第65話 俺、検証チームを組む3
控室に呼ばれた俺は考えていた。
話って終わってたんじゃないの?俺がイベ書もらって、代わりにワールドのユニットを何人かトレードに出す、これで終わりじゃないの?
しかも増田も呼ばれたとか言ってたけど、何するんだろう。
俺が既に座っている増田を見ると、増田も良く分かってない感じだ。
俺が増田の隣に座るとマスターが話を始めた。
「二人とも遅い時間に悪いわね。」
「いえ、ダリーネさんにはお世話になってますから。」
増田はエージェントに自分をマスターと呼ばせてるからか、マスターを名前で呼んでいる様だ。しかもなんか折り目正しい。
「これは本当に増田か?」
増田がメガネをクイッとして俺を見る。
「俺は本当に増田だぞ?」
な!?俺の心を、読んだ、のか!?
いや、きっとまたいつものあれだな、思った事が口から洩れちゃうやつ。
「そうか、それは良かった。しかしマスター、増田も読んで一体何しようって言うんです?」
俺は増田の対応をあたかもジョークであったかの様に流してマスターに本題に入ってもらう事にした。
「それなんだけどね、さっきちょっと話をしたけど、
「検証、って何をですか?」
「そうね、先ずは
増田は怪訝そうにキャリーボックスを開いて自分のワールドをエナジーラインに接続する。モニターが開いて増田のワールドが映し出された。
「今こんな感じですけど、どうですかね?」
「
どうやらマスターのアドバイスのおかげで増田のワールドは結構いい感じで進んでるらしい。
トッププレイヤーなんかは開拓レベルが33らしいからまだまだ先は長いが順調に伸びてるのが羨ましい。
因みにマスターの開拓レベルは30だ。
そこから先に発展するのはある意味運の世界らしいので気長にやり続ける必要があるらしく、マスターも試行錯誤している。
「ところで
「え?ああ。」
増田はしばらく考えてから俺を見る。
「国立、あれ、なんて名前だったっけ?」
いや、知らねぇわ。アマテラスに適当に選んでもらっただけだし。
自分の所に来たユニットだって覚えてないのに。
いや、なんかロボっぽい名前だった様な。
「マスター、いただいたユニットはナッサという名前でしたわ。因みにお渡ししたユニットはエンメカですわ。」
「お、それだ!」
俺は会話に割り込んできた増田のエージェントのショコラに手を打って応えた。
そうそう、ロボじゃなくてメカだわ。いやメカでもないか。
でもちょっとモヤモヤが解消されてすっきりしたわ。
ショコラは相変わらずのゴージャスな金髪ツインドリルに微妙に違和感のあるメイド服で現れて、得意げに増田を見ていた。
以前着させてた服がホント気になるわ。あの髪型に合う脚線美あふれる服装とは?
「流石だな、ショコラ。因みに今映せるか?」
「マスター、残念ですけどナッサは既に時代が流れて既にいませんわ。」
増田の要望にショコラは全然残念じゃなさそうに肩をすくめて答えた。
「あら、そうなの?それは仕方ないわね。冒険者にはならなかった?」
ウチのマスターがショコラに質問する。
「ええ、彼は山村に気絶したまま置いたら、そのまま村の猟師になりましたわ。それ以降の追跡はしていなかったので分かりませんわね。」
ってお前もかよ!人里に気絶放置かよ!むしろそれが普通なのか!?
なんかアマテラスが当然の様に会話してたからてっきり普通はやるもんだと思ってたんだけど。
「流石に最終ステータスとかは残って無いわよね?次の世代とかはいるのかしら?」
「そうですわね。比較に使うステータス位しか残していないので。世代も・・・ちょっと探せなそうですわ。何せ4世代は進んでしまいましたから。」
なんか聞いてる感じ、結構情報って残せるんだな。
帰ったらアマテラスにも聞いてみよう。
「それは残念ね。まぁいいわ。そしたらまずは検証の目的と内容を教えるわ。」
そう言うとマスターは増田が加わったので最初から説明を始めた。
追加情報はこんな感じだった。
まずは俺のワールドのユニットは全員が強くなるのか、あるいはあのユニットだけが特殊だったのかの検証だ。
さらにマスターのワールドだけではなく、増田のワールドでも強くなるかどうかの検証だ。
それに加えてワールドの育成だ。
魔王は実は開拓レベルに合わせて強くなるのではなく、倒せば倒す程新たな魔王が強くなっていくものらしい。しかもそれに合わせて魔物も強くなっていくんだとか。
今のマスターの問題はそれが、激強の二人について行けてない事で、逆にワールドは魔王が出現する度にその二人に依頼する事で成長が停滞している事だ。
なので、俺の追加で送るユニットで魔王を倒す回転率を上げてワールドの魔物全体の底上げを加速させようとしているのだとか。
つまり魔物が強くなればあの二人に頼ってばかりではいられなくなる。
その結果、他の種族もそれに合わせて強くならざるを得なくなり、ワールド全体が底上げされるだろうと言うのだ。
もう一つはトレードしたユニットの次の世代の検証だ。
次の世代も強さを引き継いでいるのかどうか。
そういった訳でもし俺のワールドのユニットが他のワールドで強くなるなら継続的にトレードをして欲しいという事だった。
「継続的にトレードしてくれるなら俺もイベ書がもらえて助かりますね!」
俺の言葉にマスターも頷いた。
「あの~、俺もイベ書をこいつにあげないといけないんですか?」
増田が困惑気味に聞いてくる。
「そうね、
流石マスターは
俺も増田もその話に乗る事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます