第75話 俺、キャッスル戦に再挑戦する

アマテラスの操作で映し出されたいくつかの戦場は結構な規模の戦いだった。


「これ一体何人で戦ってるんだ?」

「一番多い軍で6万かな?」


6万!?

俺はアマテラスの顔を見て確認した。

一般的にキャッスル戦は精々5000人というのが常識で万なんて数字はそうそう見る事がない。それが更に6倍だ。


「いや、それってキングダム戦なんじゃないのか?」

「規模的にはそうだよね。ただ、戦争するときに一つの城塞に兵士を招集してる時があって、そこを狙ってキャッスル戦やれば行けるっぽいよ。」


「え?んな事許されるの?」

「できるんだから許されるんじゃないかなぁ?」

俺の疑問にアマテラスは全く意に介さないという顔で答える。


「うん、確かに。できるんならオッケーだよな。」

俺はちょっと不安を感じたが頷いてアマテラスに同意した。


実はかなり適当なシステムなんだな。これ普通のワールドでも戦争起こったら王都に兵士集めて進軍とかないんだろうか?

いや、魔王がいると人類は結束してるからあまり戦争自体がないのかもしれない。


それに化け物みたいな激強ユニットが一人いれば軍隊とか殆ど意味ないよな。

そこらへん一体どうなってるんだ?

もしかして軍隊自体が激強ユニットで構成されてるとかなのか?


何にせよどうせ魔法は使えないので俺のワールドでしか戦う事はできないんだ。

俺は一戦やってみる事にした。


「アマテラス、俺のワールドで戦ってくれる人を探してくれ。」

「うん、了解だよ!」


それからちょっとしてアマテラスは相手を見つけてモニターに映し出した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

プレイヤー名:なっちー

プレイヤーランク:742,423,316

戦績:68%

名前:ジュラク

規模:L

推定戦力:126,559

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


因みに俺の選んだ国も似たような数字になっている。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

プレイヤー名:国之常立

プレイヤーランク:983,659,673

戦績:0%

名前:烙陽

規模:L

推定戦力:125,575

都市防衛力:5,232

軍隊規模:55,327

軍事力:662

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ちょっと国之さまのキャッスルの人数が多すぎて戦力が大きく出るから、結構上のランクの人と当たる事になっちゃったよ。」


戦場は俺のワールドで魔法が使えない事を考えると俺のキャッスルは圧勝のはずだ。

「全然大丈夫だ。早速やってくれ!」

俺は鼻息荒く返事をしてモニターに目をやった。


モニターではアマテラスがいつも通り盛都の民に敵を倒す様に説明をしている。

そして、既に戦争準備のできている盛都はすぐに動き始めた。


先行する偵察隊が各方向に送り出され、敵の都市はあっという間に発見された。

まぁいる先分かってるしね。


「しかし、かなりデカいな。しかも格好いい。」

その城塞都市はかなり堅牢そうな城壁の中で山を登る様に街があり、そのてっぺんに世界を見渡すかの如く城が建っていた。


もしかしたらあの城から覗いたらこっちの城塞が見えるんじゃないだろうか。

それくらいの高さを感じる。


「だね~。でもあのお城に行くの大変そうだよね。買い物するのにも毎日上り下りしないといけないよ。」

「いや、なんで城に住んでる人が毎日買い物に出るんだよ!」

「え~?じゃ、王子様が毎日学校行く時とか?」


そんな事を話していると偵察隊は城壁の中に入ろうと周りをうろついたり、城門近くまで行ったりとしていた。


しかし、どうやら戦争の時は相手を見ると敵か味方かがすぐに判るらしく、正面切って都市部に入る事はできなかった。また城壁も高く忍び込むのも難しかった様だ。

結局偵察隊は集められるだけの情報を集めて次々と帰還していった。


それから4日後、遂に軍が動きだした。

城門の前で一人の男が演説をしている。俺のワールドで今一番強い男、呂希である。

そして演説が終わると進軍が始まった。


その数5万5千。

俺のキャッスルは3つに分かれて進んでいく。

三方から方位する作戦なのかもしれない。


敵の城塞までの距離はわずか20km強、あっという間に到着するので既に軍は展開した状態だ。

3つに分かれた軍が更に3つのブロックに分かれて横に並んで進む。

1つのブロックは前方に騎馬兵、その後ろに歩兵と弓兵が続いている。


「うーん、壮観だな。負ける気がしない。」

「うんうん、戦争は数だよね~。」


進軍の間にも絶えず偵察が送り出され、定期的に報告に戻っている。

自軍間でも人のやり取りがされているので、何か連携をしているのかもしれない。


そして遂に進行方向右に進軍していた軍が敵の軍に遭遇した。

しかし、その数の差は圧倒的だった。


敵が僅か1000前後なのに比べてこちらはザックリ1万5千だ。

敵の兵士もこちらの圧倒的な数に動揺が走っている。

敵も偵察を出してたっぽいからある程度は知ってるはずだけど、多分実際に目で見て改めて驚いてるのかもしれん。


そしてひと時互いを見合ってから双方からラッパやドラの音が響く。

敵は騎兵だけで編成されており、一気に突撃を掛けて来た。

所謂重装騎兵で全身を鎧で包んでいる。


「あんな突撃受けたらトラックに跳ね飛ばされる位の衝撃がありそうだな。」

「あ、重さ的には別に軽自動車程も行かないと思うよ。」

いや、そんなマジレスいらんから。


俺の軍は突撃してくる騎馬に対して弓を射かける。

それと同時に広がっていた両側が敵を包み込む様に左右から挟み込み始める。


矢は彼らの鎧兜に弾かれて殆ど効果が無かった。

続けてこちらからも騎馬隊が突撃を開始する。


遂に騎兵同士の戦いが始まった。

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