第47話 俺、もらったユニットをワールドに送り込む2

「みんな、ようこそだよ!」

アマテラスの言葉に四人は初めてそこに一人の女の子がいる事に気が付いた。


四人はなんだかすごく動揺した感じだ。

確かにいきなり知らない所に飛ばされて、そこに居るのが女の子一人だけとか全く状況が分からないよな。


そんな四人を気にも留めずアマテラスは話を続ける。

「わたしはアマテラス。世界の管理人だよ!残念だけどあなた達は死んじゃったの。」

その言葉を受けて四人がざわつく。


「世界の管理人?俺たちの世界の神か?」

「いや、でもアマテラスなんて聞いたこともないぞ?」

「俺、死んだのか?全然そんな記憶ないんだが?」

「もしかすると僕が死んだことでみんなを巻き添えに?」


うーむ、色々と展開が唐突だな。

しかもこの四人、話から察するに死んで無いのになぜか死んだことにされてるし。


パンッパンッ!


アマテラスが大きく手を打つと場が鎮まる。

「はい、静かに、静かに!」

って学校の先生かよ!


「みんなが驚くのも無理ないよ。でも今大事なのは次を考える事!みんなには二つの選択肢があるよ!ひとつはそのまま消えてい無くなる事、もうひとつはみんながいた世界とは別の世界に転移する事だよ。」


そこに一人の男がおずおずと手を挙げる。確かガーランドと言うヤツだ。

「女神様、俺たちはどうやって死んだんですか?」

「へ?あ、ん~、どうやってだったかなぁ?ちょ、ちょっと死ぬ人が多すぎて覚えてないかも。あ、だけど大丈夫!ちゃんと別の世界に送ってあげるから!」

何が大丈夫なのか全くわからないが、アマテラスが励ます様に両脇で握りこぶしを作る。

四人の視線がかなり不信に満ちている。


それにしてもなんというグダグダ感。

これ上手く話運べるのか?

見てる俺がハラハラしてきたわ。


「俺たちもしかして無理やりここに連れてこられた?」

「俺も今同じ事思ったわ。」

「そ、そういう事なら元の世界に返して欲しいぞ。」

「僕、この冒険から帰ったらマリーと結婚するつもりなのに別世界とか!」


おいおい、かなり混沌としてきたぞ。

一体これどうやってまとめるつもりなんだ。


「よし、じゃあみんな別世界に転移って事でいいかな?」

強引にまとめた!!


「いや、良くねぇよ!」

「いくら女神でもやっていい事と悪いことがあるぞ!」

「そうだそうだ!横暴だ!」

「僕たちを元の世界に帰してくれ!」


いや、全くまとまってない!そりゃそうだ。


「みんな、新しい世界でも元気でね!」

アマテラスは左手でサムアップをしてそう言うと、手元で何かを操作し始める。


アマテラス、それ全然テンプレ対応じゃないぞ?

良くあるゴミカスタマーセンターの対応だ。


突然四人の男が何か細い管に吸い込まれる様に細くなって屋敷から消えた。


「ふぅ、国之さま、成功だよ!これでトレード完了!」

アマテラスが一仕事終えた風に腕でおでこをぬぐうと言った。


いや、全然成功じゃないと思うぞ?

ただ俺のワールドに送りこめただけだよな?

全く会話がかみ合ってなかったし、俺の伝言も伝えてもらってないぞ?


俺は痛くなりそうな頭を押さえてアマテラスに聞いた。

「あいつらはどこに送られたんだ?」

「うん、一番大きな集落の近くに送っておいたよ。」


アマテラスがモニターを操作して四人が送られた場所を空から映す。

「・・・なんかちょっと遠くない?」

「大丈夫だよ!ちょっとずれちゃったけど多分2日くらいで到着する距離だから。」

「でも方向とか知らないよな?」

「みんな立派な冒険者なんだし、きっと一ヶ月くらいは問題ないよ。」


迷う前提じゃねえか!

俺はかなり心配になってきた。


「なんかあいつらに集落の方向とか教える方法はないのか?」

「ううん、あっちに行ったら基本干渉はできないから。本当はここでもう少し色々と教えられればよかったんだけどねぇ。なんか色々言うから面倒臭くなっておくっちゃった。」


いや、それをしっかり対応するのがエージェントの仕事ですよね?

俺は顔を覆って言った。

「次は、頑張ろうね。」

「うん!まかせてよ!!」

これ絶対伝わってないやつだわ。

次回はちょっとしっかりとした打ち合わせをしておこう。


「そう言えば一体あの世界にどうやってあいつらを送ったんだ?」

「え?このパネルで操作すると簡単に送れるよ?」

いや、聞いてるのは操作方法じゃねぇよ。

なんでさも当然って顔で俺を見るんだよ。


「いや、もっと原理的な事がしりたいんだけど。それであっちの世界に干渉とかできないの?」

「え、原理?・・・は知らないかな。確かディメンションバックドアとか言う名前だった気がするけど。私の所からでも特に何かできそうなコマンドは無いかなぁ。」

「そうか、干渉できるならマナ送り込んだりとかもできるかもしれないのになぁ。」

「それわたしの所にマナが無いから難しいと思うよ。ちょっと調べとくね!」


アマテラスなのにまともな回答だった。

マスターのワールドからアマテラスの屋敷に送られて来てそこから俺のワールドに送られるなら、そのどこかで俺の世界からマナを送り込めないといけないって事だ。


ホントマナがどうにかなれば色々と変わるんだがなぁ。

俺は諦めて送り込んだ四人の動向を観察する事にした。

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