し出されるとその大きさが更に良く分かる。
そんな巨大建造物が馬に引っ張られて動いている。
そして城壁から少し距離がある所で櫓が止まると相手の城壁の上に居る兵士に弓を射かけ始めた。
櫓の下から矢をリレーして運んでいる姿が見える。
それを上まで運んで上の弓兵が次々と矢を打ち込んでいく。
その間にも梯子車と突撃車が進んでいく。
更に後ろから歩兵が突撃を始める。
彼らの中には数人で梯子を運んでるのもいる。どうやら自力で梯子を掛けて上る役の兵もいる様だ。
櫓から少し進んだ所で投石器が止まり、発射の準備に入る。
あちらからも矢が飛んでくるが大した数ではない。
そこに轟音が鳴り響き、見ると門の上の見張り台が一部崩れていた。
梯子車と突撃車があと100mという所で更に投石器が、人が隠れられそうな塔に何度も石を投げつけ徐々に破壊していく。
そして遂に梯子車が城壁に到着し、梯子を掛け始める。
それ以外にも人が持ってきた梯子も掛かり、次々と登り始める。
それはあたかも壁を埋めるアリの大群の様で素人目には止めようも無い状況に見えた。
しかし、飛び道具の攻撃が無くなったのをどこかで見ていたのか崩れかけの塔から敵の兵士が出てきて登って来たこちらの兵士に切りかかった。
とは言え数が数である。どんどんとこちらが押して塔の中に人が入って行く。
多分あれが下り階段なのだろう。
そうこうするうちに門が徐々に上がってくる。
「お、開いたぞ?制圧したのか?」
「どうも違うみたいだよ。」
アマテラスはそう言って開いた先が映る様にモニターを動かした。
そこには開門に合わせて突撃する重装騎兵の姿があった。
彼らは突撃車を押している兵士を切り倒し、そのまま左右の城壁に沿う様に走り、梯子に群がっている兵士に突撃を食らわせる。
そこにこちらの騎士も追いついて乱戦となった。
それ以外に城の中になだれ込む一軍があった。その先頭は呂希であった。
彼は城の中に入ると次々と重装騎兵を馬から突き落とし、薙ぎ払っていく。
複数人相手でも彼にかなう者はいない様で、遂には門が制圧され、雪崩の様にこちらの軍が街に入ると、そこで勝負が終わった。
「これって城が落とされなくても終わるんだな?」
「うん、あっちの創造主が降参したっぽいよ。」
まあ確かにこの状況は見てらんないよな。
引き延ばしはできても逆転は無理だわ。
「しかし、やったぞアマテラス!今まで苦労してきた甲斐があったなぁ。」
俺が腕を目に当てて泣きまねをするとアマテラスも嬉しそうに頷いた。
「ホントにね!これでようやく前線復帰だよ!!」
それから俺たちは寝落ちするまでデュエルで敵を数で圧殺し続けた。
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