第73話 俺、魔力たっぷりな子をもらう

マスターからもらったユニットを送り出してから、俺は増田ともトレードをしたんだが、今回もなにやら突飛なユニットを送って来やがった。しかも二人。


俺はそのユニットをどうしようか迷っていた。

というのも魔力暴走とかいう病気にかかっていて増田のワールドだとすぐに死んでしまうのだとか。この子らも後少しの命らしい。


「国立のワールドならマナないんだから病気も関係ないだろ。」

「いや、おい!俺は確かにマナを持ってる奴を頼んだが、俺は戦えるユニットが欲しいぞ!?」

「ま、考えとこう。」


とか言って通話を切りやがった。

まぁ確かにマナは希望以上にたっぷり持ってるんだが、何せまだ3歳と0歳だ。

一体どないせいと?


因みにステータスはこんな感じだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:エイン

職業:―

レベル:1

推定パワー:27,171

生命力:11

マナ:236250

攻撃力:1

防御力:1

魔力:21

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:―

職業:―

レベル:1

推定パワー:17,104

生命力:3

マナ:180034

攻撃力:1

防御力:1

魔力:17

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


なにこのマナ量?

ホントに3歳児なの?

というかこのまま育ったらめちゃくちゃ強いんじゃないのか?


「なあ、アマテラス。この子らもう少し育ってから送り込むとかできるの?」

「え?ちょっと待ってね。」

アマテラスは何やら調べ物を始めるとすぐ終わったのか顔を上げた。


「うん、無理みたいだね。ちょっと保存しておいて送り出すとかはできるけど、育ててから送るっていうのは無いみたい。」

「だと思ったよ。」


仕方ない、どっか親切な人がいそうな所に送ってもらおう。

「なんか親切な人とか探せるのか?」

「まぁ、完全には判らないけど、そう見える人に送ってみるしかないかな~。」

「解った。したらすまんが適当に探して二人を送りこんでくれ。」

「うん、任せてよ!」


そう言うとアマテラスは送り先を探してから二人と話を始めた。

というか0歳児に話しかけてなんか意味あるんだろうか。


「二人とも、ようこそだよ!わたしはアマテラス。よろしくね!」

いきなり話しかけられたエインは顔を上げた。

0歳児の方は籠の中で寝たままだ。まぁ0歳児だしね。


「おねーちゃん、誰?」

「おねえちゃんはね、この世界を創ってるんだよ。」

「じゃ、おねーちゃんはかみしゃま?」

「うーん、神様は私のご主人様の方かなぁ?」


それを聞いてエインは残念そうな顔をした。

「かみしゃまなら、僕のびょーき治してほしかったのに。」

「うん、病気はしっかり治るよ!」

「ホントに!?」

「でも、エインちゃんは元の世界では死んじゃって、ちょっと別の世界に行ってもらう必要があるんだよ。」

「え!?」


エインの顔が驚愕で歪む。

「パパと、ママは?」

「残念だけど、もう会えない、かな?」

「ひっ!い、いやああああぁぁぁ!!」

エインは盛大に泣き出した。


「だ、だよね~。」

アマテラスはどうすれば良いのか困惑顔でどうにかあやそうとするが全く泣き止まない。それにつられて0歳児も泣き始めた。


「国之さま~!!」

遂にはアマテラスも泣き顔で俺の方に助けを求めて見つめてくる。

って、俺に助け求められてもキツイぞ!!

なんなんだこのシステムは!?


「こいつらの記憶を少し消したりとかできないのか?」

俺は苦し紛れに思いついたことを言ってみた。

「さすが国之さまぁ~!!!」

心からの感謝を表した顔でアマテラスが俺を拝んでいる。


アマテラスはエインの頭をなぜる様にしながら空いてる手で何か操作をした。

そしてどうにか泣き止んだ所でワールドに送り出したのだった。っていうか次からは年齢的に死んだ自覚のあるユニットに絞らないとどうしようもないな。


そんな事を考えているとアマテラスも額を腕でぬぐいながら戻って来た。

「一時期はどうなるかと思ったけど、なんとか送り出せて良かったよぉ~。」

「結局どうしたんだ?」

「うん、エインちゃんのここでの記憶と、あと可哀相だけどエインちゃん自身に関する記憶を一部ぼかさせてもらったよ。」


二人は別々の国に送られ、それぞれ良い人に拾われて人生を全うした。

エインは大陸東の国で将軍の一人として滅ぼされた国の再興を手伝った。

そして0歳児の方はなんか新しい宗教を立ち上げて有名になっていた。


神様は世界に一人、とか言ってたらしいが、もしかしてアマテラスの話しを聞いた記憶でもあるんだろうか?まぁ間違いではないけど。


因みに二人のマナはめでたく?ゼロになり、魔力暴走は起きなかった。

というとこまで確認して俺ははたと思い出した。


「そう言えば、アマテラス。マスターからもらったユニット、弱くなってたか?」

「あ、そうだったよ!国之さまの言ってた通り弱くなってたよ!さすがだね!!」


うん、嬉しくないな。

時代が進んで徐々に強くはなってるんだが、今の所、マスターのとこみたいな超絶強いユニットは作れなそうだ。


後はマスターと増田の検証結果を聞くだけだ。

俺は他のワールドで強くなるなんて理不尽が起こらない様に祈った。

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