第31話 俺、今の状況をまとめてみる
あの後、時間も遅かったので俺は家に帰っていた。
帰り際にマスターが明日も来なさいと言ってくれた。
なんだろう?
多分
まさか恋愛相談にのるとかじゃないよな?それはお断りだわ。
マスターの映画の趣味から考えると無理難題しか出てこない事確定だ。
それより俺は天野さんの件をどうすればいいんだ?
天野さんのパーティーが俺のドラゴンパーティーに惨殺された後で、俺が天野さんの事を好きだという事が露呈した・・・最悪じゃない?
これ、どうすれば仲直りできるんだ?
いや、良く考えたら仲直り以前に友達未満な位置関係だったよな?
たまたま
もし今回のデュエルが無かったとして知られた場合はどうだったんだろう?
それも結構望み薄だっただろうな。
あっちは俺の事友達程度だと思ってただろうし、そもそも別の人に告白すると思ってたわけだもんな。
そしたらそのままでもいいって事か?
例えば俺が
・・・絶対に無いわ。
今の状況で『国立くん、私もよ』なんて事は絶対ありえない。
どうにか関係を改善しないと。
そうだ!渦目さんは今日の件で納得してくれたんだぞ。
渦目さんに相談すればいいんじゃないか?
というかおすがりするしかない!!
次は増田・・・はどうでもいいな。
アイツにはきっちり自分のエージェントを見せる様に要求しよう。
なにせ俺のアマテラスを見た上に色々と話をさせたんだからな。
で、最後は俺のワールドだ。
俺がモニターに目をやるとアマテラスが「危ない!」とか言ってイベ書を使う所だった。
「ちょっと待てアマテラス!今イベ書使わなかったか!?」
「え?うん!おかげででっかい猫ちゃん達が助かったよ!!」
俺は目の上を揉んでアマテラスに言った。
「すまん、当分イベ書を使うのはストップだ。デュエルできる様になる見込みがないからな。」
「そっか~。そうだよね。」
アマテラスがちょっと寂しそうだ。
ぐぐ。なんか罪悪感。
しかし、今はデュエルもできないのでイベ書は温存しなければ。
でもケチる必要ないのか?何せ人型種は生まれないって言われたんだし。
とは言えやっぱ気まぐれに気に入った生き物に使うだけなのはちょっと気が引けるぞ。
「アマテラス。このワールドにできる事って何かあるか?」
アマテラスはちょっと考えてから言った。
「マナが無いと神々が生まれないのは確かだし、私には判らないんだよね。」
「だよな・・・。なあ、ワールドってどうにかやり直す事ってできないのか?」
「ワールドは一度動き始めたら止まらないし戻る事もできないよ。この世界はね、イベントオートマトンって言ってね、不可逆事象の連鎖によって進んでるんだよ。」
アマテラスによるとこのワールドは現実世界と同等の原理で実装されており、全く同じレベルで進行しているのだと言う。つまり
つまり俺のワールドは実在するという事だ。俺どころか世界の創造主は全員実在する宇宙を持っているという事になるのか。まさかそんな事をしていたとは色々ハイテク過ぎる。いや、ハイテクってレベルか?
「そうなるとマナってなんなんだ?俺の世界にマナとか魔法なんてないぞ?」
「うん、ほら、テレパシオンってあるでしょ?そのテレパシオンの事をマナって呼んでるだけだよ。」
テレパシオンというのは今から100年くらい前に突然発見された新しい粒子だ。
今から100年前に一部の人に他の人に考えが漏れてしまうという現象が出てくる様になった。この原因を研究している時に発見されたため、テレパシーを実現する粒子としてテレパシオンと命名されたのだ。
しかし、この粒子がなぜ今になって発見されたのか、あるいは生まれたのかは未だに謎となっている。
そしてこの粒子、粒子というよりは大きな素粒子なのではないかという話もある。
粒子なのに内部の状況が安定しないらしく、未だに謎の粒子として議論を呼んでいるのである。
そして、このテレパシオン粒子の発見によって文明は大きく変わったらしい。
まぁ俺が生まれた時から既に色々な所で活用されているらしいので、それがどれほど大きなことだったのか俺には判らないが。
まさか学校で覚えるだけの粒子が魔法の源だったとは。
「あれ?つまり俺ってもしかして魔法使えたりするわけ?」
「え?テレパシーって魔法なんじゃないの?」
そうだったのか。
確かにそれって魔法だわ。全然気づかなかった。
まぁ俺使えないけど。
「まあ、テレパシオンの濃度は23%位らしいから、現実世界だと手から火を出したり、何かに付与魔法掛けるみたいのは難しいのかもね~。」
そういう事か逆に濃度を上げられれば魔法が使える様になるのか。
「あ、国之さま、この魔法が使える様になるって情報は漏洩禁止みたいだから他の人には絶対内緒ね!」
「は?なんでお前がそんな情報持ってるんだよ!?」
「なんかね、国之さまのワールド進める為にネットにどんどん潜ってたら見つけたんだよね。なんで私見れたんだろ?サービスかな?」
「・・・なんのサービスだよ?」
「なんかこれ漏らしたら捕まっちゃうみたいだから気を付けてね!」
「ね!じゃねぇよ!コエーよ!なんて情報持ってきてるんだよ!!」
いや、舌出して自分の頭小突いたってダメだからな?
俺、どうやってこの全く使わない情報を忘れればいいんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます