第46話 俺、もらったユニットをワールドに送り込む

俺はマスターから送られて来たユニットが身じろぎもせずに屋敷の中に居るのを見ながら次の展開を待っていた。


しかし何も起こらなかった。


しばらくしてアマテラスがこちらを向いて話しかけて来た。

「あれ?国之さま、もしかしてトレードのやり方しらないの?」

いや、しらねーよ。説明書にもできるとしか書いてないし、交換したら終わりじゃないのかよ?


「アマテラス、一から十まで説明してくれ。」

アマテラスは自分の頭を小突きながら説明を始めた。

ていうか役割果たせる時位は役に立とうな。

「トレードはお互い合意したユニットを交換するんだけど、受け取ったユニットはちょっとだけステータスをいじれるんだよ。」


モニターに目をやると四人のステータス画面が見えている。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:ライオネル

職業:戦士

レベル: 54

推定パワー: 714,271

生命力: 8,713

マナ:1563

攻撃力:3,428(ドレイククラッシャー)

防御力:2647(オーガスケイル)

魔力:1448

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:ガーランド

職業:戦士

レベル:48

推定パワー:580,076

生命力:7,855

マナ:1452

攻撃力:2,899(剣:アーマースラッシャー)

防御力:2449(オーガスケイル)

魔力:1412

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:ルーメン

職業:魔導士

レベル:66

推定パワー:652,608

生命力:8,452

マナ:4437

攻撃力:1,030

防御力:1843

魔力:3243

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:レギン

職業:斥候

レベル:44

推定パワー:445,166

生命力:6,232

マナ:1945

攻撃力:1,768

防御力:2254

魔力:2157

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


強い。

このパーティーなら俺のドラゴンなんて普通に腕力だけで倒せただろうな。


「で、このステータスどうやっていじるんだ?」

俺が素直に思った事を伝えると、アマテラスが続ける。

「そこのステータスウィンドウをタップすると更に詳細な技能一覧が出てくるから、そこで技能ポイントがある分だけ能力を追加できるんだよ。」


俺が言われたままにライオネルのステータスウィンドウをタップすると新しいウィンドウが表示され、そこにライオネルの習得している技能の一覧が出て来た。


身体強化系技能、武芸系技能、格闘系技能、魔法系技能、祝福系技能、野営技能等の能力一覧が並んでいた。それぞれの技能がツリーで繋がって表示されている。

多分ツリーの必要技能が取れてないと先に進めないやつだ。

で、この技能ポイントが148あるからこれで使えそうな技能を選択できるんだな。


それにしても選べる技能が少ない。

ツリーの殆どの技能が初期技能の部分からグレースケールされている。

レベルとパワーの割に取られてる技能も殆どないんだが?


「アマテラス、なんか選べるものが少ないんだけど?」

アマテラスがステータスウィンドウを覗き込む。


「あれ?なんでなんで?なんかすごい選べる技能が少ないんだけど?」

「うん、それ俺が聞いたやつだわ。」


しばしアマテラスが技能ウィンドウをいじってからこちらを向いた。

「これ、もしかするとワールドのマナ濃度が足りないからかも。」

「マジか!!!」


つまりなに?技能にマナで実現されてるやつはとれないって事?

百歩譲って魔法系は使えないにしても、それ以外で使えない技能が結構な数あるってどういうことだよ!?


「この野営能力の危機探知ってのもマナが関わってるのか?」

「うーん、そうみたいだよ。」

「この殺気探知って単なる身体的技能な気がするんだが?」

「あ~、身体的技能は気配認知に、なる、のかなぁ?」

「この威圧の次の覇気とかもそうなのか?」

「・・・多分。」

俺とアマテラスの顔はどんどんと沈んで行った。


おいおいおいおい、このワールドは一体どれだけ俺を苦しめるんだ!

折角色々といじれるチャンスなのに、チャンスの幅が狭すぎる。


例えば身体的技能だけを取って俺のワールドに送り込んだらどうなるんだ?

今まで使えてた技能が使えなくなって色々と不便は出てきそうだよな。

だけどパワーはかなり高いんだから特にやられるとかそんな問題はなさそうだ。


じゃ、問題はなんだ?

デュエルができる様になるのかって話だよな。


「アマテラス、この四人を俺のワールドに送り込んだ後、デュエルで選択したらどうなるんだ?魔法が使えるフィールドならそのまま魔法が使える様になるのか?」

「それは、そうなるはずだけど。多分取得済み技能でグレーアウトされてるのも有効になるんじゃないかな?」

ちょっと自信なさげだ。


「うーん、なんにしても、やってみるしかないよなあ。」

「そう、そうだよ!やってみるのが一番だよ!!」

アマテラスはいつでも能天気だな。

まぁ他にできる事もないから選択肢は決まってるんだが。


俺はとれるだけの技能を取得してからアマテラスに依頼した。

「んじゃ、これで終わりだわ。この後はどうするんだ?」


「うん、そしたら何かこの四人に伝えておきたいことある?」

「伝えておきたいこと?なんか話す事できるのか?」

「あ、伝えるのは私になるよ。」


なるほど、俺が直接話せるわけじゃないのか。

「じゃ、新しい世界の住民と上手くやってくれる様に伝えてくれ。」


「らじゃ!テンプレ対応なら上手くやるからまかせといて!」

おお、アマテラスはテンプレ対応ならできる子だったのか!

俺のかすかな記憶がそれを否と言っていなくもないが、どうすればいいかも判らんのでそのままお任せしよう。


アマテラスは敬礼すると屋敷の奥の席に戻り何か操作を始める。


すると四人の男が突然気が付いた様に動き始める。

「な、なんだここは!?」

「俺たちは確かボス部屋で戦闘してたはずじゃ。」

「ルーメン!お前傷はどうした?かなりの致命傷だったはずだが?」

ルーメンは驚いた様に自分を見回していた。


そこにコホンと咳払いが聞こえ、アマテラスが語り始める。

「みんな、ようこそだよ!」

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