第37話 俺、バイト帰りにガチャを引く
俺は今、喫茶『創造してごらんなさい』のカウンターに立っていた。
結局俺は天野さんに話しかけるかどうかを逡巡している内に彼女は教室を出て行ってしまった。
正直内心ホッとしている。
因みに増田は明日自分のワールド持ってくるらしい。
遂にヤツもエージェントを見せる決心をしたか。
そして夕方のピークタイムにバイトに入り木花さんと滞りなくさばき終わった所だ。
久々にバイトに入ったけど相変わらず学校や会社帰りの人とかが夕方に沢山来て大忙しだった。
マスターは俺が来てからずっと他の客と一緒に客の世界創造を見ながらあーだこーだとアドバイスをしている。自分の店でさぼるなと言いたいが、まぁそのために雇ってるバイトみたいなものなんだよな。
流石のハイランカーの店だけあった結構人がアドバイスを求めてやってくる。
因みにマスターの使っているパーティーはかなり凶悪だ。
このパーティーで死人も出さずに3体の魔王を討伐している。
特に目立つのが勇者で、なんか空を飛ぶ様に移動しながら攻撃してたりしたのを見たことがある。
他のメンバーも大きくは目立たないがかなりの強者だ。
神聖騎士、賢者、あと上半身裸のおっさんだ。
最後のはなんだって話だが、多分この裸のおっさん勇者と同じ位強い。
酒が大好きで飲んでない時が無いのだが、酔ってて勇者と同じ位ならシラフなら実は勇者より強いんじゃなかろうか?
まぁなんか約一名変な組み合わせなんだが、このパーティーが出た時に一気にランク1万代まで上がっていったらしい。
なのでマスターの今の課題は後継の育成らしい。
まあパーティー戦だけ考えればワールドの進行速度を現実と合わせればずっと使えるんだけど、一つのパーティーだけが突出しているとクラン戦ではなかなか上を目指せないのでやはりワールド全体の育成が重要になる。
俺もいつかクラン戦ができる様になる日がくるんだろうか。
そんな事を考えてると洗い物が終わった木花さんが話しかけて来た。
あ、因みに俺はさぼってるわけじゃなくて注文と調理、会計係りね。
「国立さん来てくれて助かりましたよー。ママお客さんに話しかけられるとすぐいっちゃうからさ。」
「あー、だよね。俺の時もピークはかなり死んでたわ。まぁ殆どがマスターに会いに来てるからな。」
木花さんも仕方なさそうな顔で頷く。
「ところで国立さんってハイスペックのコアセット買ったんですよね?なんかメリットあるんですか?」
「基本的にないんだけど、俺はあったわ。スペック低いのだとワールド時間すすめるのにかなり時間かかるらしくて。俺ハイスペックじゃなかったらコア交換する事になったわ。」
事情を知っている木花さんはなるほどという顔で聞いていた。
「私もどうしようかと思って。ミドルスペックなら買えるんですよね。」
「え?もう買えるの?」
「うん。以前、別のとこでもバイトしてたから。このバイトもママにアドバイスもらえると思ったから始めたところもあったんで。」
そうだったのか。木花さんと
俺はちょっと先輩風を吹かしてアドバイスしておいた。
「マナを入れ忘れないならハイスペックじゃなくても大丈夫だよ。」
「ぷ!そうですね。先日アマテラスちゃん見て私も早く始めたくなっちゃって。もう買っちゃおうかな。」
そうか、確かにアマテラスといると飽きないもんな。
ママのエージェントはキザ野郎で上から目線だから確かにあれで購買意欲は刺激されないわ。
さて、そろそろピークも終わりだし、ガチャ回して帰ろう。
「じゃあ、俺そろそろ上がるね。」
俺はマスターにも許可をもらって退出のタイムスタンプを入力する。
店を出てから俺はリアルガチャ売り場に向かった。
本当は学校帰りにガチャを回してもよかったんだが、天野さん達が居る可能性も考えてバイト帰りに寄る事にしていたのだ。
俺は先日もらったバイト代から10000スコアを使って10回ガチャを回した。
まぁ概ね確率通りの引きだ。
SRは『新神の誕生』だった。
これは世界に新しい神が生まれ運が良ければ新しい種族が誕生するやつだ。
新しい種族は人間やエルフの様に人型の文明種族の時もあるし魔獣なんかのダンジョン種の時もある。
どう考えても俺のワールドでは何も起こらなそうだ。
Rは『ギルド発足』『冒険の流行』『魔獣の活性化』『治安向上』だ。
『ギルド発足』は初期の成長を早めたり、発展途上の町に使ったりする奴だ。
これも一体何が発足するのか想像がつかない。
『冒険の流行』は冒険者を増やすためのイベだ。確か有名な冒険者が出てブームになるとかなんとか。別に強いユニットが登場するわけではないんだが、冒険者が増える事で結果的に強いユニットが見つけやすくなるらしい。
俺の世界で冒険する猿が出ると何が起こるのかは判らない。
『魔獣の活性化』はワールド住民に試練を与えて鍛え上げるためのイベだ。
ダンジョンで重ね掛けとかすると稀にスタンピードが発動して運が良ければ英雄が誕生するらしい。
俺のワールドだと何が活性化するのかは判らない。
『治安向上』はできたての町なんかの治安が悪い所の治安が落ち着くらしい。
町を順当に発展させるためのイベ書だ。
これは何となく役立ちそうだな。
UCとCはほぼ持ってるやつだったがUC『スターパーティー誕生』は初めてだ。
というか俺のワールドにパーティーという概念があるのか判らない。
どのイベ書も似たり寄ったりだ。
殆どが何が起きるのか想像が付かない。
まあ、全部投げ込むだけなんだが。
俺はそれらをしまって家に帰った。
部屋に戻るとアマテラスが嬉しそうに報告を始めた。
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