第34話 俺、やれるだけの事をやる

俺は喫茶『創造してごらんなさい』から帰るとアマテラスにマスターからもらったイベ書を見せていた。


「マスターからこんなにイベ書をもらったからな。今のワールドで頑張ってみようと思うんだ。アマテラスも協力してくれ!」

「でも、国之さまの期待には沿えないかもしれないよ?」

アマテラスは俺に気を使う様にこちらを見る。


「まあな。ダメかもしれないけど、そしたらまたドラゴン種レベルの生物でデュエルして上を目指すわ。多分これだけあれば何か出てくるんじゃないかな?」

「うん、わかったよ!国之さま、私、頑張るね!」

そう言うと泣きそうな顔で力強く微笑んだ。


それから俺とアマテラスはイベ書を確認する作業に入った。


段ボール箱には183個のイベ書が入っていた。

内訳は


SRスーパーレア4個

Rレア43個

UCアンコモン95個

Cコモン41個


そしてその中に俺は俺の念願のCコモン『マスコットとの出会い』が入っていた。それを見つけた時に思わず「おお」と声が漏れてしまった。

しかも、5個も!!まぁ基本使う必要なさそうだもんな・・・。


でもこれで天野さんと話す機会ができるかもしれない。

天野さんも欲しがってたし、これできっと何か進展が!

明日は学校に行こう。


因みにSRは『偉大なるモノリス』『未踏の開拓民』×2『魔王の誕生』だった。


なるほど、『偉大なるモノリス』は一部族が突出した叡智を手に入れ繁栄するものだ。ただ、発展レベル内という制限がついているため上位になると殆ど意味が無いイベ書なのである。


『未踏の開拓民』はそれこそワールドに未踏地が多ければ使う意味もあるが、開拓が進んでしまうとやはり無用のイベ書なのである。


そして『魔王の誕生』も世界に魔王が定期的に誕生する様になったら不要のものだ。


まぁこの4個は初期に使う事の多いブーストアイテムって事だ。

先日もらったSR『長足の進歩』なんかはレベルが上がってくると効果は減ってくるが発展レベル自体を上げる効果があるので何個あっても困らないやつだ。


マスターがあれくれたのはホント太っ腹だったんだよなぁ。


R以下は結構多かったがダブりも多かったので種類はそんなになかった。

まぁ使えないやつをくれたって言ってたもんな。

そんなもんだろう。


その中で今まで俺も使ってなかったのがアイテム関係だ。

UC『アイテム熟練』UC『武器の現地調達』R『アイテム収納魔法の開発』R『付与魔法の発明』R『魔剣の発明』


正直アイテム収納魔法の開発とか絶対効果ないのは見えてるんだが、まぁ先入観は良くない。どんどん投入しよう。


因みに一回使えば後は用無しに見えるこれらのイベ書だが、効果範囲が狭いため、複数の地域で使ったり、国が滅んでそれらの技術が失われたりした時に使うらしい。

とは言えそんなに沢山はいらないわな。


あと意味の判らないイベ書も結構ある。

R『美意識の進歩』UC『洗礼された芸術』UC『記録の伝承』


人もいないのに芸術とか無いわな。


それから俺たちはどの種にそれらのイベ書を使うかを選別する事にした。

今までは一番強そうなドラゴン種にイベ書を使っていたが、今はアマテラスが好きになった猫的な動物とか、たまたま見かけた危険に直面していた子供の生物なんかに使っていたのでそれを絞る事にしたのだ。


「アマテラス、今一番強いヤツってどれなんだ?」

「う~ん、今はねぇ、このすっごい牙の大きなトラかなぁ。でもドラゴンに比べたら半分くらいなんだよね。」

アマテラスが映してくれた生物は確かにこれでもか!というよりこれどうやって刺すの?ってくらい大きな牙を持つトラだった。


「あと、このでっかいサイも強いけど、結構温厚でデュエルには難しいと思うんだよね。集まって戦う事ないしね。」

それは高さが2m位はあるやはり大きなサイだった。

確かに怒ると凄く強いんだが、基本水辺で草はんでるだけなんだよな。


「後はこのでっかい熊かな。この子はねぇ、多分一番強いんだけど単体で動くんだよね。だからパーティーで出ても一匹だけかもしれない。」

これまたかなり大きな熊。アマテラスの言う様に一匹だけで活動をしていた。

複数でいる奴はサイズから察するに、どうやら親子らしかった。


「最後がこのオオカミちゃん達ね。単体の戦力はそこまででもないけど、集団で狩りをするからかなりの数がデュエルに参加できるかもしれない。」

確かにドラゴンに比べると攻撃力がかなり引くい。でも数でおせるのはいいのかもしれない。


とは言えどれもピンとこない。

どう考えたって文明作りそうな気がしないからだ。


「アマテラス、なんかさ、道具使ったりとかできそうなのはいないのか?手先が器用で人に似たようなの。」

「あ!それならおさるさんがいるよ!」


アマテラスは早速そいつらを映してくれた。

それは猿とゴリラの中間みたいな生物だった。

猿の様にシュッとしてるのに結構デカい。


手をついて歩いても1.5m位の大きさがあり、多分立ったら2m近くはありそうだ。

そんなのが木の上を器用に行き来して果実を採って食べたり棒を使って木のウロから虫を引きずりだして食べていた。


「おお!木の枝使ってるぞ!」

「うん、なんか石で硬い木の実割ったりしてたこともあったよ。でも戦闘力は全然だよ?」


そうなのか。

俺は猿達のステータスを確認する。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名前:―

職業:―

レベル:43

推定パワー:1,122

生命力:380

マナ:33

攻撃力:163

防御力:102

魔力:18

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


確かに弱いな。

でもこれかなり弱い人間パーティーに近い値持ってない?

それに群れで生活してるし、武器を使える様になったらもう少し攻撃力も上がるんじゃないか?


「そう言えばレベルがかなり低いけどもっと高いヤツはいないのか?」

「うん、どうもその子が一番強いっぽいんだよね。」

アマテラスはいくつかのデータを見ながら俺に教えてくれた。


「それってレベル上げればもう少し強くなるって事だよな?」

「そう言う事に、なる、かな?」

アマテラスは自信なさげに答えた。


しかし、俺は今まで見せてもらった中で一番可能性が高い気がしていた。

なにせ既に道具は使えてるんだ。

一先ずイベ書の30%位を使ってみよう。

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