第41話 俺、イベ書を投げ込み過ぎの失敗を知る
俺は今日手に入れたイベ書を並べていった。
マスターからもらった30個のイベ書、それと今日の成果だ。
『栄光ある戦い』というのは強大な国が自らの力を見せる為に周辺国へ戦いを挑み続けるらしい。確かワールドを大きな国にまとめる時に使うんだとかなんとか。まぁ少なくともキャッスルやキングダム戦レベルにまでそだったワールドじゃないと効果を発揮しないだろう。
もう一つのはワールドの少し未来を見る事ができるらしい。一体どうやってどれくらいの未来を見る事ができるんだ?というかいつでも見せて欲しいぞ。
正直これらの効果を発揮しなそうなイベ書を使うべきかどうか迷う所だが、アマテラスが以前イベントが溜まってる様な感じの事を言っていたのできっと使える状況を自動的に判定して消費していくに違いない。
ならどんな結果になるのかは別にしてきっと無駄にはなっていないはずだ。
「よし、アマテラス、いつも通りどんどん使ってくれ。」
「うん、って国之さま、この『予知』も使っちゃうの?これどちらかと言うと創造主用アイテムだよ?」
アマテラスは他のイベ書をどんどん使いながら俺に確認をする様に顔を覗き込んだ。
「いや、ぶっちゃけどう使うのか判らないんだが。」
俺が思ったままの感想を言うと。
「じゃ、特別教えちゃう!」
アマテラスは嬉しそうにサムアップしてきた。
「いや、特別ってそれお前の仕事だろ。」
それにしても久しぶりにエージェントっぽい仕事が出てきて嬉しそうだ。
「これはね、その名の通りこのワールドの未来が見えちゃうイベ書だよ。台座の余剰演算力で先の未来を計算するの。本当はハイスペックなこの台座なら結構先まで見れるはずなんだけど、このワールドは結構リソースが取られちゃうから多分1000年くらい先が限界だと思うよ。」
「へぇやっぱ未来が見えちゃうのか。そしたら未来を変えられるって事?」
「そうだよ!結構マクロな出来事になっちゃうからそれに手を打つのもR以上のイベ書になる事が多いかな!」
なぜかアマテラスは俺を指さしてドヤ顔している。
「それ沢山あったら最強だな。」
「だね~。まぁマクロ的な計算だからズレる事もあるし、未来を変えたら予知で見た未来も変わるから、かなりの数持ってないとだよ。」
アマテラスは更に思い出した様に続ける。
「あ、普通にイベ書使う時もある程度未来予測はされてるんだよ。」
「ん?どういう事だ?」
なんでイベ書使うのにそんな事してるんだ?
「うん、イベ書って良い結果とか発生する事態とかがある程度判る様な説明が書いてあるでしょ?」
そう言えばさっき使ってた『大いなる試練』とかも試練与えますって言ってるもんな。いったいどうやってそれっぽくイベントを起こしてるんだ?
俺はそう考えてからアマテラスに頷いた。
「つまり、そのイベ書に期待されてそうな事が起こる事象を探して先に計算しておいて、それに合致した事象に干渉してイベ書通りの結果を出してるんだよ。ほかにもね、該当する事象をあらかじめトラップしておいて、それが発生するときに干渉させるっていうのもあるみたい。」
なるほど、イベ書に沿う様なイベントを見つける為にどんどん先回り計算して、それを発動させてるのか。確かに結果が判らないとイベ書として発動できないよな。
「あとねえ、あとねえ、同じイベ書でも使うタイミングとか状況で効果も変わるよ!上手い人は効果の高い状況を見て使ってるってことだね!」
なんか久々のエージェントっぽい仕事だからか畳みこむ様に情報開示してくるな。
しかしこいつこんなにもの知ってたかな?
「というかアマテラス、そんな情報どこに載ってたんだ?」
アマテラスは悪戯っぽく笑って答えた。
「うん、この前の漏洩禁止のサイトからだよ!」
・・・おい、おいおい、おいおいおいおい!!
「おま!なんでそんなとこにまた入り込むんだよ!危険すぎだろ!!」
「え~、なんかこのワールドで役に立つ情報がないかなって・・・ゴメンなさい。」
っく、あまりにしおらしく謝るからこれ以上責めにくい。
「もう、これ以上そういうとこから情報取ってくるなよ?どんな危険があるか判らないからな。」
「うん、大丈夫だよ!もう全部データ吸い出し終わったし!やっぱハイスペックは違うよねぇ。」
遅かった、のか。
気付けば俺は四つん這いで絶望していた。
俺は怖い。ナチュラルにこんなことをやらかすアマテラスが怖い。
さらに俺は余計な事を気づいてしまった。
イベントが発動するまで待機して適当な事象を探してるとすると、そこに結構な演算能力を割り振ってるんじゃないのか?
俺のワールドの時間が進まなくなったのってもしかして・・・。
「アマテラス、つかぬ事を聞くがこのワールドで滞留してるイベ書ってどれくらいあるか分かるか?」
「ちょっと分かんないよ。なんとなく動いてない気がする位だから。」
「なぁ、イベ書をかなり投げ込んだが、それが滞留して使いどころ探してるせいで処理が重くなってるって事ないか?」
それを聞いたアマテラスが納得!と言った顔で手を打つ。
「さっすが国之さま!もしかしたらそうかもだよ!」
こ、こいつ・・・もう少し知恵が回る様になると助かるんだが。
まあ知識と知恵は違うって言うもんな。
実はイベ書をもう少し絞っとけばもっと早く時代が進められたんじゃないだろうか。
今度から全く効果なさそうなのは止めておこう。
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